Ritual de Obediencia a Lucifer : Goat Messiah (2010) 

スイスのゴートメタルバンド、Goat Messiahのコンピレーション(テープ)を紹介。
エクアドルのBlack Goat Terrorist 666からlim.166でリリースされた。

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 Goat Vengeanceの音源を紹介した際にも言及したが(マニアには)大事なことなのでもう一度触れると、"Goatwatchers United - Satans Goats Tribute"というGoatを冠するバンドのコンピレーション盤はGoat Semenマニアにはよく知られた音源なのだが、そこに参加しているのがこのスイスのGoat Messiahである。そしてどのバンドよりもカルトでおバカなサウンドを仕掛けてきたのもこのバンドである。

 2003年にそのGoatコンピに参加し、以降全ての音源がスプリットでのリリース。結局単独でフルレングスやEPをリリースすることもなく、作成した曲もごくわずかなのになぜかコンピレーションは本テープを含めて2本出ているのも面白い(収録曲もほぼ被っている)。

 そのようにUG中のUGにおいてごく一部マニアックスたちがなぜだかこのバンドを支持しているわけだが、どこにそのカルトさを感じるのだろうか。一つは特徴的なヴォーカルのスタイル。声の裏返りに、巻き舌に、他のジャンルでも有効に使われている手法ではあるが、このバンドの場合は楽曲が楽曲だけにラリっているような、「マトモじゃない」印象を持つ。世間的に「ヤバい奴」という感じだ。そして二つ目は楽曲もどれも似ているようにも感じるけれども、そのヴォーカルも含めてなんとなくクセになってしまう中毒性がある。「怪しげ」であり「危なげ」なところがこのバンドの魅力なのであろう。

 ジョークのようなアティチュードとも取れるし、それが逆に冒涜性に磨きをかけているような気もするし…もしかしたら「マトモ」であることに唾棄するという姿勢に魅力を感じさせられているのかもしれない。まあいずれにしてもド級のマニア音源であることには変わらないのだが。

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Encyclopaedia Metallum - Goat Messiah
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Strike Upon You : Chaos Feeds Life (1999) 

スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、Chaos Feeds Lifeのミニアルバムを紹介。
スウェーデンのLoud 'n' Proudよりリリースされた。

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 一時期キラキラメロデスとして人気を博したSkyfire(結成は1995年)のメンバーが1stアルバムをリリースする前に別プロジェクトとして立ち上げたのがこのバンド。1stアルバムも製作していたようだが、レーベル元が2001年にclosedしてしまったタイミングで流れてしまったようで(多分Skyfireが予想より跳ねたせいもある)、このミニアルバムが最後の作品となった。

 確かにメロディと畳みかけるような曲展開、緩急の付け方からキーボードの使い方まで後のSkyfireの1stアルバムを彷彿とさせるも、このミニアルバムの特徴は曲のノリがどことなくハードコア・パンクナイズなところが異なる点である。6曲16分という短さもそれを感じさせるところである。以前の自分ならややそこが気に入らないところであったが、今ではそのようなスタイルの方がむしろこのスタイルの音源にはピッタリに聞こえるから面白い。

 近年、メロディックデスメタルを聞くことはあまりなくなってしまったがたまに聞くとこのようないい意味で振り切れたバンドは楽しんで聞けるからメタルは楽しい。

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Hymn To Eternal November : Nocturnal Degrade (2010) 

イタリアのデプレッシブブラックメタルバンド、Nocturnal Degradeの1stアルバムを紹介。
ドイツのDarker than Black Recordsよりリリースされた。

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 イタリアのデプレブラックというとForgotten Tombが有名だが、さてこのバンドはというと特別そのフォロワーというわけではないようで、編成はCold氏という人物の独りバンドであり、ポストパンク畑も歩んでいるような音楽遍歴だそうだ。

 確かにそのサウンドはフレンチブラックメタルのデプレ化とでもいうべきか、流麗なメロディにアトモスフェリックなサウンドプロダクションを持ちつつも、どこかポストパンクと言われるとそのような気もしてくる音使い。その音から滲み出てくる「光への拒絶、直面する死、秋~冬、疎外感」を表現するネガティブな雰囲気がアルバム全体を覆っている。複雑な曲展開や高度なテクニックなどの使用はなく、淡々とした曲の進行もまたその一助になっている。

 実際、リリ―スレーベルがDarker than Blackなのはちょっと意外な気持ちもするが、2015年にリリースされた現在のところ最新作の3rdアルバム"The Dying Beauty"はデプレブラックおなじみのSelf Mutilation Servicesからのリリースでこれは納得。

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Koozar / Bangi Vanz Abdul : Koozar (2014) 

日本のブラックメタルバンド、Koozarの1stアルバムを紹介。
日本のZero Dimensional Recordsよりリリースされ、限定版(lim.50)はデモ音源のCD-Rも付属でついている。本稿もその限定版について書している。

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 このアルバムの記事をまだ書いていなかったとは…これは失態。『2014年を振り返って』という記事でも取り上げた通り、あの年でも有数のリリースだったと今振り返っても思える作品。

 Koozarは徳島のアンダーグラウンドブラックメタル伝説、GorugothのKojima氏が新たに進めたプロジェクト(今年は黒狂というプロジェクトも起こしている)。そしてBangi Vanz Abdulとは現代魔術実践家の磐樹炙弦 / バンギ・アブドゥル氏の名前であり、その二名のコラボレーションによる作品がこのアルバムであり、特に公にはされていないもののそのようなコラボの実現に際して、このアルバムがそのようなオカルトなテーマを主題としたコンセプチャルな作品であることが伺える。曲名もインストの"Kaotaoatoak"と楽曲の"Zznz Kz Chaos"によって構成されている。

 残念ながら筆者は現代魔術に関する知識は皆無であるからして、その文字列ないしサウンドから何かを見つけ出すことはできていないのだが(もし知っている人がいればお寄せいただきたい)、それでもGorugoth時代から既にみられていたミニマルなハーシュノイズとブラックメタルの融合は、そのコンセプチャルなテーマによって更に昇華された様な印象を受けた。

 ミニマルなブラックメタルといえば誰でもVONを思い浮かべるだろうし、もしくはノイジーさで言えばIldjarnGorugothはそれらのバンドを好む人には大いに気に入るだろうと思われるが、さてこのKoozarはもう一歩闇に深く足を踏み入れたようなそんなサウンドだ。全く邪悪さは感じず、悪意や憎悪のようなものもなく、探求に徹したようなストイックさがアルバムを通して表現されている。そのストイックな探求には理解不能に陥ったリスナーの多くをふるい落していくであろう。

 Demo 2014に関してもほぼ同様の感触は得たものの、更に無機質さが強くブリザードブラックのような印象も持つこちらの方が何となく理解はしやすい作風。理解はしやすいと言いながらも本当に理解できているかは謎。

 ブラックメタルというものがあくまで「異質」であり続けることこそが本質であれば、この音源はその本質を抑えていると言える。個人的には日本のブラックメタルシーンを支えるZero Dimensional Recordsの一番の快挙はGorugothの再発、そしてKoogar/黒狂による復活だったんじゃないかなあと思っている。

 Encyclopaedia Metallum - Koozar
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