Wanderer of the Abyssal Plains : Indesiderium (2015) 

アメリカはカリフォルニアのアトモスフェリック・ブラックメタルバンド、Indesideriumの1stアルバムを紹介。
本作品は自主リリースである。

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 アメリカのGravespawnというブラックメタルバンドからスピンアウトして2012年に結成されたツーマンバンドで、元バンドがオーソドックスなUSBMであったのに対して、こちらはファストなブラックメタルスタイルとアトモスフェリックな要素を組み合わせたスタイルである。

 1曲目のインストゥルメンタル "Nocturnal Isolation" が完全にネイチャーな雰囲気で始まるため、いわゆるカスカディアンブラックメタルを想像していたのだが、その後の楽曲が思ったよりもスラッシーでオールドスクールな感覚を持たせつつもファストに畳みかけてくるタイプのスカンディナヴィアンブラックメタルになっていて、そこにところどころでシンミリきかせるアトモスフェリックなメロディを挿入してくるのが巧妙。

 新しさというより90年代後半に見られたような、90年代初頭のブラックメタルの衝撃を真に受けつつもにニヒリズムよりも孤独に引きずり込まれていったプレ・デプレッシブブラックメタルのような印象も持たせる。どうやらバンドメンバー自身が90年代初頭のブラックメタルをリアルタイムで経験しており、初めて手に入れたブラックメタルアルバムはBeheritの "Drawing down the moon" だとか。

 普段の行動範囲ではなかなか手が伸びにくいタイプの音源だったが、たまたま海外のウォーブラックメタル愛好家とのトレードを行った際にオマケでつけてくれたものだった。実際、バンドメンバーはウォーブラックをよく聞くとかで、廻り巡って手に入った音源ではあったがなかなか高品質で満足度の高い音源であった。古き良きメロディックブラックやデプレブラック好きにお勧めしたい。

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タグ: Indesiderium  USA  2015 
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Gnosis Stained Khadga - Live in Kuala Lumpur : Orator (2014) 

バングラデッシュのベスチャル・ブラックメタルバンド、Oratorのライブ盤を紹介。
タイのHellhouse 666 Productionsよりテープでリリースされた。

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 辺境メタルマニアならご存知かもしれない。デビューEP "Dominion of Avyaktam" が辺境地発掘レーベルとして有名なLegion of Death Recordsからリリースされているからである。バングラデッシュのUGメタルシーンは昔からかなりコアなバンドを輩出されているということも聞いたことがあり、特にこのバンドはどうやらかなりのものだという噂を聞いていたため深く興味を持っていた。そんな中でWeird Truth Productionsでこのテープの扱いがあったので購入(現在も扱いあり)。

 音源は2013年にマレーシアのクアラルンプールで行われたライブの時のもので、フランスのManzerも出演しており、そのときにShuxul氏がハンディカムで撮影した時のマテリアルとのことだ。丁度その頃に1stアルバム ”Kapalgnosis" をリリースしていたこともあり、ほとんどの曲はそこからの引用であった(が、当方はそのアルバムを未聴)。

 終始ドカドカドラムが進むまさにベスチャルな楽曲で、音質こそ主に機材の関係でかなり籠っているもののそれも相俟ってローカルな地域のUGなエクストリームメタルを体感できる。なかなか日本にいてバングラデッシュのUGメタルシーンのことまでは触れることが難しい中で貴重な音源だし、またそれが90年代にメタルを弾圧したマレーシアで行われたライブだということも実に興味深い。Orator自体についても噂通りの実力を持っているようで、いずれ「辺境地」という枕詞を投げ飛ばしてくれそうな期待を膨らますに十分なライブ音源である。

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タグ: Orator  Bangladesh  2014 
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Traitors to the Gallows : Blood Division (2016) 

シンガポールのブラックメタル・クラストバンド、Blood Divisionの1stアルバムを紹介。
インドのCyclopean Eye Productionsよりリリースされた。

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 シンガポールのブラックメタルバンド、Draconis Infernumのメンバーと、08-09年にImpietyに一時在籍していたMike Priest氏で2009年に結成されたバンド。氏の経歴を見てみるとスラッシュメタル、ハードコアパンク、メロディックデスメタル、ブラックメタルと様々なジャンルを経験してきており、ここにきてそれらの集大成と言えなくもないブラッケンドクラストに行き着いたのも理解できるところ。

 8曲、21分で駆け抜けるかのように終わるアルバムだが、ブラッケンドクラストにありがちな一本調子で押し切るような作風ではなく、メンバーの豊富な経験に裏打ちされた展開の妙味、演奏の安定性が「丁度良い21分間」を作り出しているし、その最後に当たるDischargeのカバー "Cries of Help" は締め括りにふさわしい選曲であり、ボーナストラックとしてとってつけたカバーではなくて作品の一つのコンセプトとして成立しているところもその「丁度良い21分間」に貢献している。

 ブラッケンドクラスト自体はどうだろう、Dishammerの突然の登場によるインパクトやDarkthroneがそのスタイルに転向して世間を驚かせた数年前と比べると勢いに陰りも見えて、外野からはその勢力図が今一つ見えてこないわけだがこのような地に足が着いたバンドがいる限り、決して潰えることはない、そう確信する次第であり、そう思わせる作品である。

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Live In Venray : Bestial Summoning (2012) 

オランダのカルト・ブラックメタルレジェンド、Bestial Summoningのライブ音源を紹介。
オランダのNew Era Productionsよりリリースされた。

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 音源は1992年6月にオランダのフェンラウのライブハウス"Dingus"で行われたライブのもので、カセットテープで "Official Live Tape 1992" としてセルフリリースしていたものの再発盤である。パーマネントメンバーのSephiroth氏が現行もオランダのBMシーンで活動している(現Legion of the DamnedのVo.)ため実現したものであろう。

 収録曲は名盤1stアルバムからは一曲も引用されていないどころか、他のデモ音源などでも収録されていないレアトラックである。それだけでマニアには大変興味深い楽曲だろう。もっとも本盤自体がコンピレーション盤 "The Dark War Continues" にされているのだが…。

 内容としては思ったよりも(昔のUG音源としては)音質の悪くないものになっており、まさにBestial Summoningという楽曲ではあるものの、1stアルバム収録曲ほどの暴走を見せるところまではいかないところにちょっとした歯がゆさも感じる。もう少しノイズ塗れに暴走してほしかった。もしかしたら観客が少なすぎたとかそういう現場の状況があったのかもしれない(笑)。

 最後にオリジナルテープにこんなことが書いてあった ― 「このライブテープは本当にクソだ…が、そんなことは気にしない。故にいかなる方法でもこれをリリースした」と。

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