血肉 : あざらし (2011) 

日本は東京のハードコアパンクバンド、あざらしの1stアルバムを紹介。
日本の強迫観念友の会よりリリースされた。

血肉(ちにく)血肉(ちにく)
(2011/07/20)
あざらし

商品詳細を見る


私がジャパニーズハードコアを本格的に聞き始めたのは2012年からであるが、
その中で最も衝撃を受けたアルバムの一枚がこれである。

決して80年代ジャパコアをリアルタイムで聞いていない私でも、
この音が「昭和のジャパコア」を基盤になっていることはすぐ分かる。
そして何よりヴォーカルの腐れメグ子女史の女性的な倒錯感がそれを特別なものに昇華させている。

歌詞といいアートワークといい「怨み辛み」を具現化された作品として完璧。
これは女の人だから作れたんじゃないか、そんな気がする。
ただ単に女性をフィーチャーするんじゃなくて女性だから作れた作品というのは、
記号的な取り扱いから解放された狂気の叫びとして襲いかかってくるのだ。
タグ: あざらし  個人的良盤  Japan  2011 
Harc Core  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Esoteric : Skyfire (2009) 

スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、Skyfireの4thアルバムを紹介。
アメリカのPivotal Rockordingsよりリリースされた。

EsotericEsoteric
(2009/09/18)
Skyfire

商品詳細を見る


いわゆるChildren of Bodomフォロワー系メロデスの急先鋒に名乗りを挙げた1stアルバムから
8年たっての4thアルバムであるが2nd, 3rdアルバムは残念ながら未聴。
なのでその8年の変化というのは一気にジャンプアップしての評価になるわけだが、
フォロワーではなくて何とか新しいことをやろうとしている感はある。

手法としては「きらきらメロデス」アプローチはそのままにしながら、
あの1stの「これ以上やったらやりすぎて墜落するギリギリライン」を超えずに、
ギターリフなどをモダンにしていて曲風を変えている印象だが、
そうなった結果として、平均的な、よくあるメロデスバンドになってしまった。

今改めて1stアルバムを聴くとやっぱりあっちは良くも悪くも突き抜けていて、
この4thアルバムの保守的な変化には魅力を感じないのであった。

Encyclopaedia Metallum - Skyfire
タグ: Skyfire  Children_of_Bodom  2006-2010 
Merodic Death  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Satan's Soldiers : Lord Of Evil (2012) 

ポーランドのプリミティブブラックメタルバンド、Lord of Evilのコンピレーション盤を紹介。
ポーランドのUnder the Sign of Garazel Prod.よりリリースされた。

lordofevil.jpg

ポーランドのNSBMバンドとしてバンド名からして凶悪なWar 88の前身バンド。
1991年から1995年までLord of Evilとして活動した後に改名した。
恐らくTemple of Fullmoonの持っていた政治的主張に乗っかった形だと思われる。

という訳でこのバンド名だった時はまだ"普通"のサタニズムな世界観が主であり、
93年~95年の音源収録の中で後年に歌詞などNS色が出始めているが、
音楽性の方も年度が進むごとに徐々にグラインドの要素が入っていく感じ。

とりあえず一貫して極悪系のブラックメタルをプレイしていることは確かで、
そういう系統のブラックに垂涎してしまうなら買いの一言だが、
いかんせんレーベルが曰くつきで国内ではなかなか手に入らないので、
中古を待つかDiscogsなどを使って購入するべきだと思われる。

Encyclopaedia Metallum - Lord of Evil
タグ: Lord_of_Evil  War_88  Poland  2012 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Depression Of Surtr : Moloch (2009) 

ウクライナの独りブラックメタルバンド、Molochのコンピレーション盤を紹介。
アメリカのBlackmetal.com Recordsよりlim.1000でリリースされた。

moloch_co.jpg

Molochの2007年~2009年に出した音源からのコンピレーション盤で、
彼の場合はダークアンビエントの作品も多いのだが、
このコンピは完全にプリミティブブラックメタルオンリーの作品である。

モノクロームでミサントロピックな風景を想起させる単調かつノイジーなギターの響きと、
デプレブラックナイズな絶叫ヴォーカルが添える形で進むスタイルだが、
アルバム後半はメランコリックなメロディとアグレッシブなスタイルも聞けるし、
Nargaroth、Moonblood、Darkthrone、そしてBurzumへのリスペクトも垣間見れる。
(後者2バンドはカバーも収録)

「音源を全て集めたら願い事がかなう」と言われるほどリリースが多く、
聞いてみたいけどどれを買ったら良いんだろう?となる人もいると思うが、
そういう人にはこの音源はちょうど良いのではないだろうか。

Encyclopaedia Metallum - Moloch
タグ: Moloch  Nargaroth  Moonblood  Darkthrone  Burzum  Ukraine  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Serpent Saints : Entombed (2007) 

スウェーデンのデスメタルバンド、Entombedの9thアルバムを紹介。
スウェーデンのThreeman Recordingsよりリリースされた。

Serpent SaintsSerpent Saints
(2007/07/31)
Entombed

商品詳細を見る


個人的には2ndアルバム以来の"復帰作"で3rd-8thは聞いていなかったが、
どうやらDeath'n'roll化したということだけは伝え聞いていたので、
Amazonで安く売られていたのを見て久しぶりに購入したもの。

聞いてみれば予想とは打って変わって結構デスメタルをやっていて、
1st,2ndアルバムに近い音も出していたりするんじゃないかと。
またミドル/スローテンポも決して退屈ではなくて重厚な感じでグッド。

巷の評価として"初期作のトリビュート止まり"などと揶揄されていたりするが、
そこまで痛烈に言うほど悪い作品ではないように感じるし、
今も安値で取り扱いがあるので往年のファンは聞いてみてはいかがか。

ちなみにこの記事を書くにあたって現在の活動を調べていたら、
フルレングスはこのアルバムが最後になっていて、
現在のラインナップでは今後、Entombed A.D. という名前で活動するとのこと。
オリジナルメンバーとの間で何かあったようだが不明。

Encyclopaedia Metallum - Entombed
タグ: Entombed  Sweden  2006-2010 
Death  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Bloody Mary : Tudor (1992) 

チェコのブラックメタルバンド、Tudorの1stアルバムを紹介。
オリジナルはカセットテープによる自主リリースだったが、2009年にタイのSlava ProductionsよりCDでlim.1000で再発された。本稿もその再発盤を取り上げている。

tudor.jpg

チェコの初期ブラックメタルというとMaster's HammerRootが二大巨頭だろうが、
このバンドも1987年結成の超古参バンドである。

そもそもチェコのこの頃のブラックメタルはまだ北欧トレンドに侵食される前の、
各々ピュアな表現で邪悪な音楽をやろうとしていて、
Master's Hammerはスラッシュメタルを邪悪にしようとしていたし、
RootHellhammer信奉を切り口にオリジナルな音楽を形成していたが、
なんとこのTudorは正統HR/HMの流れを汲んだブラックメタルをプレイしている。

というよりもヴォーカルスタイルといいメロディラインといい、
これはブラックメタルとは言い難いスタイルのようにも感じる訳であるが、
どことなく背徳感のある雰囲気を醸し出しているという点でやはり初期チェコブラックらしい作品。

彼らはこのアルバムの翌年に解散したものの2001年に再結成して今も活動しているようだ。
現在はインダストリアル要素のあるスラッシュメタルをやっているらしい。

Encyclopaedia Metallum - Tudor
タグ: Tudor  Master's_Hammer  Root  Czech  1991-1995 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Macabre Noize Royale : T.O.M.B. (2007) 

アメリカはペンシルバニアの独りノイズブラックメタルバンド、T.O.M.B.の1stアルバムを紹介。
アメリカのTodestrieb Recordsよりリリースされた。

tomb.jpeg

バンド名は"Total Occultic Mechanical Blasphemy"の略だそうで、
No Oneなる男の独りノイズ/ロウブラックメタルなのだが、
これがまたかなりクセのある感じのサウンドでオカルトというか病的である。

どうやら6年ほどペンシルバニアからニュージャージーまで様々な場所で、
サンプリングしてきたSEを利用しているようなのだが、
そのバックグラウンドは解らないにしても"不快感"を覚える。

またブラックメタルの要素としては同郷のHavohejあたりの、
これまた一癖あるUSブラックメタルの影響を感じるだけに
聴く人をかなり選びそうな一枚だった。
ちなみに自分はウォーブラックと勘違いして買ったのでズッコけた。

Encyclopaedia Metallum - T.O.M.B.
タグ: T.O.M.B.  Havohej  USA  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Burial : Extol (1999) 

ノルウェーのテクニカルデスメタルバンド、Extolの1stアルバムを紹介。
スウェーデンのEndtime Productionsよりリリースされた。

BurialBurial
(1998/12/22)
Extol

商品詳細を見る


Atheist、Cynic(と後期Death)あたりの初期テクデス勢の意志を継承しつつ、
それらの音には属していない異なる"テクデス"を披露しているのがこのアルバム。
Meshuggahにはかなり影響を受けたようだがあれともまた違うように感じる。

確かにテクニカルではあるが決してテクニックに頼っておらず、
確かに曲の展開の激しい切り替わりはあれどもパッチワークのようではなく、
ガチャガチャしていないというかすっきりしているのが素晴らしい。

個人的にはいわゆる"テクデス"はどうもすんなり受け止められない性格だが、
このアルバムは非常においしくいただけたのでのは、
恐らくこのアルバムが機械的なものではなく情緒的なものだったからではなかろうか。

Encyclopaedia Metallum - Extol
タグ: Extol  Atheist  Cynic  Death  Meshuggah  Norway  1996-2000 
Death  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Inferno of Sacred Destruction : Black Witchery (2010) 

アメリカのウォーブラックメタルバンド、Black Witcheryの3rdアルバムを紹介
Hells HeadbangersOsmose Productionsより各々リリースされた。

Inferno of Sacred DestructionInferno of Sacred Destruction
(2011/01/18)
Black Witchery

商品詳細を見る


1990年から活動を始めIrreverent、Witcheryと名前を変えながら成長を遂げ、
1999年にこのバンド名を冠してから3枚目のこのアルバムでまさにピークに達した内容。
まさしくBlasphemyチルドレンの頂点に位置するであろうバンド。

グラインド、デス、ブラックメタルの要素がハイブリットに組み込まれ、
それらが全て神への冒涜のために効率よく使用されきっている。
しかも個人的には各要素がバランスよく入っているとも感じていて、
ウォーブラック初心者であっても受け入れやすい内容ではないかとも思う。

Conquerorのカバーも収録されているが、
他の楽曲に対して余りに自然に入っていて気付かなかったのも面白かった。

手元にあるのはHells Headbangersリリースのものだが、
Discogsを見る限りはOsmoseリリースのものでもDVD付きの2枚組。
2009年にヘルシンキで行われたライブを見ることができる。
中古購入の時はDVDがついているかどうか確認したほうがよいだろう。
タグ: Black_Witchery  USA  Blasphemy  Conqueror  個人的良盤  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Brujerizmo : Brujeria (2000) 

メキシコのグラインドコア/ハードコア/デスメタル集団、Brujeriaの3rdアルバムを紹介。
アメリカのRoadrunner Recordsよりリリースされた。

BrujerizmoBrujerizmo
(2000/11/07)
Brujeria

商品詳細を見る


2ndアルバムの紹介でバンドの話はしたのでアルバムの話に絞るが、
このアルバムでも当然のごとくメキシカンなスペイン語が炸裂。

スペインの人には悪いがスペイン語の持つキナ臭い語感が
楽曲のテーマやリンクしているバックグラウンドとマッチしていて、
相乗効果で良い感じである。

また前作よりヘヴィでスロー~ミドルテンポなパートを用意していて、
若干グル―ヴメタルっぽさを垣間見せるところあたりに時代を感じるが、
Brujeriaらしいグラインドコアの枠から逸脱はしていない。

Encyclopaedia Metallum - Brujeria
タグ: Brujeria  Mexico  1996-2000 
Grind Core/Gore  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Those Who Unleashed : Tangorodrim (2002) 

イスラエルのブラックメタルバンド、Tangorodrimの2ndアルバムを紹介。
Aggressor Productionsよりリリースされ、後にApocalyptic Empire Recordsより再発された。

Tangorodrim2.jpg

以前紹介したHell Darknessのメンバーや、Orphaned Landに在籍経験のあるドラマーがいるバンドで、
恐らくイスラエルでもっとも有名なブラックメタルバンドだと思われる。

サウンドとしては"Darkthrone三部作"を最大限リスペクトした内容で、
単なる猿真似というよりかは上手に消化してミックスしているような印象。
更に言うと後にメタルパンク化したサウンドも一部先取りしているようにも感じる。

何しろ歌詞には以下のような文言も入っていて
Everyday I am into Darkthrone
(Into Bathory and Celtic Frost too)

その確信犯的なやり口には逆にそのクオリティの高さへの自信が伺える。

ゆえにDarkthroneが好きな人なら間違いなく気に入る内容だし、
クオリティの低い猿真似バンドとはレベルの差がはっきりしている良作だ。

Encyclopaedia Metallum - Tangorodrim
タグ: Tangorodrim  Darkthrone  Israel  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Black Putrescence Of Evil : Teitanblood (2009) 

スペインのブラック/デスメタルバンド、Teitanbloodの初期音源集を紹介。
ギリシャのNuclear Winter Recordsよりリリースされた。

teitanbloodcomp.jpg

アンダーグラウンドにこのバンドの名をとどろかせたProclamationとのスプリットを含む、
3つの初期音源のコンピレーションアルバム。
人脈的にもProclamationと密接な関係を持つが、
あちらに比べるとRoss Bay Cult的アプローチより呪術的な雰囲気が強いタイプ。
ゆえにジャンルとしては近いもののテーマ的なものも含めてウォーブラックではない。

BlasphemyとBeheritのちょうど間くらいのロウブラックというと解りやすいが、
更に言うとミステリアスでおどろおどろしいグラインディングブラックという表現もできる。
とにかくこのバンドの暴力的、冒涜的でありながらも神秘的なサウンドは、
この初期作品群から既に確立していたことが解る。

作品としての完成度は1st、そして最近出た2ndにこそ譲る形で、
このバンドを始めて聞くなら2枚のフルレングスからで良いと思うが、
きっとそれらを聴いた後にこのコンピも欲しくなること請け合いである。

Encyclopaedia Metallum - Teitanblood
タグ:   Teitanblood  Proclamation  Blasphemy  Beherit  Spain  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Nuclear Death : SWAMP (2010) 

ギリシャのブラッケンスラッシュメタルバンド、SWAMPのEP盤を紹介。
ポーランドのTime Before Time Recordsよりリリースされた。

swamp.jpg

完全にベスチャル系ロウ/ウォーブラックだと思って購入したらブラッケンスラッシュだった。
未発表3曲と以前にリリース済のデモ音源から4曲の計7曲で、
完全にサウンドはロウでチープな録音ゆえにブラックっぽいが、
やっていることはかなりスラッシュメタル寄りのブラッケンスラッシュ。

ドラムがスタスタなリズムでかなり楽曲としては単調で、
スラッシュメタルとしてのリフの弱さもあり、
一枚の作品としてはかなり印象の薄いものになってしまっている。

ラストトラックの"Kamikazze Bomber Angel"のスペルも、
「カミカッゼ」だし何言ってんだお前は。
現在の活動状況は不明。

Encyclopaedia Metallum - Swamp
タグ: Swamp  Greece  2006-2010 
Thrash  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

NEVER : Think Again (2012) 

日本は横浜のハードコアバンド、Think Againの1stアルバムを紹介。
彼らの自主レーベルであるBREAK THE RECORDSからリリースされた。

NEVER(ネバー)NEVER(ネバー)
(2012/02/10)
THINK AGAIN(シンクアゲイン)

商品詳細を見る


どこぞやの説明文には「レイジングスラッシュハードコア」と書いてあったが、
まさしく彼らのサウンドはスラッシュなハードコアであり、
メタリックなハードコアというかスラッシュメタルナイズである。

いやそういうクロスオーバー的なものではなくてもはや"Think Again"そのものであるが、
スラッシュメタルファンは漏れなくグッとくるし、
そもそも私のようなメタル畑の者がハードコアの門を潜るに至ったのも
このアルバムがあまりに衝撃的で強烈な体験になったからである。

スリーピース編成というのにもグッとくるし3人が各々歌うのもとてつもなくカッコいい。
なるほど世界中のハードコアパンクスに一挙に注目されて、
様々なバンドとツアーに廻って認められているのも理解できるし、
どうぞメタル畑の人にも体感してほしい、これは名盤だ。
ライブも強烈にかっこいいので行ったことが無ければ是非一度。

THINK AGAIN official web site
タグ: Think_Again  Japan  個人的名盤  2012 
Harc Core  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

被害妄想〜人間の底辺に蠢く : Masturbation (2011) 

日本のハードコアパンクバンド、Masturbationのコンピレーション盤を紹介。
日本のYOUTH INC.よりリリースされた。

Masturbation.jpg

このCDは持っているわけではなくて某レンタルCD屋で見つけて借りたもの。
80年初頭の日本パンクシーンを詳しい訳ではなかったので、
実際に歴史的なバンドであることを知ったのは聞いた後である。

メンバーには奇形児でも活動していたタツシ氏や、
スターリン、原オナなどを渡り歩いた名ドラマー、中村達也氏と豪華なメンツで、
#1 "Comfort"の歌詞にもある「息苦しい…」というのがその通りな、
非常に息苦しくスリリングでそれでいてダークで自傷的な世界観に圧倒される。

当時のライブパフォーマンスはかなり危険な感じでカミソリで自傷パフォもあったとか。
当時のアングラなジャパコアシーンを今体感すべくもないが、
強いていえばそのスリリングかつダークさはなどに繋がっていると思う。
タグ: Masturbation  奇形児    Japan  2011 
Harc Core  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

United Aryan Evil : Fullmoon (1995) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Fullmoonのデモを紹介。
GravelandのRob Darkenの運営してたIsengard Distribution(後のEastclan)よりカセットでリリースされ、後にBlutreinheit ProductionsからCD/LPリリースされた。
また昨年にはAncient Order Productionsからカセットでリマスター再発された。

fullmoon.jpg

ポーランドのブラックメタルサークル、The Temple of Fullmoonを象徴する1枚で、
また、このバンドのオフィシャルな作品はこのデモのみである。
1曲目のインストはRob Darkenがコンポーズしていてやっぱり女性の叫び声が。

まさにポーランドの街をハーケンクロイツ旗を掲げながら練り歩いていたときのもので、
サウンドの根底に流れるどことなく悲しげなケルト音楽のリフを基調に、
誇りと憎しみ、そしてどことなく感じる憂いがあわさったプリブラになっている。

後のOhtarにもつながるメロウかつミサントロピックな奏では、
ポーランドアンダーグラウンドの一つの基本にもなったし、
またプリミティブブラックメタルのクラシックな一枚として今も語り継ぐ作品だろう。

Encyclopaedia Metallum - Fullmoon
タグ: Fullmoon  Graveland  個人的名盤  Poland  1991-1995 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Revelations Of Death : Demonic Slaughter (2011) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Demonic Slaughterの3rdアルバムを紹介。
ポーランドのHellthrasher Productionsよりリリースされ、LP盤はHell Is Here Productionからリリースされた。

demonicslaughter3.jpg

このアルバムは今までのモノとは雰囲気がだいぶ異なり、
メンバーが古いホラー/ゾンビ/ゴア映画が好きということで、
その類のものをモチーフにしたコンセプトアルバムになっていて、
ブックレットもそれに準じた内容になっていて面白い。

どちらかというとデスメタルやゴアグラインドのアプローチによく用いられ、
ブラックメタル的アプローチは古いホラー映画のそれとは異なるため、
今までの彼らの作品とは内容が異なる印象を受けた。

そういう意味ではポーリッシュブラックの系譜として聞くよりかは、
80'ホラー映画コンセプトのエクストリームメタルとして聞くとよい気がする。
自分もホラー映画好きなので楽しく聞けた。

Encyclopaedia Metallum - Demonic Slaughter
タグ: Demonic_Slaughter    Poland  2011 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

The Return Of Hate : Bustum (2010) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Bustumの1stアルバムを紹介。
ドイツのDarker than Black RecordsよりCDで、ポーランドのWerewolf Promotionよりカセットでそれぞれリリースされた。

bustum1.jpg

結成は1992年の古参バンドだが90年代にデモを3本出したきりで、
そのうちの1本は"First Day of the Aryan War"というタイトルで思いっきりNSBMっぽく、
今作品でもゲスト参加にDark FuryのRaborymやSelbstmordのNecroといった元Ohtar勢が並ぶなどそれっぽいメンツである。

内容としては "Temple of Fullmoon"系統といってよいであろう、
ノルウェイジャンブラックに作風としては近いもののフォーキッシュな奏でが挿入され、
若干ミサントロピックな印象が強いサウンドである。

正直、18年越しのフルレングスデビューでメンツも豪華でDarker than Blackから出ると言うことで、
どんなに強烈な音源なのかと思っていたのだが、
聞いてみるとそこまで記憶に強く残るようなインパクトはなかったのも事実。
ちょっとサウンドプロダクションがクリアな分、損しているかもしれない。

Encyclopaedia Metallum - Bustum
タグ: Bustum  Ohtar  Dark_Fury  Selbstmord  Poland  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

【column】 Polish Black Metal Scene - IV 

【前回】 Polish Black Metal Scene - III

■ ベテラン勢の現在の活動

 現在のポーリッシュブラックメタルシーンにおいて、本コラムで既に紹介した初期から活動しているベテラン勢の存在感は未だとても大きい。

 まずはBehemothだが、紹介したとおり最近までは「グローバルセンスのペイガニズム」をテーマにしたエクストリームメタルをプレイしていたが、2009年にリリースされた9thアルバムの"Evangelion"はドイツ語で「福音」の意味を持つタイトルを持ち、逆説的な表現で使っている。更にNergalの白血病罹患と克服を経て、今年リリースされた新譜の"The Satanist"は巡り巡って"サタニズム"をテーマにした作品になっている。残念ながら筆者は未聴なのだが評判が良いのでいずれ購入するつもりである。

 一方でGravelandは相変わらずマイペースで淡々と活動をしていて、昨年には13thアルバムの"Thunderbolts of the Gods"をリリースしているが、ブラックメタルそのものからの決別(キリスト教という存在によるサタニズムからの脱却)をしてからの彼の作風から少しもブレていない。NSBMそのものではないと主張しつつも、政治的信念自体は変わっていないようで、2000年代に入ってからのスプリット相手もNoktunal Mortumから、RACバンドのHonorやKreuzfeuerといった様相である。

 その二つのバンドから比べるとネームバリューこそ落ちるが、Besattも今でも活動を続けており、昨年にはテープマテリアルのボックスセット(通称「木箱」)がリリースされるなど、アンダーグラウンドでの支持は厚いし、最近の作風も素晴らしい。またChrist Agonyは一時期名前を変えて活動していたが近年は名前を戻して活動中である。他にArkona、Dark Fury、Selbstmord、Black Altarあたりは2010年代に入っても精力的に活動している。特にArkonaは近年の作品も実にすばらしい。

 他にあのポーリッシュブラック第一世代頭であるPandemoniumは"Satanic Dark Metal"と自らを称して今でも活動しており、今年に入ってシングルのリリースもしていたりする。


― ポーランドメタルシーンについて

 とても強固だと思うが、多くのバンドはまだブレイクスルーに問題を抱えている。英語ができないためコンタクトがとりづらく、マネージャーもいないんだ。彼らの成功にはデキるプロフェッショナルなマネージャーが必要だ。あとは周囲に信頼する人間もだ。ポーランドにはそういう人間がいないんだ。
(Nergal from Behemoth)

― 歌詞をポーランド語で書いて、翻訳してもらっていると言うのは本当ですか?

 本当だ。私はいつもポーランド語で歌詞を書く。ポーランド語から英語への翻訳は難しいようで、時々大きな問題も生じる。私の歌詞は大体は詩的感情を抜いた生々しくシンプルなものなのだが、それでもまだまだ難しいようだ。世界中にはミカエル(翻訳者)のようなGravelandをサポートしてくれる人がたくさんいるんだ。私の英語はとても貧相で、他の人の力を借りざるを得ない。手紙やEメール、インタビューの回答についてもね。
(Darken from Graveland)

― ポーランドではブラックアートの支援は十分ですか?

 全くと言っていいほど皆無だ。しかしポーランドは伝統的なカトリックの国だし、だからこそアンチクリスチャンは力強く誇り高い。我々はそこにいる。きっとそういう国だからだろう。多くのブラックメタルバンドがアンホーリーライフを築いている、そこにはきっと「バランス」があるのだ。
(Besatt)

― どうしてポーランドに素晴らしいブラックメタルバンドが多いのですか?

 ポーランドのミュージシャンが何に触発されているのか、もしくはほかの国と何が違うのか、それを言うのは難しい。しかし唯一考えられることとしては、ここでは非常に伝統的なカトリック教会が生活に組み込まれているということなんだ。これがこの国でキリスト教主義に対する反発を生んでいると考えられる。一番の例としてはGorgorothのギグがポーランドで行われたとき、DVDで録画したのだが、そのマテリアルは警察に押収されたんだよ。
(Black Altar)


■ ポーリッシュアンダーグラウンドシーンの今

CdG.gif いわゆる2000年以降に結成された若手~中堅に属する、現在のポーランドブラックメタルを象徴するであろうバンドに関しても、今までこのコラムで触れてきた90年代から活動するバンドの人脈筋であることが多い。例えばSunwheel
、Kriegsmaschine、Furia、Massemord、Mgla、Legacy of Blood、Blaze of Perdition、Flame of War、Demonic Slaughter
あたりのバンドはいずれもそれに該当する。

 しかしあえてその人脈筋から外れたところで有力なバンドを挙げるならば、Cultes des GhoulesUpirだろう。両バンドのインタビューを以下に紹介するが、当初のポーリッシュブラックメタルシーンにあった、カトリックからのカウンターカルチャーとしてのブラック/ペイガンメタルというモチベーションから離れた、ポーランドからの新しいブラックメタルという印象を強く受ける。


interview with Upir

―ポーリッシュブラックメタルシーンについての意見は?

Skogen: 90年代半ばこそ「大きかった」が、それ以降はシーンの内側に閉じた活動を望むようになって、規模がシュリンクしていった。その結果、他国のジンやレーベルに取り上げられることもなくなってしまった。それは悲しいことだ。さらにシーン内部での争いもはじまり、皆エゴを振りかざして”ポーザー狩り”が始まった。それによって、その「大きかった」シーンとやらは、その歴史的な価値まで格下げされてしまって、まるで見世物小屋のようになったのさ。
だからポーランドのブラックメタルシーンが「大きい」なんてナンセンスなことだ。確かに沢山のバンドは存在していたが、それらも偽物だとかポーザーだとか糾弾されて消えていった。クソ野郎どもが「トゥルーでカルトな90年代」とかいう枠に当てはまるかどうか、ふるいにかけていたのさ。


― NSBMに意見は?

Skogen: NSBMブームは過去の話だ。昔こそ私も関わっていたが、世の中は変わった。私は自己哲学に目覚めて、そこから抜け出た。私はどんな肌の色だって同様に憎むし、そもそもこの地球自体、隕石でも落ちたりして滅びればいいとさえ思っているんだ。それをこの目で見るために長生きしたいのさ。もちろんVelesとかFullmoonとかそういう過去のバンドの作品は好きだが、イデオロギーが先に来て、音楽性が後に来るバンドはクソだね。自身の政治的なイデオロギーに信念があったとして、音楽でそのプロパガンダを広めて人を感化させたいと思っているのに、審美的価値のない歌詞にして、100本くらいのテープリリースしかしないとか、それはまさしくアンダーグラウンドの所業ってやつで、目的と行動が一致していないんだ。ゆえにNSBMのほとんどは「音楽」という基本的なベースを失っているのさ。俺は音楽も歌詞も等価に考えているし、それに誇りを持っているよ。

Legion: よく言われている「音楽と政治的観点を混合したらダメ」ってことなんだけど、それはもちろん納得したうえで、でも真実は吐露されるべきものだし、とても少ないけども歌詞でしっかりとした政治的信念を述べているバンドはいるんだ。ほとんどのNSBMの歌詞はそういうものじゃないけどね。私はアーリア人種がどうとかこうとかはいわゆる「嫌悪」による人種差別そのものであると理解しているけど、ブラックメタル自体が「嫌悪」という要素を含蓄していると思う。私個人としては「メタルが反抗、サタン、死の象徴」だと思う人の意見は完全に理解できるけれども、「白人のユートピアビジョン」についても否定をするつもりはないんだ。誰かが悪魔についての歌詞を書いて、他の誰かがNSについて書いたとして、それのどこに問題があるというんだ?個人的には私だって右翼的な政治思想はあるけれども、それについて音楽で表現するつもりはないだけだ。私は自分自身しかフォーカスしない。それが私のルールなのさ。



interview with Cultes Des Ghoules

― Cultes Des Ghoulesの名前の由来と音楽的アプローチとの関係は?

 メンバー全員がラブクラフトの書籍を愛読している。あれはとても神秘的な世界観を持っているんだ。だから我々はポーランド発の正体不明なバンドとしてその本から拝借したんだ。パーフェクトなネーミングだ。やっている音楽ももちろん神秘性を表現している。


― レビュアーやメディアはブラックメタルとしてとらえているけど、新作を聞く限りそこにとどまらないと思うが、”メタル”とかジャンルやカテゴリーをこえたアプローチをしている?

 それはブラックメタルだとしか言えない。ファンシーな飾りつけなど要らない。ブラックメタルは我々が常にそうしたいと思っているそのものであり、そこからスタイルを壊そうなんて思ったことがない。このスタイル自体は変えていくにはあまりに良質で活気のあるものなのだよ。つまりブラックメタルである、というものは軛ではなく、そのスタイルのままに多くの”新しい発見”ができるということさ。あなたが言っているブラックメタルというスタイルは狭義な定義だってことだね。



■ まとめ

 今回はポーランドのブラックメタルシーンに注目して、なぜポーランドにおいてブラックメタルが隆盛になったかの要因が、その特異な国の成り立ちとそれをめぐる宗教、民族問題に関連していることが解った。その中で、スカンディナヴィアからの2nd-waveの到来とともに"The Temple of Fullmoon"というNS志向のサークルが形成されたが、同時に宗教/民族という観点において特異な環境であるポーランドにおいては、それが主流に成りきることなく、各々ペイガニズムや個人主義への台頭を促すことになった。その推移は比較的緩やかに動いたため、NSBMからの脱却がなされた後についても、NSBMとして見做されていたバンドも多かったようである。

 その一方で"The Temple of Fullmoon"の活動は政治的な観点だけでなく、「トゥルーかどうか」という観点でもその指標として用いられ、その結果として国外に情報が出ていかなかったことで、ほとんどのバンドの世界的な認知度が上がらない状態にあった。それによってカルト性も上がったようではあるが、インターネットによる情報収集が一般的になった近年では様々なバンドの情報を収集することもできるようになり、またマテリアルとして再発盤を手に入れることもできるようになった。それは恐らく、シーン自体は90年代初頭から活動してきた人物が未だに多くバンドを継続していたり、新しいバンドで活動しているということもあり、過去のマテリアルが再発されやすいということだと推測される。

 逆に言えば神秘的なポーリッシュブラックという”印象”はいまでも引き摺っているというところであろうが、一方でそのような「古き良き」ポーリッシュブラックを聞いて育った新世代に当たるバンドも出てきており、それらに言えることは元々のモチベーションだったカトリックに対するカウンターカルチャーという枠組みを超えたところに新しいポーリッシュブラックメタルシーンを築いており、その表現方法についても深化を遂げ、かつ多様性が生まれてきており、今後においてもブラックメタルシーンの重要な地域として注目していく必要がある。

Hail Polish Black Metal!!
タグ:   Column  Poland 
その他  /  tb: 0  /  cm: 2  /  △top