Gospel Of The Insane : Bestial Mockery (2006) 

スウェーデンのブラッケンスラッシュメタルバンド、Bestial Mockeryの3rdアルバムを紹介。
フランスのOsmose Productionsからリリースされた。

Gospel of the InsaneGospel of the Insane
(2007/02/08)
Bestial Mockery

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ブラックメタル初期のあくまでスラッシュメタルから発生した内容を保持しており、
初期衝動たっぷりでありながら順調にキャリアを伸ばしていった彼らの安定な作風。
ジャケットで全てを理解できるそのまんまの内容で大満足。
まさにチェーンソな切れ味たっぷりというより破壊的なゴリゴリを味わえる。

Motorheadにも通じるようなノリの良いブラッケンスラッシュで、
この手のサウンドが行ける人には最高に好物な一品だろう。

一時期、活動を停止していたが去年、活動を再開したようで、
新譜のリリースも期待されるところだ。

Encyclopaedia Metallum - Bestial Mockery
タグ: Bestial_Mockery  Sweden  個人的良盤  2006-2010 
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Spreading The Disease : Anthrax (1985) 

アメリカはニューヨークのスラッシュメタルバンド、Anthraxの2ndアルバムを紹介。

Spreading the DiseaseSpreading the Disease
(1990/06/04)
ANTHRAX

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スラッシュメタル四天王に入っているらしいバンドなのだが、
他のSlayer、Megadeth、Metallicaと違って幼少期に耳にしなかったため、
私にとってはあまり思い入れの無いバンドである。

とはいえ、スラッシュメタルにパワーメタルがミックスされたような音で、
スラッシュメタルらしさが素晴らしいというよりパワーメタル然しているところが、
なるほど聴きやすいかっこいい音になっている。

アメリカらしいロックヒーロー像とも合致するようなサウンドなんじゃなかろうか。

Encyclopaedia Metallum - Anthrax
タグ: Anthrax  1981-1985  USA 
Thrash  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Die Rückkehr Wotans : Amalek (2007) 

ドイツのNSBMバンド、Amalekの2ndアルバムを紹介。
Hammerbund Division Vinlandからリリースされた。

Amalek2.jpg

ブックレット等結構お金がかかってそうな感じなのだが、
あまり良く知らないレーベルからリリース(Satanic Warmasterも1枚だけリリースしている)。

ペイガニズム、ナショナリズムを掲げたバンドのようだが、
その割に煽情的なサウンドになりきれておらず、
同系統のものと比べると民族的高揚感に欠ける。

Aryan Artとのスプリットも出したバンドなのだが、
そこまで知名度が高くなっていない理由も良くわかる。

Encyclopaedia Metallum - Amalek
タグ: Amalek  Germany  2006-2010 
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Enter : Within Temptation (1997) 

オランダのシンフォニックゴシックメタル、Within Temptationの1stアルバムを紹介。

EnterEnter
(2007/09/18)
Within Temptation

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女性Vo.のゴシックメタルというとThe 3rd and the Mortalの1stが名盤だと思うが、
あのアルバムのような退廃的なゴシックロックなサウンドではなく、
もっと大仰でシンフォニックな展開と女性Vo.が絡むもの。

今となっては女性Vo.のゴシックメタルと言えばこういう作風が多いので、
そういう意味ではシンフォゴシックの金字塔的作品かもしれないが、
いずれにしてもいわゆるゴシックメタルを期待すると拍子抜け。

まだまだ垢ぬけていない女性Vo.にくすぐられる。
こういうのが好きな人にはきっとツボなのではなかろうか。

Encyclopaedia Metallum - Within Temptation
タグ: Within_Temptation  Netherlands  1996-2000 
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Despair : Valhom (2007) 

アメリカはイリノイのブラックメタルバンド、Valhomの3rdアルバムを紹介。
2ndを再発したArs Magna Recordingsからリリースされた。

DespairDespair
(2011/01/11)
Valhom

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ドラマーのLord Deceptionが抜けて一人ブラックバンドに。
とはいえ元々ほとんど一人で作っていたようなもので、
作風も同じように良質な北欧ブラックをプレイしている。

2ndに比べて更に聴きやすいメロウなサウンドを多く取り入れて、
攻撃性も持ちながら非常にバランスの良いアルバムに仕上がっている。

2ndよりこのアルバムの方が好きかな。
それにこのアルバムの方が良く転がっている気がするし、
国内でも手に入りやすいので気になる方は是非是非。

Encyclopaedia Metallum - Valhom
タグ: Valhom    USA  2006-2010 
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Desolation : Valhom (2005) 

アメリカはイリノイのブラックメタルバンド、Valhomの2ndアルバムを紹介。
自主リリース後、翌年、Ars Magna Recordingsから再発された。

Valhom2.jpg

Lord Temptation (Vo.,Gu.,Ba.,Simth)、Lord Deception (Dr.)
の二人バンドでほとんどLxTxのプロジェクトとも言えるバンド。
現に次の作品からは彼の一人バンドになってしまった。

内容としてはUSBMらしいUSBMでは全くなく、
いわゆる冷気を感じるメロディックなスタイルの北欧ブラックで、
かつその系統としてはかなり質が高いのがポイント。

ネームバリューこそ高くないのはこのバンドがアメリカのバンドだからかな?
アバンギャルドさはないもののアンダーグラウンドらしい雰囲気と、
そして上質なメロディを持っている佳作だ。

Encyclopaedia Metallum - Valhom
タグ: Valhom  USA  2001-2005 
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Pro Nihilo Esse : Ars Diavoli (2008) 

ポルトガルのアトモスフェリックブラックメタルバンド、Ars Diavoliの1stアルバムを紹介。
フランスのDebemur Morti Productionsからリリースされた。

Pro Nihilo EssePro Nihilo Esse
(2008/12/13)
Ars Diavoli

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ホワイトノイズまみれの中、ノイジーなギターを基調に、
決して疾走することなくミドルテンポで淡々とスーサイダルな雰囲気を醸し出していく。

邪悪でありながら絶望を抱いたヴォーカルにも説得力があり、
かつ根底にあるメロウなサウンドがそれらを包み込んでいるような感じで、
ディプレッシブでありながらそれが鼻に着かないのがこのバンドの素晴らしいところ。

決してオリジナリティが高いものではないがバランスがよくとれている。
この手のジャンルにおいてはかなり完成度が高い。

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タグ: Ars_Diavoli  Portugal  2006-2010 
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Skaur : Skaur (2011) 

ノルウェーのメロディックブラックメタルバンド、Skaurの1stアルバムを紹介。
自主リリースのlmd.300。手書きナンバリングで62でした。

Skaur1.jpg

Heimdalls Wachtがお気に入りであることを公言していたら、
仲良くしてもらっている方から結婚祝いに頂いたもの。 <ありがとうございました!

触れ込み通り、Heimdalls Wachtタイプのジャーマンペイガンブラックサウンドで、
何も知識無く聞いたらノルウェー産だとは誰も思わないのではなかろうか。
もちろん、私には弩級ストライクのサウンドであり、胸に突き刺さるメロウさが素晴らしい。

2003年から活動しているがデモやスプリットのリリースが多く、
これが初のフルレングスだがそれを感じさせないのびのびとした好盤。
この手のペイガンブラック好きには是非お勧めしたい逸品だが、
そのためにも早くそこそこのレーベルと契約して再販を願いたい。
(何かイタリアのレーベルと契約したようだが、詳細は不明)

Encyclopaedia Metallum - Skaur
タグ: Skaur  Heimdalls_Wacht  Norway  2011-2015 
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Speed Kill : Bombarder (1989) 

ボスニア・ヘルツェゴビナのスピードメタルバンド、Bombarderの1stアルバムを紹介。
Panonija Koncertからカセットリリースされたのち、ボスニアのWalk RecordsからCD再発された。

bombarder1.jpg

まだユーゴスラヴィアという国が存在していた頃のバンド。
その後のお国事情を考えると理解できるような崩壊寸前のスピードメタル。

テクニックの伴っていないMotorheadと言った様相で爆走する演奏。
ヴォーカルも良い感じにポンコツ嗄れ声でプリミティブな楽曲とよくマッチ。

ポンコツ嫌いには全く向かないとは思うが、
南米スラッシュとはまたちょっと異なる崩壊型スピード/スラッシュメタルで、
ポンコツ好きには是非ともお勧めしたい作品。

Encyclopaedia Metallum - Bombarder
タグ: Bombarder  Bosnia_and_Herzegovina  1986-1990 
Thrash  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

...Oniirica : Bauda (2009) 

チリのシューゲイザー/フォークメタルバンド、Baudaの1stアルバムを紹介。
中国のPest Productionsからlmd.1000でリリースされた。

bauda1.jpg

フォークメタルとはいってもAgallochのようなスタイルのものであって、
Ulverのスタイルを継承したようなフォークブラックという印象。
更に近年流行ったシューゲイザーブラックも反映させたスタイルと言えば解りやすい。

全編ヴォーカルレスのインストなのでヒーリング音楽のような趣も感じる。
ヒーリング音楽というには音像が前記バンドのような荒涼さが出過ぎているが。
ヴォーカルが入ったらどんな感じになるかは興味ある。

確かに耳触りはなかなか良いのだが、若干手法としては安易さも感じる。
安易というか、どうも優等生サウンドすぎると言うか。
チリから出てきたというだけにもう少し南米らしい胡散臭さ(といったら失礼だけど)も欲しかった。

Encyclopaedia Metallum - Bauda
タグ: Bauda  Chili  2006-2010 
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War Of All Against All : Diocletian (2010) 

ニュージーランドのウォーブラックメタルバンド、Diocletianの2ndアルバムを紹介。
アイルランドのInvictus Productionsからリリースされた。

Diocletian2.jpg

カナダのBlasphemyConquerorRevengeあたりのウォーブラックを展開。
グラインドコア的なブラストの暴走っぷりもさることながら、
ミドル、スローテンポを取り入れた緩急の付け方など全てにおいてグレイト。

楽曲が非常に強力で、とてつもなく邪悪で神への冒涜に満ちている。
決して前記2バンドにも引けを取らない強力なバンド。
この作品の後、大手レーベルに移籍したのも頷ける完成度。

この手のジャンルが好きな人はマストバイではなかろうか。

Encyclopaedia Metallum - Diocletian
タグ: Diocletian  Blasphemy  Conqueror  Revenge  New_Zealand  個人的良盤 
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【column】 Beherit Worship - V 

■ 現在のブラックメタルシーン

beherit_1st.jpg 5thアルバムがリリースされた後、2010年にSSのコレクションの中から1990年にレコーディングした幻の1st音源を見つけてリリースしたのが”At the Devil's Studio 1990”(2011) である。この本来のデビュースタジオアルバムは既に発表されているものと同じ楽曲名でもバージョンが異なり、2曲は未発表曲となっている。テープの経時劣化によるものも含まれるだろうが、音質はまるでリハーサルのような内容で、20年の歳月を経て、彼らの当時の苦境を体感すると共に、衰えることの無いロウでプリミティブな精神を感じ取ることができる。2009年に"Engram"、そして2011年にこの幻の1stをリリースした彼らの今後の活動にも期待していきたい。たとえどういう音像に推移していったとしても、彼らの持つ絶対的なプリミティブなスタンスが変わることが無いことは、この幻の1stの存在と音像が表現していると思うし、このコラムを通して皆さんにご理解していただけたらと切に願う。

 最後に近年のNHVのインタビューからブラックメタルシーンについて語られているところを抜粋して掲載する。

NHV: 現代のブラックメタルシーンはマジョリティのためのシンボルとして知られるようになった。これはインターネットによるものが非常に大きい。若いファンのほとんどは愚かにも捻じ曲がった幻想を当時のシーンに抱いている。当時はブラックメタルは全く支持されていなかったし、非常に小さいシーンの中で活動しているバンド同士は認知し合っていた。これはフライヤー、トレード、ファンジンによるものだ。

― ロマン派のような実存主義にブラックメタルは陥っていないだろうか?
NHV: 前はそうではなかった。私は昔、インターネットフォーラムにブラックメタルはアンチクリスチャンであると書いたことがあるが、その後バンドによってはそれを否定し、政治、レイシズム、NSBMのような主張に向かっていった。それらは古きブラックメタルの範疇にはなかったものだ。最近ではキッズたちが我々が主張していた信念や意見をシーンに語るときにより大いに複雑にしてしまっているに思える。Beheritはオカルティズムのダークサイドに関して、容赦なく痛烈で異様なサウンドを作り出すことを望んでいたんだ。それ以上でもそれ以下でもない。それは私の音楽作りのメインポイントの一つであるが、それがブラックメタルかどうかについて考えて製作することはない。言えることはBeheritがプリミティブであり続けるということだけだ。

NHV: 私は東南アジアに永い間滞在している。そこでは若い人々が音楽的理解を求めてMTVに見られるようなメジャーバンドに陥りがちだが、それでもパンクシーンで確立されているようなトゥルーなアンダーグラウンド本能が見られる。ブラックメタルシーンは非常に小さいのだが、Surrender Of Divinityのようなバンドもいるんだ。彼らは非常にクールだ。そこにアンチクリスチャンムーブメントなんて要らないんだよ、ハハハ!

―現在のフィニッシュメタルの隆盛はご存知ですか? 90年代初頭、フィニッシュメタルは他では知られていなかった。しかしいまやフィンランドのメタルシーンはインターナショナルなものになりましたよ。
NHV: メタルは今日、ビジネス的なものになった。あなたはコマーシャリズムについて私の意見を聞きたいのか?よし、わかった。クソみたいなトレンドはBeheritのようなバンドには少しの影響もないよ。


■ まとめ

 1990年~2010年におけるNHVのインタビュー記事を参考に、時系列にBeheritの歴史と、その周辺の変遷についてまとめた。そこには現在のブラックメタルシーンにおける過去への理解に齟齬があったこと、そしてBeherit、ないし中心人物のNHVの頭の中にあるブラックメタルという音楽に関する哲学は我々が想像しているよりプリミティブで神秘的なものでありながら、かつ非常にシンプルなものであることがわかった。現在のブラックメタルシーンは多岐に渡っており、様々なサブジャンルを形成しつつあるが、アンダーグラウンドにしかありえない精神的な産物である”ブラックメタル”たるものは確固たるものがある。それをファンそのものがさも複雑なものにしてしまっているのであり、その確固たるものを持っている希少価値の高いバンドは、たとえインターネットによる情報の拡散を受けても揺るぎ無いプリミティブで神秘性なサウンドを作り続けることができる。Beheritはそのような特別なバンドの1つなのだ。

Beherit Worship!!

【完】
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【column】 Beherit Worship - IV 

■ ベストアルバムのリリース

Beherit_split.jpg 1999年、Archgoatとのスプリットがリリースされた。こちらはEP盤"Messe des Morts"(1993)とArchgoatの"Angelcunt (Tales of Desecration)"(1993)のカップリングであり、両バンドの解散前の音源である。なお、この音源の時は既にSSは参加していない。この1993年という年はちょうど第一期フィンランドブラックメタルバンドの区切り目であり、その後、フィンランドでは新しいフィニッシュブラックのムーブメントが形成されることになる。Horna(1993-)、Behexen(1996-)、Sargeist(1996-)、Satanic Warmaster(1998-)、Pest(1998-)、Clandestine Blaze(1998-)などがそれに該当するが、いずれもスタイルとしてはBeheritとは異なっていた。思うに、インナーサークルの崩壊などでノルウェーのブラックメタルシーンに変化があった際に、先述した"Dark War"に落ち着きが見られ、その結果、フィンランドのブラックメタルシーンにおいても外のサウンドを大いに取り込むきっかけが生まれたのではないかと思う。現にこの頃に生まれたフィニッシュブラックは大いにメロディを取り入れたサウンドになっている。今ではこの流れをフィンランドのブラックメタルと認識されているが、個人的にはあくまで第一世代のフィンランドのブラックメタルはBeherit、Impaled Nazarene、Archgoatのようなサウンドだと認識している。

beherit_boot.jpg この年にこのようなスプリット盤が出たのも、Beheritの初期音源にカルト的人気が出てきたからである。そのためブートレグもリリースされた。その中でも一番有名なブートレグは"The First Years"だろう。このジャケットに使用された写真は、他のブートレグでも数枚に使われているなど、印象的なNHVの形相が真に迫ってくる素晴らしいものだ。ドイツのMetal Bastardからリリースされたブートレグで、demo"Demonomancy"と、EP"Dawn Of Satan's Millennium"が収録されたものとなっている。このアルバムは後にギリシャのレーベルから2003年にWerewolf Semen And Bloodというタイトルでもアンオフィシャルとしてリリースされている。とかくこの頃から現在に至るまでブートレグは大量にリリースされており、活動を停止していたこと、更には活動をしていた時期がノルウェイジャンブラックが隆盛の頃より前だったこともあり、その存在の神秘性も含めて、カルト的な人気が伺えるのである。

Beherit_Best.jpg そのような状況で、NHVは契約していたSpinefarmからオフィシャルな初期音源集としてベストアルバムの制作を打診された。その作品が "Beast of Beherit: Complete Worxxx"(1999) である。このベストアルバムの価値は非常に大きい。初期のGoat Worshipなサウンドから、アンビエント作品まで取りそろえつつ、選曲も素晴らしい。 サウンドプロダクションも一部良化していたり、The Lord Diabolus期の作品も収録、更にはバンドとしての最後の活動となったRiihimakiでのライブも収録されている。Beheritのアルバムを1枚選べと言われればこの作品になるであろう素晴らしい作品であり、ブラックメタル史に残るアルバムだと思う。

 このリリースにあたってインタビューを受けたNHVはこんなことを話している。

― Beheritはブラックメタルの創成期から活動していたが、解散してから売れ出したと思わないかな?何が今日のブラックメタルに対する決定的な作品だったんだろう?

NHV: 俺たちは売れようが売れまいが気にしちゃいない。Beheritは「アンダーグラウンドのホビー」だったからさ。我々はブラジルのバンドを聞いたし、デモやテープをシンガポールやマレーシアの人とトレードしたり、世界中でやりとりをした。私はしばらくインタビューも受けず、手紙のやり取りもしていなかったけどね、本当に成功したブラックメタルが唯一Venomだけだったとき、誰もブラックメタルがこんな大きいジャンルになるなんて思ってもみなかった。

― Beheritとは一体"何"でしょうか?
NHV: フィンランドの初のブラックメタルバンドだ。そして、Beheritは偽り無く存在していた。だからこのまま[RIP]にさせてほしい。


 その後、NHVは"Gamma-G"として"(G)raveyard 2001 - The Ultimate Hardrave Massacre"をリリースした後、東南アジアに移住していた。

■ The Return of Goat Worship

 東南アジアにおいて、NHVはホテルやレストランのウェブマスターとしてインターネットの仕事に携わっていた。一方で彼は電子音楽用のレコーディングスタジオを持っていて、6年間アンビエントのラジオをプロデュースしていた。内容としては特にドローンとダークアンビエントを取り上げることが多かった。

その頃、ブラックメタル、ダブステップ、ドゥームメタル、そしてアンビエントを組み合わせたような音楽の可能性にとても魅力を感じていたという。

NHV: ロックに電子音楽をミックスさせた成功事例は色々あるが、そのオーディエンスのほとんどはエンターテイメントとして聞いているだけのように思えるよ。もしかしたら最大のチャレンジは音楽の構成にあるんじゃなかろうか。ベーシックなメタルヘッドには、ひどいチャレンジに思われるかもしれないが、私はポピュラーな歌の構成(バース、コーラス、ブリッジのような)のことを意味しているんじゃないよ。


 NHVは高次のミュージックスタイルを目指し始めていた。しかし、彼はブラックメタルに戻ってきたのだ。それは唯一つの渇望によるものだった。

NHV: 一人でホームスタジオで仕事をして数年経ち、もう一度、リアルなバンドミュージックをプレーしたいと思ったのだ。内面のリーチャルな精神世界を垣間見てから、もう一度表現したいものができた。私は一人でコンピューターを使って電子音楽を作り出すことができるが、ドラムを上手くたたくことはできないんだ。


beherit_5th.jpg 東南アジアに渡った後も、SSとは連絡を取り合ってたという彼は、二人のメンバーを新たに加えて4人で2008年、D-studioでレコーディングを開始した。The Lord DiabolusはNHVとSSの最後のスタジオ作品であり、その頃の作風が大いに影響を受けたというだけあって、完成した新作”Engram”は非常にプリミティブで強烈なブラックメタルとなった。しかし、SSが「新作は古さと新しさの介在」だと述べているように、決して90年初頭の彼らの作品を流れをのみを汲むものではなかった。恐らく、上記に書いたようなNHVのジャンルを超えた音楽体験はこの作品に多大なる影響を与えたと思える。現にアルバムの作風としてはプリミティブでロウなブラックメタルであることは間違いないが、同時に当時にはなかった神秘性を大いに感じるサウンドになっているように思える。これは単にキーボードの使い方がどうとかそういう問題ではなく、先述した「楽曲の構成」というところが重要なファクタになっているように思われる。そのため、従来のロウ/ウォーブラックとは一味違うような新たなプリミティブなブラックメタルに仕上がっている。もっと評価されて良いと思う一方で、ブラックメタルにおけるジャンルの細分化の中で、彼らの「楽曲の構成」は実はどこにも当てはめにくい境地に達しつつあると思われ、聞き手にとってはフォーカスしにくい面もあったのではないかと思う。しかしながらこの作品は非常にトゥルーなものであり、ブラックメタルファンを自任するならば聞くべき作品だろう。

[続] → 【column】 Beherit Wohship - V
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【column】 Beherit Worship - III 

■ フィンランドとノルウェーのDark War

beherit_impaled.jpg Turbo Musicから勝手にデモ音源のコンピレーションを1stフルとしてリリースされてしまったBeheritだが、一方でフィンランドのブラックメタルシーンにおいてはImpaled Nazarene(1990-)、Barathrum(1990-)、Archgoat(1989-)が台頭していた。Beheritの活動はそれらのバンドへの影響も大きかったに違いない。特にImpaled Nazareneとは縁が深く、双方が兄弟として認識するほどの仲だった。そして同年、行った両者のライブのブート盤はかなり有名であり、ブートレグの枠を超えて世の中に出回っていた。この音源もまた超強力な一枚である。

 この頃、ノルウェーはどうだったのかというと、ちょうどMayhemDeadが自殺で亡くなった(ご存じの通り、諸説あり)のが同年のことである。ノルウェーとフィンランドのブラックメタルシーンにおける対立は非常に有名な話であるが、この時点ではそのような歪みは発生していなかった。というのも、Deadの死に対してNHVは以下の発言をしているからである。

NHV: Mayhemがリアルじゃないなんていう野郎はぶっ殺してやる。Deadはこのブラックメタルシーンにおいて最もブルータルな男だった。大いなる敬意を表したい。永劫、トランシルヴァニアのかの地においてDeadの名前は栄光のうちにある。冥福を祈る。


 しかし同時にNHVは同年に結成したBurzumEmperorの両バンドには幾分否定的な意見を出している。

NHV: Emperorのような新しいバンドはあまり聞いていない。けどそれらの中には良いバンドは結構いるとは思うよ。でも俺は古いブラック/デスメタルバンドを聞くからね。だってそれらはグラインドを感じるし、オリジナルだから。

NHV: 少なくともBurzumは俺が重要視しないバンドの一つだ。なぜかって、俺はBurzumでプレイしている奴(カウントのこと)を知っているからな…。でも、もちろん世界中でBurzumより酷いバンドは山ほどあるとは思うよ


 なるほどこの頃のノルウェーで生まれたそれらのブラックメタルバンドはその頃のMayhemとは異なり、彼が掲げていた粗暴でサタニズムを掲げたデスメタルという括りにはないものだったし、興味の範疇に無かったのだろう。しかし特にBurzumに関しては個人的感情が大きかったと思われる。それはやはり一連の事件においてDeadへの想いもあったのではなかろうか。

 また、ノルウェーではかの有名なインナーサークルが結成されている。しかしその活動といえば犯罪の話題が多く、そのゴシップ的な性質をもつ商業的な動きも現れ始めていた。実はこの頃、ブラックメタルの勢いが失われたとアンダーグラウンドで囁かれていたというのだから驚きだ。そんな中、突如としてDarkthroneがライブなど一切やめて、急にコープスペイントを施してリリースした2nd"A Blaze In The Northern Sky"(1992)である。これはシーンを大いに驚かせ、ピュアなブラックメタルが復活したと騒がれた。当然、このアルバムについてはNHVも賞賛している。

NHV: ノルウェーブラックメタルバンドの野郎どもは全員トゥルーだ!くそっ!そいつらは全くもってトレンディじゃないんだ!万歳、ノルウェー!


しかし、更にインナーサークルの犯罪性は激化、他バンドにまで攻撃性を増し始める。現にParadise Lostはツアーバスを襲撃されている。NHVは「そいつら次第だよね、ま、俺は理解できないけどね。そんなのノルウェーでだけだしね」と冷静に答えている。あくまで彼の目指すブラックメタルにインナーサークルの活動は青臭く見えていたのかもしれない。しかしながら彼の周辺が大人しくしているわけがなく、ファンジンなどの媒体にも様々な「嘘、偽り」が広がり始めた。そして、ついにノルウェーとフィンランドとのブラックメタルシーンの対立を煽り始めたのである。

 Impaled Nazareneの1st"Tol Cormpt Norz Norz Norz..."(1992) のクレジットにはかの有名な"No orders from Norway accepted"という文が刻まれており、明確に"Dark War"が勃発したことがわかる。当然、BeheritにもNHVにも被害が及び、彼としてもノルウェーを"敵"として見ざるを得なかった。NHVは後のインタビューではこう答えている。

― その頃、フィンランドとノルウェーでDark Warが展開されていました。実際そんなことはあったんですか?それともファンジンが広めた嘘なんでしょうか?

NHV: その通りだ。俺はこの話題にちょうど良い興味深いソースを見つけたよ。“Isten magazine”っていうファンジンにおけるMikko MattilaとJanne Sarnaの記事なんだけどね、1995年のファンページでのことさ、言っていることは全部嘘ばっかで、ごみだらけだったんだよ。私に対して悪意を持っていただけなんだよ。

― だから彼らの言っていることに絶対引かなかったということですね。

NHV: いや、でもそれは15年前のことなんだよ。俺は正確な状況がなんだったか知ってるわけだし、だからといってMika Luttinenに悪戯なんてする気もないね。結構いろいろキッズからも受け取ったけどね。親の家にいたずらされたりもしたんだよ。


■ 名盤のリリースと解散

Beherit2.jpg 話をBeherit自身に戻そう。Turbo Musicの呪縛から解放された彼らはフィンランドのSpinefarm Recordsと契約し、2nd"Drawing Down the Moon"(1993) をリリースした。今となっては巨大レーベルにまで成長を遂げたが、この時点ではまだフィンランドの1レーベルに過ぎなかったわけだが、同年にSentencedDark Tranquillityといったバンドの音源をリリースしており、その先見性の良さが解る。

 内容としてはようやく良質なレーベルの支援の元、NHVにとっても満足いく作り込みが出来た他に、当初のBlack/Deathスタイルから比べると曲調の遅くなった楽曲も取り入れるなどヴァリエーションが豊かになった。また、ヴォーカルもよりアグレッシブなスタイルに変貌。さらにキーボードを大きく導入し、空間的で宇宙的な広がりを感じる神秘的なサウンドを取り入れている。これはハードコアテクノの影響を強く受けている。この頃から、NHVのブラックメタル以外への興味の強さを感じる。

 このアルバムは一部で絶賛されたにもかかわらず、当時起きていたフィンランドとノルウェーの対立、そしてノルウェーにおけるインナーサークルの犯罪激化がもたらしたゴシップがもたらしたブラックメタルというジャンルへの誤解などなど、これらによって意図したような成功は得られなかったと言ってよい。

4年前にバンドを始めたときは良かったよ。でも、今は多くの人々が俺たちのことを嫌っているんだ。新しい規律と愚かな噂が広められてるんだよ、あのノルウェーの敵たちによってね。でもそんなこと、あんま気にしちゃいないな。
だけどちょっと寂しいもんだね。ブラックメタルのアンダーグラウンドシーンは総合的な魂なはずだったんだ。数年前はほとんどブラックメタルのバンドなんていなかったのに。今となってはトレンドの中で対立してしまっている。


 このような状態の中で、NHVの他ジャンルへの興味の推移もあったが、もう一つ、バンドを継続できない決定的な事実に直面する。それは彼自身の事情でヘルシンキに引越す必要に迫られたのだ。今まで活動していた場所に対して非常に遠い地に移らねばならない。これはバンド活動継続の限界だった。EP"Messe Des Morts"(1993) こそリリースしたものの、Beheritはバンドを解散する。

 最後の活動は後にベストアルバムにも収録されたライブである。このライブではKimmo Luttinenがヘルプで参加している。彼はImpaled Nazareneの当時のメンバーであり、またImpaled NazareneのヴォーカルであるMika Luttinenの兄弟である。このときも相変わらず良い関係だった。まさしく兄弟バンドであった。

 そしてNHVは単独で音楽活動を継続することになる。ハードコアテクノへの興味への移行において、彼は自身の中にあるサタニズムにおけるWorship的思考を脱して、自己哲学としてのサタニズムの転向を遂げた。その表現手法にハードコアテクノのような人間性の露出を避けるものを選ぶことで、そのメタフィジックスを重要視したのである。これは実はBurzumがアンビエントを取り入れていった過程と近いものがあるのではないかと思う。ここで彼はSuuri Shamaaniという芸名でアンビエントアーティストとして活動する予定だった。

 しかし彼自身、Beheritの名前を封印するはずが、Spinefarm Recordsの意向もあってか、Beheritのまま一人で続けることになった。そして2枚のダークアンビエント/テクノ作品である"H418ov21.c"(1994)と"Electric Doom Synthesis"(1995)である。

NHV: "H418ov21.c"はBeheritから次の新しいバンドになるアルバムの前にティザーリリースとして出されるはずだったんだ。俺としては決してそのバンドをBeheritと一緒に管理するつもりは無かったんだよ。俺はSuuri Shamaaniとしてアンビエントを作ったんだ。内容はメタフィジックスと人間の脳みその領域のものさ。

NHV: 私はサタンへのworshipを志向してやってきたが、自己哲学におけるサタニズムに転向し、そこからデーモンとの連携を模索したのだ。


 奇しくもBeheritの"解散"後、初期からのプリミティブなブラックメタルスタイルに大きく脚光が浴びることになった。しかし、NHVはその頃、ハードコアテクノDJ"Gamma-G"として活動していたのは皮肉な話である。もちろん彼はブラックメタルへの興味を全く失ったわけではなく、音源のトレードなどをしながら潜伏していたらしい。そしてシーンは彼らを待っていた。

[続] → 【column】 Beherit Wohship - IV
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【column】 Beherit Worship - II 

■ デモ音源とライブ活動

Beherit_demo.jpg まず、初の音源である1st Demo"Seventh Blasphemy"(1990) はTascam 4-track cassette recorderを週末に借りて自分たちで録音したものだった。使用方法を知らなかったために適当に使ったらしく、非常にプリミティブなサウンドになっている。
 また3rd Demo"Demonomancy"(1990)は初のスタジオ録りだったものの、「Led Zeppelin以降のロックを聞いてもいない奴がマスタリングした」とのことで、理解に乏しい録音が為されたため、5時間で録音、3時間でミキシングという突貫レコーディングとなった。このオーガナイズされていない録音もまたプリミティブなサウンドを彩った。

 以降のブラックメタルバンドにおいて、意図的にサウンドプロダクションを落として神秘性を出すレコーディングをしているバンドも数多く出てくることになるが、少なくともこの時期の彼らは意図的というより環境の問題が大きかった。しかし彼らの持つロウなサウンドとプロダクションには親和性があったのだ。いわば計算外の化学反応が類稀なるプリミティブなブラックメタルを生み出したといえるだろう。

 この神への冒涜とサタニズムを掲げた邪悪な"デスメタル"は強烈なライブパフォーマンスによって拡散していった。当時、フィンランドではサタニズムを掲げるバンドはほとんどおらず、ステージに豚や羊の頭を持ち込むショウやコープスペイントなどでも名を馳せていった。

NHV: それらは大量のアルコール、血、カオスと破壊の象徴だ。俺たちはそうやって色々なサタニックな象徴を使っているけど、それは邪悪だからだ。俺たちはブラックメタルバンドであり、ダークでイーヴィルなものなんだ



■ Turbo Musicとの契約と破綻

Dawn_of_Satans_Millennium.jpg 強烈なデモ音源とライブ活動がアンダーグラウンドにおいて話題を呼び、ついにレーベル契約を果たす。相手は後々に問題を起こすことになるドイツのTurbo Musicだ。契約後、最初にTurbo Musicから提案を受けたのは"Demonomancy"のLPリリースだったが、NHVはそれを断り、新譜の製作を提案した。それがEP"Dawn of Satan’s Millennium"(1990)である。このレコーディングもかなり突貫作業だったようだが、デモに引き続き強烈な音源となり、アンダーグラウンドの評判を掻っ攫った。この頃のBeheritはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。

 しかし、そこでTurbo Musicは色気を出してしまう。バンド側に無断で初期音源のコンピレーションである"The oath of black blood"(1991) をあろうことか1stアルバムとしてリリースしてしまったのだ。

NHV: "The Oath of Black Blood"はブートレグだったんだ。あのアルバムは最悪だ。あんなもん出すべきではなかった。ただ我々のデモ音源であるレギュラーカセットをアルバムプレスしただけなんだよ。何にも連絡無しにね。テープのトレードをしていた友人からフライヤーを受け取って愕然としたよ。絶対に俺はマスターテープなど送っちゃいない。すぐに自分たちのレーベルからLPとして発売したい。


 この見解にはTurbo Music側の「バンドがレコーディング費用を酒に費やしてしまったから、しょうがなくて初期音源をそのまま1stとして出した」という発言とは食い違ったものになっている。しかし2011年にリリースされた幻の1st音源"At the Devil's Studio 1990"(2011)の存在はBeheritの言い分に優位があるといって良いだろう。このアルバムについては後述する。

Beherit_1.jpg しかし、このコンピレーションアルバムである"The oath of black blood"の内容はデモ音源そのものであり、プリミティブでロウなスタイルと、その劣悪なサウンドプロダクションの親和性が大きな効果を生み出し、現在でも極悪プリミティブブラックの名盤として認識されている。

 しかしいずれにしても彼らはわざとそうしていた訳ではなく、不本意にもそうなってしまったことに留意するべきである。そしてそれが効果的に働いてしまったことにこそ、人為の定まらないところに生まれた邪悪な神秘性として醸し出されたのだろう。故意に出そうとする神秘性に"本当の神秘性"は存在しない。それを証明しているのがこのアルバムであるような気がしてならない。

 そして、BeheritTurbo Musicの間には大きな溝が生まれることになった。その後、Turbo Musicは"2ndアルバム"への録音代金として$100を出してきたというが、結局、その金も貰えないままに、契約問題の回避のために新曲デモをThe Lord Diabolus名義で発表した。なお、このときの曲は"At the Devil's Studio 1990"に一部入っている他、後のベストアルバムにも入っている。

NHV: 実際のところTurbo Musicから金がもらえると願っていたが届かなかった。俺はマスターテープのリリースのために車も売った。でも、そのアルバムにどのレーベルも興味を持ってはくれなかったよ。そのときの俺の収入は1日暖かい飯と4ドルだけ。アパート借りるお金もないしホームレス状態だった。


[続] → 【column】 Beherit Wohship - III
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【column】 Beherit Worship - I  

■ はじめに

 私が最も敬愛しているブラックメタルバンドのひとつ、Beherit

Beherit.gif


 このバンドは当該ジャンルの創成期から活動し、現在のプリミティヴ/ロウ/ウォーブラックメタルの潮流作りの一端を担ったと共に、キーボードを導入してテクノ/ダークアンビエントに非人間的アプローチを見出し、現在のブラックメタルシーンにおける内包ジャンルの拡散をいち早く実現していた、いわば最重要バンドの1つである。

 そのような認識を皆さんと共有するために、主要メンバーであるNuclear Holocausto Vengeanceの証言を元に、このバンドの歴史を辿る事でその真髄に触れていきたい。

 なお、今回のコラムは当時のファンジンにおけるインタビュー記事を参照して構成しており、筆者の語学力不足や解釈の違い、もしくは誤記による年代などの間違いが多分にあると思われる。もし見つけていただいた場合は是非、ご連絡いただきたい。宜しくお願いいたします。


■ 結成

 13才からギターをはじめ、Iron MaidenなどをプレイしていたNuclear Holocausto Vengeance(:NHV)は、1988年、Frostというバンドに所属したものの、そのテクニカルなスタイルに嫌気が指し、粗暴なサウンドでサタニズムを掲げるデスメタルバンドとして、1989年、Demon Fornication(:DF)と共にPseudochristを結成した。

 NHVはサタニズムに「"神"からの影響を受けない振る舞い」を見出し興味を覚えたという。サタニズムとは悪魔崇拝を指しているのではなく、アンチゴッドであるサタンを象徴とした個人主義への回帰だった。しかし、当時のドラマーはサタニズムに理解を示さず新しいドラマーを探さざるを得なかった。

 そんな中、スケートボードパークにて同じ学校の男を知ることになる。彼はパンクロックに精通していて、誰よりもディープだった。そう、彼が後のSodomatic Slaughter(:SS)である。この出会いは大きく、1990年にBeheritと改名して活動をはじめることになった。

 Beheritが生まれたのである。


■ 影響を受けたバンド

 活動当初、バンドのサウンドはカナダのBlasphemy(1984-), スイスのSamael(1987-), チェコのMaster's Hammer(1987-), ギリシャのRotting Christ(1987-)の影響を受けている。いずれもブラックメタル創成期の80年代から活躍しており、今でもレジェンドとして君臨している大御所たちだ。

特にバンドメンバーの名前に至るまでBlasphemyの影響は大きかったとNHVも認めているBlasphemySodom、Bathory、Slayerのカバーから活動を始めており、更にDischarge、Possessedといったサウンドをブレンドし、最終的に"Blasphemy"たるサウンドを確立している。聞けばそれらの影響を大きく感じると共に、オリジナリティも理解できる。

blasphemy.jpg


 Beheritも上記のバンドの影響を大きく受けているが、それに留まらずにオリジナリティを生み出していったからこそ、今でも語り継がれるバンドなのだろう。

― なぜ、Beheritが沢山のカルトなフォロワーに影響を与えたのでしょうか?

NHV: うーん、最初は粗暴なデスメタルをやりたくて、それでサタニズムを表現したかったんだ。だけど、決してBeheritをカルトだと思ったことは無いな。そのときは他のバンドに無い魅力を作り出したかっただけだったんだよ。

― それがBeheritたる所以であり、最高にプリミティブで強烈なブラックメタルを作り出したというわけなんですね。

NHV: そうだな、俺らは常にやりたいように聞きたいような音楽を作ってきた。それがプリミティブなやつだよ。テクニカルな技術に興味なかったからね。


[続] → 【column】 Beherit Wohship - II
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Gods Of Infernal Desolation : Festival Of Mutilation (2009) 

ボスニア・ヘルツェゴビナのデスメタルバンド、Festival Of Mutilationの1stアルバムを紹介。
自主リリースの後、2011年にアメリカのOld Cemetery Recordsから再発された。



先日紹介したOdarのexメンバーも所属しているデスメタルバンド。
ジャケットからは正直、ブラックメタルだと思って買ったのだが、
ヴォーカルのスタイルから楽曲に至るまでとにかくデスメタル。

というのも凄く私の好きなSuffocationスタイルである。
緩急の付いた楽曲と、ドラムの感じが凄くSuffocationでとても心地よい!
また時に複雑なリフが飛び出すなどDeathへの敬意も感じる。

あまり期待していなかった分も含めて、これは全く予想外の出来。
完成度の高いオールドスクールなデスメタルが旧ユーゴ圏から出てくるとは。
アメリカで再発したのも頷ける作品。

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The Absolute Of Malignity : The Absolute Of Malignity (2009) 

日本の正体不明ブラックメタルバンド、The Absolute Of Malignityの1stアルバムを紹介。
スウェーデンの今は亡きSatanic Propaganda Recordsからリリースされた。

AofM1.jpg

ジャリジャリしたプリミティブなサウンドプロダクション、
激しいドラム、物悲しさのあるトレモロリフなどなど、
北欧ブラックの要素を兼ねそろえたアルバム。

そのような北欧ブラックトレースとしてはかなり上質だと思うが、
では楽曲に何か新しい発見があるかというとあまりないのも事実。
素性を意図的に隠した神秘的なバンドであるにもかかわらず、
サウンドにはあまりそういう神秘性が宿っていないからではなかろうか。

結構いいなあと思いつつ、なぜかあまり楽曲を覚えられない一枚だった。
きっとツボにはまる人はいると思う上質なアルバムではある。

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Doing It For The Kids : Whore (2005) 

アメリカはオレゴン州のデス/ポルノグラインドバンド、Whoreの2ndアルバムを紹介。
アメリカのMoribund Recordsからリリースされた。

whore2.jpg

Moribundはブラックメタルに強い印象を持つレーベルだが、
こういう良い意味で悪趣味のグラインドバンドも抱えているのに驚いた。

ホラー映画?ポルノ?か何かのサンプリングをところどころに挿入しながら、
グロウルに切れ味のあるリフと激しいブラストで攻め立てる楽曲。
曲の展開がメタル好きにも受けそうな展開なのが特徴。

ゴア臭のないゴアメタルというと当たらずとも遠からずというイメージ。
ImpetigoExhumedあたりが好きな人は結構イケるはず。

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Devotos Del Diablo : V/A (2004) 

ペルーのベスティアルウォーブラック、Goat SemenAnal Vomitとスプリットを紹介。
コロンビアのWarhymns Recordsからlmd.666でリリース。
今回紹介するのは2007年にOsmose Prod.から6曲ボートラ追加のlmd.500リリースの方。

Devotos Del DiabloDevotos Del Diablo
(2007/02/20)
Goat Semenanal Vomit

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こ、こ、こ、こいつは素晴らしいベスティアルでロウな素晴らしいブラッケンデス!
両バンドとも南米らしい荒々しく冒涜の限りをつくした真っ黒い内容。
ベスティアルとかウォーとかロウブラックにピクリとくれば是非是非な内容。

Anal Vomitの方は最近のものよりは幾分グラインドの様相が強く、
これはこれで素晴らしくカッコいい。
テクニックじゃない魂みたいなものを感じる。

またGoat SemenはGoatの名前通りの素晴らしいGoat soundを展開。
自分はGoatという単語に弱いがその中でもお気に入りのバンドになった作品。
(他にはArchgoatとかMighty Goat ObscenityとかGoatpenisあたりなど)

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