Storms of Unholy Black Mass : Abysmal Lord (2014) 

アメリカはニューオリンズのウォー・ベスチャル・ブラックメタルバンド、Abysmal LordのデビューEPを紹介。
アメリカのHells Headbangers Recordsより12"Vinalでリリースされた。

Abysmal Lord_EP 

 ウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブックの第四章 P177で紹介したAbysmal Lordのデビュー作。メンバーのほとんどはGrave Ritualというアメリカのデスメタルバンド出身であり、ダークなオールドスクール・デスメタルというスタイルだったが、サウンドを聞いて判断するに恐らくそちらでは使えなかったアイディアを披露するためにこちらのバンドを作ったのではないだろうか。

 すなわちこちらは非常にグラインドコアの成分の強いウォーブラックメタルスタイルである。バンドメンバーの名前からしてBlack Lord of Fire and Nocturnal Damnationとかなので推して知るべしっていうくらいまずBlasphemyを意識しているのは間違いないだろうし、それにさらにグラインドコアの要素を増したような印象だし、またスラッジコアのようなパートも伺える。

 現にレーベルサイドも「よくある"ベスチャル/ゴートメタルサウンドそのものではない」と言い切っている。つまりオールドスクールなスタイルではないと言っており、ウォー・ベスチャルの2010年代における一つの流れを示しているような作風にも感じる。収録は5曲、25分弱。楽曲的な粗削りさ、まだバンドとしての個性が完全にハマりきっていないなどの様子も伺えるが、「期待の新人」としては上々なデビューEPではあるし、翌年のフルレングスにうまくつなげた作品だと言える。

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Sparks of Separation : Formless Devotion (2016) 

南アフリカのブラックメタルバンド、Formless Devotionの1stアルバムを紹介。
インドのCyclopean Eye Productionsよりリリースされた。

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 拙著もシリーズ入りしているパブリブ社「世界過激音楽」のvol.1を飾った『デスメタルアフリカ』によってアフリカのメタルというものが国内でフィーチャーされた。また世界的にはEdward Banchs著『Heavy Metal Africa』が昨年刊行されて話題になっている。この流れはまたネットなどの情報の氾濫による「辺境メタル」の定義のハードルの高まり、アフリカのメタルというミステリアスさなども背景にありそうだ。

 一方で今回紹介するこのバンドは南アフリカのケープタウン出身のバンドで、白人同士のデュオ編成。その楽曲のサウンドはオーソドックスなブラックメタルスタイルで、もはや国名を出さなければヨーロッパのどこかから出たと思わせるような印象を持つ。アルバムの収録時間は7曲33分で、しかもそのうち3曲がインストなのだが、そこまで収録時間の短さやインストの冗長さを感じさせないところにセンスを感じる。

 アトモスフェリックすぎず、リチュアルすぎず、アグレッシブすぎず、メロディックすぎず、綺麗すぎず、どの要素もうまく取り入れながら大仰になることがなくまとまっていて、小さくはまとまっているけれども完成度の高いブラックメタルになっている。但しそのまとまり方に最初に書いたアフリカンメタルへの期待感を裏切ることも間違いない。アフリカのメタルもここまで来ている、とも取れるが、アフリカという情報を取り去った時に特筆すべきアルバムとしてこの先語り継がれていくかどうか?その点では弱い。しかし拙著でもお世話になったCyclopean Eye Productionsからのリリースということで、このセンスについて今後の活動に注目してみたいバンドである。

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Sadomatic Goat Cult : Sadomator (2006) 

デンマークのカルト・ウォー・ベスチャル・ブラックメタルバンド、Sadomatorの1stアルバムを紹介。
ドイツのIron Bonehead Productionsよりlim.550(内50枚はダイハード盤)にてLP盤でリリースされ、2010年にlim.500でピクチャー盤で再発された。その後、2016年にリリースされたbox set「Goat Anthology」にも収録されたことで、だいぶマニアたちにも行き届いたと思われる。

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 実はウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブックの執筆初期にインタビューの依頼をしてOKを貰っていたのがこのバンドであった。ウォー・ベスチャル・ブラックメタルの中でもアナログリリースしかせずにその存在のカルトさを高めていた彼らを掘り下げたかったのだ。しかし残念ながらクエスチョンリストを送った後に全く返信がなくなり、回答を請求しても「そろそろやるよ」の一点張りで残念ながら掲載を見送るしかなかった。(本のリリース後に「忘れてた!今からでもいい?」と連絡がきたがウェブジン掲載でも良いか聞いてみると、やはり返信は無かった)

 閑話休題、そのようにこのバンドは頑固としてCDやMP3といったデジタル音源でのリリースをしてこなかった。昨今のアナログブームならともかく当時は自分もアナログ環境がなく、このバンドの存在を知りながらも聞く手段がなかった。ようやく環境を揃ったときには手に入りにくくなっていて色々探して手に入れたのも感慨深い。そしてその苦労が報われるようなサウンドを持っていた。

 この1stアルバムはSadogoatから改名して一枚目の音源。Sadogoatというバンド名は明らかにImpaled Nazareneの曲名から採ったと思われるが、その後のImpaled Nazareneの音楽スタイルの変化が全く受け入れられないとして(いかにもダイ・ハードな言い分である)、その影響を排除したからこそ改名したのだというのだ。そして残った「影響」はBeherit、VON、Blasphemy、Sarcófago。しかしこの音源のA面の名前は"Goat"、B面の名前は"Vulva"であり、まさにGoat Vulvaの影響が色濃い作風である。

 つまり人を食ったようなブラック・グラインドという感じである。様々なSEやポルノ映画のサンプリングなども混ぜていて、Goat Vulvaっぽい。過去のインタビューでは女性の獣姦モノのポルノ映画を見るのが好きとか答えていただけあるキャラクターの持ち主だけに納得である。しかし根底に先ほど挙げたようなバンドのサウンドがあるだけにウォー・ベスチャルスタイルとしても十分聞かせる内容だ。

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Into The Goat Vulva : Bestial Holocaust (2012) 

ボリビアのベスチャル・ブラックメタルバンド、Bestial Holocaustの3rdアルバムを紹介。
アメリカのMetalhitよりCD盤でリリースされ、Iron Bonehead ProductionsからLP盤がリリースされた。

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 1stアルバム2ndアルバムも絶賛してきた本バンドの3rdアルバムは実はずっと手に入れそびれていたもので、今Discogsで見てきたのだけどやっぱりCD盤は弾数が少ないのかネットでもあまり流通していない印象があった本作。リリース当時はLP再生環境がなかったものでCDで欲しかったんだよね…。

 さてリリースから数年経って手に入れた時には既にバンドも解散していて。本作リリース翌年に解散したのだとか。そういうことを知ってから聞いているから先入観甚だしい訳だけど、やっぱりこう不協和音みたいなものを微かに感じ取れて、特に一曲目はいつものBestial Holocaust節ではないんだ。キレがないというか、更にディープな作品に挑戦したのか。但しそれがこのバンドの良さを下げている。

 アルバム収録の中にはこのバンドらしさが良く出ている曲ももちろん収録されていてそれはかっこいいんだけど、うーん、やっぱり1stや2ndアルバムの方が切れ味があるかな、という物足りなさも含む。アルバム全体で畳みかけてくるような感じでないのと、Sonia Sepulcralのヒステリックなヴォーカルスタイルにも陰りが見られ(グロウルとかで今までにないスタイルは披露しているものの)、音源一枚としてはパワー不足なんだな。

 どうだろう、先入観がなければもっと楽しめる作品だったのかもしれない。ただやはりこの作品含めて解散劇の惜しさ、悲しさが募ってしまう。なおSonia Sepulcralは一時期一線から引いていたようだが、今年ドイツのウォー・ベスチャルブラックメタルバンド、Sacrilegious Riteの1stアルバムにゲスト参加しており、これからまた復活してくれるか楽しみである。

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Der Teufelsbund : Charnel Winds (2011) 

フィンランドのブラックメタルバンド、Charnel Windsの1stアルバムを紹介。
フィンランドのWerewolf Recordsよりリリースされた。

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 メンバーはAzazel、Blood Red Fog、Vergeといったフィンランドのブラックメタルバンドの人脈で構成されており、いわゆるフィニッシュブラックメタルを想定して聞いてみると、解りやすいメロディや疾走感といったキーワードとは無縁なブラックメタルサウンドで驚かせる。オカルティックな雰囲気を蔓延させつつもプログレッシブに聞かせるパートまで飛び出すなど、かなりテクニカルで奥深いサウンドを披露している。

 当初、フィニッシュブラックメタルの流れを想定して聞いてしまうと、そのメロディの地味さによるギャップが大きいため、この奥深さを見誤りそうな作品ではある。若干そのあたりが勿体ない。(といってもメンバーに何の非もなく、単なる先入観である)

 エキゾチックなパートは若干Orphaned Landの名盤1stのようにも聞こえるなど、彼らの引き出しはかなりのモノがあるように感じる。クリーンボイスもこの作風なら問題なく受け入れられる有効な使い方をしている。オーソドックスなブラックメタルとして聞くというより、もっとプログレッシブな作風を好む人に受けそうな作品だし、また繰り返し聞くことでそのディテールも楽しむことができるアルバムだ。

 これを聞きながらバンドの最新情報を追っていたら、何と今年の6月に6年ぶりにして2ndフルアルバム"Verschränkung"がフィンランドのFeuer Publicationsよりリリースされていた。視聴してみる限り、1stアルバムの方向性を保っているようであり、1stアルバムが気に入った人なら2ndアルバムも要チェックである。

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Ritual de Obediencia a Lucifer : Goat Messiah (2010) 

スイスのゴートメタルバンド、Goat Messiahのコンピレーション(テープ)を紹介。
エクアドルのBlack Goat Terrorist 666からlim.166でリリースされた。

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 Goat Vengeanceの音源を紹介した際にも言及したが(マニアには)大事なことなのでもう一度触れると、"Goatwatchers United - Satans Goats Tribute"というGoatを冠するバンドのコンピレーション盤はGoat Semenマニアにはよく知られた音源なのだが、そこに参加しているのがこのスイスのGoat Messiahである。そしてどのバンドよりもカルトでおバカなサウンドを仕掛けてきたのもこのバンドである。

 2003年にそのGoatコンピに参加し、以降全ての音源がスプリットでのリリース。結局単独でフルレングスやEPをリリースすることもなく、作成した曲もごくわずかなのになぜかコンピレーションは本テープを含めて2本出ているのも面白い(収録曲もほぼ被っている)。

 そのようにUG中のUGにおいてごく一部マニアックスたちがなぜだかこのバンドを支持しているわけだが、どこにそのカルトさを感じるのだろうか。一つは特徴的なヴォーカルのスタイル。声の裏返りに、巻き舌に、他のジャンルでも有効に使われている手法ではあるが、このバンドの場合は楽曲が楽曲だけにラリっているような、「マトモじゃない」印象を持つ。世間的に「ヤバい奴」という感じだ。そして二つ目は楽曲もどれも似ているようにも感じるけれども、そのヴォーカルも含めてなんとなくクセになってしまう中毒性がある。「怪しげ」であり「危なげ」なところがこのバンドの魅力なのであろう。

 ジョークのようなアティチュードとも取れるし、それが逆に冒涜性に磨きをかけているような気もするし…もしかしたら「マトモ」であることに唾棄するという姿勢に魅力を感じさせられているのかもしれない。まあいずれにしてもド級のマニア音源であることには変わらないのだが。

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Koozar / Bangi Vanz Abdul : Koozar (2014) 

日本のブラックメタルバンド、Koozarの1stアルバムを紹介。
日本のZero Dimensional Recordsよりリリースされ、限定版(lim.50)はデモ音源のCD-Rも付属でついている。本稿もその限定版について書している。

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 このアルバムの記事をまだ書いていなかったとは…これは失態。『2014年を振り返って』という記事でも取り上げた通り、あの年でも有数のリリースだったと今振り返っても思える作品。

 Koozarは徳島のアンダーグラウンドブラックメタル伝説、GorugothのKojima氏が新たに進めたプロジェクト(今年は黒狂というプロジェクトも起こしている)。そしてBangi Vanz Abdulとは現代魔術実践家の磐樹炙弦 / バンギ・アブドゥル氏の名前であり、その二名のコラボレーションによる作品がこのアルバムであり、特に公にはされていないもののそのようなコラボの実現に際して、このアルバムがそのようなオカルトなテーマを主題としたコンセプチャルな作品であることが伺える。曲名もインストの"Kaotaoatoak"と楽曲の"Zznz Kz Chaos"によって構成されている。

 残念ながら筆者は現代魔術に関する知識は皆無であるからして、その文字列ないしサウンドから何かを見つけ出すことはできていないのだが(もし知っている人がいればお寄せいただきたい)、それでもGorugoth時代から既にみられていたミニマルなハーシュノイズとブラックメタルの融合は、そのコンセプチャルなテーマによって更に昇華された様な印象を受けた。

 ミニマルなブラックメタルといえば誰でもVONを思い浮かべるだろうし、もしくはノイジーさで言えばIldjarnGorugothはそれらのバンドを好む人には大いに気に入るだろうと思われるが、さてこのKoozarはもう一歩闇に深く足を踏み入れたようなそんなサウンドだ。全く邪悪さは感じず、悪意や憎悪のようなものもなく、探求に徹したようなストイックさがアルバムを通して表現されている。そのストイックな探求には理解不能に陥ったリスナーの多くをふるい落していくであろう。

 Demo 2014に関してもほぼ同様の感触は得たものの、更に無機質さが強くブリザードブラックのような印象も持つこちらの方が何となく理解はしやすい作風。理解はしやすいと言いながらも本当に理解できているかは謎。

 ブラックメタルというものがあくまで「異質」であり続けることこそが本質であれば、この音源はその本質を抑えていると言える。個人的には日本のブラックメタルシーンを支えるZero Dimensional Recordsの一番の快挙はGorugothの再発、そしてKoogar/黒狂による復活だったんじゃないかなあと思っている。

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Gnosis Stained Khadga - Live in Kuala Lumpur : Orator (2014) 

バングラデッシュのベスチャル・ブラックメタルバンド、Oratorのライブ盤を紹介。
タイのHellhouse 666 Productionsよりテープでリリースされた。

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 辺境メタルマニアならご存知かもしれない。デビューEP "Dominion of Avyaktam" が辺境地発掘レーベルとして有名なLegion of Death Recordsからリリースされているからである。バングラデッシュのUGメタルシーンは昔からかなりコアなバンドを輩出されているということも聞いたことがあり、特にこのバンドはどうやらかなりのものだという噂を聞いていたため深く興味を持っていた。そんな中でWeird Truth Productionsでこのテープの扱いがあったので購入(現在も扱いあり)。

 音源は2013年にマレーシアのクアラルンプールで行われたライブの時のもので、フランスのManzerも出演しており、そのときにShuxul氏がハンディカムで撮影した時のマテリアルとのことだ。丁度その頃に1stアルバム ”Kapalgnosis" をリリースしていたこともあり、ほとんどの曲はそこからの引用であった(が、当方はそのアルバムを未聴)。

 終始ドカドカドラムが進むまさにベスチャルな楽曲で、音質こそ主に機材の関係でかなり籠っているもののそれも相俟ってローカルな地域のUGなエクストリームメタルを体感できる。なかなか日本にいてバングラデッシュのUGメタルシーンのことまでは触れることが難しい中で貴重な音源だし、またそれが90年代にメタルを弾圧したマレーシアで行われたライブだということも実に興味深い。Orator自体についても噂通りの実力を持っているようで、いずれ「辺境地」という枕詞を投げ飛ばしてくれそうな期待を膨らますに十分なライブ音源である。

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Live In Venray : Bestial Summoning (2012) 

オランダのカルト・ブラックメタルレジェンド、Bestial Summoningのライブ音源を紹介。
オランダのNew Era Productionsよりリリースされた。

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 音源は1992年6月にオランダのフェンラウのライブハウス"Dingus"で行われたライブのもので、カセットテープで "Official Live Tape 1992" としてセルフリリースしていたものの再発盤である。パーマネントメンバーのSephiroth氏が現行もオランダのBMシーンで活動している(現Legion of the DamnedのVo.)ため実現したものであろう。

 収録曲は名盤1stアルバムからは一曲も引用されていないどころか、他のデモ音源などでも収録されていないレアトラックである。それだけでマニアには大変興味深い楽曲だろう。もっとも本盤自体がコンピレーション盤 "The Dark War Continues" にされているのだが…。

 内容としては思ったよりも(昔のUG音源としては)音質の悪くないものになっており、まさにBestial Summoningという楽曲ではあるものの、1stアルバム収録曲ほどの暴走を見せるところまではいかないところにちょっとした歯がゆさも感じる。もう少しノイズ塗れに暴走してほしかった。もしかしたら観客が少なすぎたとかそういう現場の状況があったのかもしれない(笑)。

 最後にオリジナルテープにこんなことが書いてあった ― 「このライブテープは本当にクソだ…が、そんなことは気にしない。故にいかなる方法でもこれをリリースした」と。

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Procession of Doom : Goatslave (2016) 

フランスのブラックメタルバンド、Goatslaveの1stアルバムを紹介。
フランスのAtavism Recordsよりリリースされた。

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 Goatの冠文字に、Chris Moyenのアートワークという、Archgoatを想像させるような条件がそろっていたため購入したもので、その時点では聞いたこともないレーベルだったので、かなりアンダーグラウンドなサウンドを期待してのものだった。またフランスのバンドであるということも把握していなかった。

 しかし予想のようなローファイなサウンドを持つブラックメタルではなかったし、演奏もなかなかのテクニックを持ち合わせているバンドであった。更に言うと俗にいうフレンチブラックメタルのようなスタイルでもなく、90年代のオールドスクールな北欧ブラックメタルから最もインスピレーションを得ているようなサウンドだ。そこにrotten sound的な要素を取り入れているという意味ではベスチャル・ブラックメタルから遠からずといったところもでもある。

 ただやはり音がソリッドすぎてストイックに感じさせるところに、そのrotten soundの要素との微妙なズレを生んでいて、聞いていても「フォーカスがズレていく」というような印象を持ってしまう。曲、演奏などの要素は認めるところがあっても、楽曲として作品としてのコンセプトにまでそれらを昇華できていないのは惜しい。まあそういうインプレッションは最初に持った期待感によるものであることは否定できないが…。

 ちなみに彼らは元々Dur Dablaというフォーク・ブラックメタルバンドで活動していたとのことで、そちらも聞いてみればピーヒャラ笛が鳴っている感じの牧歌的な内容で、その反動がこのストイックなサウンドに現れているのかもしれないと感じた。更に言うとそのようなところもフォーカスの話と通じていくのかもしれない。

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