Monolith : Amebix (1987) 

UKのメタル/クラストパンクバンド、Amebixの2ndアルバムを紹介。
UKのHeavy Metal Recordsよりリリースされ、以降相次いで再発された。近年では2016年にDissonance Productionsから。

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 メタル畑で生きてきた人間にとって、このAmebixというバンドはクラストの重鎮として名前こそ聞いたことあれど決して近い存在だとは思っていなかった。しかしこの数年、様々なウォー・ベスチャル・ブラックメタルバンドなどとのコンタクトを経て80年代のエクストリームなメタルとハードコアの影響が合い混じって現在にUGメタルシーンがあることを実感し、その中でこのバンドの名前も度々目にしたことで恐る恐る手を伸ばしたのがこのアルバムである。

 いわゆる自分の中でクラスト/ハードコアとして直感的に思いつくような一種の「明るさ」はこのアルバムを通して感じさせることはなく、UKの天気とも思わせるような薄暗さが支配している。演奏テクニックや曲展開なども秀でていて、粗暴さとは対極的であることから、「小難しくないVoivod」のようでもあるが、その薄暗さやミドルテンポの導入がそこに拍車をかけてこのアルバムだからこそ聞ける音楽性、そして世界観を構築している。それがブラックメタルにも通じるような作風になっており、結果的にかなり裾の広い支持を受けそうだと感じる。

 同時にこのアルバムは既に完成形であり何か手を加えたり、足し算や引き算も必要のない物であるように感じさせる。バンドとしても後にこのアルバムの存在はバンドの活動のターニングポイントだったと述べられているようだ。80年代を振り返るには既にかなりの年月が回り、単なるルーツとしての探索ではなく、ジャンルの垣根を超えて愛されるべき作品と言える。

Encyclopaedia Metallum - Amebix
タグ: Amebix  UK  1986-1990 
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いいえ、その逆です。 : OLEDICKFOGGY (2011) 

日本のサイコビリー/パンクバンド、Oledickfoggyの4thアルバムを紹介。
日本のDIWPHALANXよりリリースされた。

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 前作 "Rusticが止められない” から二年を空けてのフルアルバムで、個人的にはこのアルバムがある種彼らのハイライトに見えている。ライブでも頻繁に披露する「カーテンは閉じたまま」「チブサガユレル」「blow itself away」「暗転」など多数の名曲が収録されており、一方でこの次以降の作品への布石となるような楽曲も含まれており、バラエティに富んだラスティック・フォーク・パンクが存分に楽しめる。

 が、一方で実はその「次以降の作品」からどうものめり込めない自分がいた。恐らく「(自分が勝手に)期待するOledickfoggy像」からのズレに戸惑っていたのだと思う。この固定観念は非常に邪魔なものではあるのだが拭い去ることはできない。このアルバムは掛け値なしの名曲だと時に興奮、時にしんみりとOledickfoggyにぞっこんになりつつも、同時にのめり込めない楽曲の混在がふと我に返ってしまう要因になっている。

 こんなことを綴ったのも実は今、昨年にリリースされた "グッド・バイ" を聞きながらこのインプレッションを書いているからだ。またいつかそちらの感想は書くこともあるかもしれないが、彼らの作品であることは間違いない。洒脱な歌詞といい、サイコビリー的でパンクな楽曲も健在だ。わかる、わかるんだけど。あのときに聞いた衝撃がない。特に古参のファンでもなく、何も偉そうなことは言えない。自分が好きなそれは彼らの変化、進化を前に老害の嗜好でしかないのかもしれない。老兵は黙って去るべきかもしれない。それでもなお立ち去らせてくれないだけの魅力がある。未練がある。みっともないかもしれないけどそれでも黙って次の新譜を待つしかない。グッド・バイは難しい。
タグ: Oledickfoggy  Japan  2011 
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Confusion... : Esperanzaviva (2012) 

日本・大阪のレイジングハードコアバンド、Esperanzavivaの1st EP(7")を紹介。
名古屋のKarasu Killer Recordsよりリリースされた。

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 当時からよく名前を耳にしてライブが凄まじくカッコいいと聞いていたものの、残念ながらタイミングなどが合わず見に行くことはできなかった。その心残りがシコリとなっていたため某大手中古CDショップにて見つけた時は即決購入。

 勢い一辺倒というと軽んじた評価に聞こえるかもしれないが、小細工なし、装飾なし、従来の日本のハードコア・パンクの流れを踏襲しつつ、スラッシュメタルに通じるメタリックなリフを組み込んでメタルファンも虜にする『一本調子』は実際只者ではないし、収録曲5曲、計11分はあっという間に過ぎていく清涼感がある。

 またその『一本調子』についても#05に関してはまた幾分異なった側面も示すことで、溢れんばかりの若さだけではないところも見せつけてくれ、いよいよ生で見てみたいし、フルレングスにも期待した…かったのだが、いまさら2015年11月にラストライブだったとのこと。こういう後悔があるから若い人は気になるライブにはどんどん参加してほしいとオジさんは思うのだよ。
タグ: Esperanzaviva  Japan  2012 
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Rusticが止められない : OLEDICKFOGGY (2009) 

日本のサイコビリー/パンクバンド、Oledickfoggyの4thアルバムを紹介。
日本のDIWPHALANXよりリリースされた。

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Rusticというと、このブログ読者には全く縁がない領域ではないかと思うし、
現に自分もよくは知らないのだが伝統音楽を現代バンドスタイルで演奏するスタイルで、
確かにこのバンドもマンドリンなどの楽器奏者もいたりしてなるほどと。

彼らの持つ歌詞や世界観などはある種の「古き良き」的なテイストがあって、
それをクラストパンクの造詣をベースに現代に再現ではなく生まれ変わらせている。
ゆえに彼らは唯一無二と思わせる表現力や説得力を持つのだろう。

ライブでもよく聞くことができる名曲"神秘"などが収録されており、
彼らのことを知りたい、体験したいと思うなら必須盤だろうし、
これを聞いてぜひライブに足を運んで揉みくちゃになってほしい。
タグ: Oledickfoggy  Japan  個人的良盤  2006-2010 
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正義の行方 : 脊髄注射 (2014) 

日本は東京のハードコアパンクバンド、脊髄注射の1stデモを紹介。
自主リリースだがプレスCD仕上げ。

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このブログやSNSで勝手にプッシュしてきたillyaに趣向が近いと薦められた音源。
青森で活動していたGillzglowというバンドのワターリン氏が上京して結成したバンドとのこと。

上記経緯もありやはり比べるのはillyaになるが、
あちらのほどメタリックハードコアそのものではないという印象を受けつつ、
その日本語歌詞をベースにした"熱さ"は確かに近いものを感じた。
恐らくメタリックハードコア+スキンズ的なスタイルがそのような印象を与えていると思われる。

まだ1stデモだけに完成度の点では物足りなさも感じるが、
初期衝動を感じさせながら丁寧な仕事も垣間見れ、
今後の活動が楽しみなデモだ。

Bandcamp - 脊髄注射
タグ: 脊髄注射  Japan  illya  2014 
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2014 : 屍 (2014) 

日本のダークなファストコアバンド、のライブ音源を紹介。
日本のZero DImensional Recordsよりリリースされた。

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2014年1月26日に新大久保アースダムで行われた「痺れ肉棒絶倫注射の夜 vol.5」の
ライブ音源を撮りっぱなし、無編集で音源化されたもの。
やり方としてはブートっぽいがもちろんオフィシャル。

彼らのラストライブ(2014年9月27日@小岩BUSHBASH)にて100枚限定で発売されたもの。
自分は幸いなことに現地に行った方に抑えてきてもらったのだが、
現在はオークションなどで入手するしかないのが残念、

個人的には彼らの好きな曲である「憎悪」「行き着くところ」がないのが残念だが、
1stから3rdまで幅広くチョイスされており、
更に言えば最後が1stの"人のために生きるか 自分のために生きるか"でしめられており、
このバンドに欠かせない仏教観としての「輪廻」を想起させる。

もしかしたらラストライブの余韻なんぞに浸っている日和見に対して、
鋭利な刃物を突き付けているのかもしれない。
タグ:   Japan  2014 
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バラバラ : 屍 (2009) 

日本のダークなファストコアバンド、の3rdアルバムを紹介。
日本のMANGROVE LABELよりリリースされた。

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ブラックメタルファンジン"End of a Journey part.II"にてインタビューが掲載されたが、
そこでもメンバーが発言していた通り2ndアルバムはあれで完結して、
またこの3rdでは異なるアプローチから屍というバンドの世界観を表現している。

2ndではブラックメタルリスナーからも反響があったようなスタイルだったのに対して、
この3rdはバンドメンバーの交代(Ba.とDr.)もあってか、
アルバムタイトル通り「バラバラ」な印象が強い。
不協和音というものでもなく一つ一つの要素が乖離しながら同じ志向を持っている。

全てが並行して直行することなく近づくことがない。
そこがメタルリスナーが比較的好みやすい"予定調和"と距離を分かつ。
屍しか作れない作品を叩きつけつつ、
安易な享受を許さないというバンド側の通告のように感じる作品だ。
タグ:   Japan  2006-2010 
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Nubes Que Anuncian Tormenta : Khmer (2014) 

スペインのブラッケンドハードコア/ネオクラストバンド、KhmerのEP盤(12")を紹介。
HALO OF FLIESよりリリースされ、今年(2015年)には日本のLongLegsLongArms(:3LA)より国内盤としてリリースされた。

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2012年のデモがBandcampでNYPだったこともあり、
確かSNSで紹介を受けて聞いてみたらどハマリしたのをきっかけに、
その後、日本のレーベルであうる3LAさんの意欲的なリリースもあったりして、
自分の中でジャンルを問わず重要なバンドの一つとして認識しているKhmer

彼らの新作がこのEPなのだが、何と先のデモもB面に収録されており、
A面5曲、B面5曲の12インチLPによるリリースとなった。
初めての出会いとなったデモが収録されたフィジカルというだけで嬉しい。

デモに比べて前作は複雑なリフを導入するも使いこなしている印象だったが、
新作は第一印象としてはリフがすんなり耳になじんでいくような印象を受けた。
以前よりメタルっぽさが強いような気がするのは気のせいではあるまい。

さてB面のデモを立て続けに聞いてみるとバンドの印象はかなり変わったことに気付く。
デモの時の方が初期衝動の強いハードコア色が強く、
新作では静と動のコントラストをメタリックなリフで紡ぐタイプになったということだ。

個人的には頭をガツンと殴られた衝撃こそデモ音源に分があるのだが、
このバンド、やはり只者ではないしどこまでいくのか純粋に興味深い。
タグ:   Khmer  3LA  Spain  Japan  2014 
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Wargame Fairytales - 宇宙的重金属硬核 : V/A (2011) 

スウェーデンのD-Beatハードコアバンド、Disposeと、
日本とフィンランドの混成メタルコアバンド、Häväistysのスプリットを紹介。
日本のReset Not Equal Zero RecordsよりLPとCD-rでリリースされた。

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当時、京都のアビスに寄る機会がちょくちょくあり、
あのお店にはこういうメタリックハードコアのCD-rが店の中央に置いてあって、
値段も安いから面白半分でちょくちょく買っていたものである。

Disposeサイドは収録7曲(うちライブ音源1曲)。
その名の通りでDischargeウォーシップな内容で、
ウォーシップというよりほぼパク・・・オマージュといった感じ。

Häväistysサイドはフィンコアとジャパコアの合いの子的な、
いわゆるメタリックなハードコアという意味でのメタルコア。
かなーりロウな音質の録音で良い感じ。

特にこのスプリットを聞いて広がりが芽生えたわけでもないが、
たまにはこういう畑違いのCDをジャケ買いするのもいいものである。
最近やってないなあとも思う。
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ナキニッシモアライズ : OLEDICKFOGGY (2006) 

日本は静岡のハードコア/ラスティック/サイコビリーバンド、OLEDICKFOGGYのミニアルバムを紹介。
ギャランティックよりリリースされ、後に再発もされている。

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このバンドは近年、自分が日本のハードコアに興味が出たときに、
いろいろ人から教えてもらったりしていたなかのバンドの一つなのだが、
自分は天邪鬼で他人から勧められると…っていう人間であり、
その"障壁"を完全にブチ抜いてきた強烈な音を出すバンドであった。

このブログ読者だと縁がない人も多そうなジャンルであるが、
自分もこのバンド以外のラスティック/サイコビリーは全く知らない。
しかし根底にあるハードコアとポリティカルかつ根源的な歌詞が突き刺さった。

特に#06"歯車にまどわされて"、#7"月になんて・・・"の2曲は、
ジャンルとかカテゴライズとかそういったものをすべて貫通する破壊力がある。
素晴らしいの一言。
タグ: Oledickfoggy  Japan  個人的名盤  2006-2010 
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