Wisdom & Hate : Baptism (2004) 

フィンランドのブラックメタルバンド、BaptismのEPを紹介。
フィンランドのNorthern Heritage Recordsよりリリースされ、2014年に再発もされた。

baptism.jpg

HornaSatanic Warmasterにも参加経験のあるLord Sargofagian氏のバンド。
このブログを前から見ている人はわかる通り、
自分があまり得意でない"フィニッシュブラック"の路線であるメロウブラック。

上記バンドに比べても同等のクオリティは感じるしなるほど人気があるのは頷ける。
但しやはりメロディ含めて"まとまっている"感が強く、
時にあざとさまで感じてしまうほどのメロウなトレモロにどうしても食傷気味に。

そのあたりはSargeistが奇跡的なバランスを保っていたのに対して、
これらのバンドはどうしてもなかなか受け入れづらいというのが本音。
何年も聞いてたらいずれ慣れるかと思っていたが。。。

Encyclopaedia Metallum - Baptism
タグ: Baptism  Finland  Satanic_Warmaster  Horna  Sargeist  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Split : Azazel / Goatmoon (2011) 

[Goat Worship 特集]

フィンランドのプリミティブブラックメタルバンド、AzazelGoatmoonのスプリットを紹介。
フィンランドのWerewolf Recordsよりリリースされた。

azazel_goatmoon.jpg

Goatmoon目当てで買った人が結構な確率で貶めているアルバム。
まあ聞いてみればなんとなくわからないでもない。

Azazelは92年から活動しているバンドなのだが、
パーマネントメンバーは一人のみで他はCharnel Windsのメンバーが参加している。
非常にアングラな音を出しているが故に色気もないというか、
言ってしまえばあまり面白くないような気がする…。

Goatmoonは1stアルバムの再録がほとんど。
だが作風が変わったというかメロディアスなアプローチが増していて、
ますますSatanic Warmasterチックになった。
ファンなら満足できるだろうが、再録に過ぎないとも言える。

ということでGoatmoonファンなら買って損なし。
だが、手に入りやすいからと言ってフィニッシュブラックの足掛かりにする内容でもない。

Encyclopaedia Metallum - Azazel
Encyclopaedia Metallum - Goatmoon
タグ: Azazel  Goatmoon  Satanic_Warmaster  Finland  2011 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Death Before Dishonour : Goatmoon (2004) 

[Goat Worship 特集]

フィンランドのNSBM/プリミティブブラックメタルバンド、Goatmoonの1stアルバムを紹介。
フィンランドのWerewolf Recordsよりリリースされ、2010年にも別ジャケで再発された。

goatmoon1.jpg

2002年に活動を始めてからアングラでデモを数枚リリースしていた後、
Satanic Tyrant Werwolf氏のWerewolf Recordsから鳴り物入りでリリースされた。
当時は自分も全くこのバンドの存在を知らなかったが、
どうやら日本国内でもあまり話題には上がっていなかったようで、
後にネットを通じたプリブラ/NSBMブーム(?)によって一気に過熱したと思われる。

内容としては初期Satanic Warmasterを思わせるメロウブラックに、
NSBMを思わせる民族調メロディと灰汁の強さの融合が図られている。
特にシンバルの鳴らし方が尋常ではなく忙しない。

というわけでその手のメロウブラックが好きならおすすめなアルバムだが、
この音源、再発も少数リリースだったため入手困難になっている。
Discogsを見ても結構高値で推移しているようだが、
個人的には高値で無理をして買うほどの内容では無いと思っている。

Encyclopaedia Metallum - Goatmoon
タグ: Goatmoon  Satanic_Warmaster  Finland  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Carelian Satanist Madness : Satanic Warmaster (2005) 

フィンランドのブラックメタルバンド、Satanic Warmasterの3rdアルバムを紹介。
ドイツのNo Colours Recordsよりリリースされ、その後も複数回リイシューされている。

satanicwarmaster3.jpg

このブログでもたびたび申し上げている通りフィンランドのトゥルーなブラックとは、
BeheritArchgoatのようなレジェンドバンドの繰り出す音であり、
Hornaを端に発する第二世代フィンランドブラックのそれとは異なると思っているゆえ、
私はこのバンドをどうしても穿った見方で見てしまう。

それでもここまでのビッグネームの来日に対して見向きもしないわけにもいかず、
改めてこのバンドについて見直す時期が来たと思ったのだ。
(この項を書いているとき、既に公演1日目が終わっている)

さてこの3rdアルバムは世間的にも名盤と捉えられているであろう一枚だが、
聴いてみるとやはりDarkthroneの4thアルバムあたりの影響を感じるし、
またその他ノルウェイジャンブラックのメロディックな面を踏襲していると思う。
但しそれらが全て違和感なく取り込まれていることに大きな才能を感じるし、
彼がミュージシャンとしての才覚を持っていることの証左であろう。

歌詞やジャケット、ブックレットなど彼の作品にはナチをモチーフにしている事も多い一方で、
インタビューでは再三、NSBMではないと主張しているが、
恐らく個人的な見解としては彼は何らかの演出にナチを使っているだけだと思われる。
つまり彼にとってはテーマは自分のやりたい音楽の副産物にすぎないのではないか。

こんな風に書くと「トゥルーではないエセブラックメタルだ!」と言いたいのかということになるが、
そういうつもりでもなくてブラックメタル"ミュージシャン"としての一つのスタンスであろう。
そういう意味ではライブパフォーマンスなどは逆にとても楽しみであり、
さてはて私は明後日11/2の大阪公演に行く予定である。

Encyclopaedia Metallum - Satanic Warmaster
タグ: Satanic_Warmaster  Finland  Horna  Archgoat  Beherit  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Hail The Black Metal Wolves Of Belial : Pest (2003) 

フィンランドのプリミティブブラックメタルバンド、Pestのコンピレーション盤を紹介。
アメリカのBlood, Fire, Deathよりリリースされた。

Hail the Black Metal Wolves of BelialHail the Black Metal Wolves of Belial
(2008/01/01)
Pest

商品詳細を見る


ブラックメタルのPestとしてはスウェーデンとドイツのPestがそれぞれ有名だろう。
このフィンランドのPestは実質の活動期間は3年程度とあまり有名ではなかったのだが、
なにしろメンバーにあのSatanic WamasterNazgulが在籍していたということで後から注目を浴びた。

正式なフルレングスを一枚も出しておらずこのコンピは彼らの楽曲を網羅しており、
Satanic Wamasterを追いかけている人にはちょうどいい一枚であるが、
聞いてみればわかる通りやや地味なタイプのブラックメタルで、
Satanic Warmasterのメロブラ部分を期待すると痛い目にあう。

またデモ音源やEPの寄せ集めであるため、
ややマスターボリュームがバラバラなのももう少しリマスター真面目にやってほしい。
まあ資料的価値の大きいアルバムだと思います。

Encyclopaedia Metallum - Pest
タグ: Pest  Satanic_Warmaster  Finland  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Aura Damnation : Divina Inferis (2007) 

フィンランドのブラックメタルバンド、Divina Inferisの1stアルバムを紹介。
フィンランドのPrimitive Reactionよりリリースされた。

divinainferis1

Orm(Gu., Ba.)、Mustamaa(Vo., Dr.)の二人バンドで、
2枚のデモを少数リリースした後、このフルレングスを発表した。
なお、このアルバム以降は活動の音沙汰はない。

内容はSatanic Warmaster以降のフィニッシュブラックを基調に、
メランコリックなトレモロリフを織り交ぜつつ、
デプレブラックに迫る陰鬱さをもっているブラックメタル。

両方のジャンルの"聞きやすさ"を取り除いてミックスしたとも言え、
一見さんお断りな瘴気を出しているが、
同時に誰向けの訴求力があるかもちょっと悩んでしまう音源だ。

Encyclopaedia Metallum - Divina Inferis
タグ: Divina_Inferis  Finland  Satanic_Warmaster  2006-2010 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

Kings of Misery : Incriminated (2004) 

フィンランドのプリミティブブラックメタルバンド、Incriminatedの3rdアルバムを紹介。
オランダのFrom Beyond Productionsよりリリースされた。

incriminated3

フィンランドブラックの重要人物、Harald Mentor氏のバンドで、
またSatanic WarmasterのWerwolfもドラムで参加している。

このメンツでもフィニッシュブラックというと連想されがちなメロウなブラックではなく、
Hellhammer~Celtic Frost直系のドゥーミィなプリミティブブラックメタルを披露。
そういう訳でいわゆる第一世代のブラックメタルという枠組みの作品。

第二世代にあたるノルウェイジャンブラック以降の流れをくむブラックメタル好きには、
少々スロー/ミドルテンポが地味、退屈に映るかもしれないが、
非常に邪悪なリフを奏でながらニヒリズムを前面に押し出していて素晴らしい。

特にラストのアルバムタイトルの曲は16分の大作で、
このアルバムを締めくくるにふさわしい、重く苦しいドゥームブラックになっている。
最後の1分間のテンションは4thアルバムへと引き継がれている。

Encyclopaedia Metallum - Incriminated
タグ: Incriminated  Finland  Satanic_Warmaster  2001-2005 
Black  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

【column】 Hail Finnish Black Metal Legend - Archgoat - III 

■ 前回

 【column】 Hail Finnish Black Metal Legend - Archgoat - II


■ 最近の活動

archgoat8 前回は1stアルバム "Whore of Bethlehem" のリリースと、翌年のBlack Witchryとのツアーについて紹介した。そして2009年には2ndアルバム "The Light-Devouring Darkness" がBlasphemous Undergrond Prod.とMoribund Rec.の共同でリリースされた。

 また珍しいところではカセットテープでIncoffin Prod.からリリースされた。これはタイのレーベルで、この年に1stアルバムもカセットテープでリイシューしている。これらのカセットテープはレア化している。最初はブートリリースなのかと思っていたが、ちゃんとライセンスとっているそうで、350本限定リリースで更に最初の100本はデザインが異なり、パッチもついている。このカセットはまだ現物で見たことがない。恐らく世界中のArchgoatマニアックたちが手に入れていることだろう。

―――"The Light-Devouring Darkness" はどんな作品ですか?

 このアルバムのコンセプトは「"時"が来ることの予言」で、その時とは「ロウで黒いエネルギーが貧弱で不安定な白き光を覆いつくして、ついには滅ぼす」ときのことだ。カバーワークはアルバムタイトルのシンプルな解釈になっている。

 このオブスキュアな闇の光を表している "The Light-Devouring Darknesss" は音楽的にArchgoatの初期音源のルーツまで辿っているんだ。音源自体はミニマリズムの概念のもと、破壊のために身包み剥がされて装飾のないものにまでなっており、言わば"ライブレコーディング"みたいなものなんだよ。スタジオサウンド抜きでロウかつヘヴィなサウンドを構成したからだ。これは伝統的なやり方なんだが、まさしくArchgoatの真のサウンドなんだ。コンピュータを使って音を弄るようなことはしない。どう聞いてもArchgoatそのものだし、同時に次のリリースへのマイルストーンとしても満足いくようにできたと思う。

―――1stアルバム "Whore of Bethlehem" と比べてどうですか?

 我々のリリースは全て一つ一つ自然な連続性を保有していて、マイナーチェンジはしているものの大きな逸脱はしていない。"Whore of Bethlehem" は我々の作品の中で最も速い作品ではあったが、いつも我々の音源は同じ核を持っていて、特徴の何点かはより強調して仕上げた。

―――評判はいかがですか?

 ダイハードなブラックメタルマニアは、我々のことを「ブラックメタルがトゥルーだった頃」からいつもいい評判をくれるし、レビューもとても好感触なものだ。しかし例えばメロディックブラックメタルなんかを好む人からは相変わらず良い評判を聞かないな。私にとってそういうレビューには何も意味がない。私はシーンがどのように変わっていくか、シーンのトレンドを跳ね返すような意見が出てくるかのみを観察しているんだ。"友"は"刺客"になり、"刺客"は"友"になる・・・こんなゲームには混ざりたくないのさ。我々の創造するArchgoatは不変のものなのだから。


archgoat9 2010年にフランスのDebemur Morti Prod.からコンピレーション盤 "The Aeon Of The Angelslaying Darkness" がリリースされた。このコンピレーションには "Jesus Spawn"、"Angelcunt (Tales Of Desecration)"、"Whore Of Bethlehem"、"The Light-Devouring Darkness" の音源から引用されている他、"Hymns To Darkness" という1993年に録音されたままリリースされていないフルレングスLPの内容も収録されている。更に2005年のポーランドでのライブ、2009年のアメリカはヒューストンのライブ、そして地元ヘルシンキの2007年のライブ音源も収録されているので、今までのアルバムを持っている人でも買って損はない。ボックスセットでは2CD+2LPのものも出ている。

archgoat10 その後、2011年に最新EPである "Heavenly Vulva (Christ's Last Rites)" がDebemur Morti Prod.からリリース、これに際してDebemur Morti Prod.からは1stと2ndアルバムのLP盤も再発された。この "Heavenly Vulva (Christ's Last Rites)" は何とフィンランドのSatanic Tyrant Werwolf (Satanic Warmaster) がゲスト参加、どうやらプロデュース的なことをやったらしい。が、Archgoatの音源として1mmも変化していない、Archgoatでしかありえないサウンドに仕上がっている。Werwolfのインタビューを読んでみると、彼自身はBeheritと初期Impaled Nazareneと並んで、Archgoatをフィニッシュブラックレジェンドとして尊敬しているようで、どういう縁かは解らないが、プロデュースに関わることになったようである。(これは最近知ったので驚いた。私にはWerwolfの音源からはそのようなフィニッシュブラックの影響を感じていなかったからである!)

 他に同年、ギリシャのAltar of the Black Ramから "Angelcunt" のボックスセットがリリースされている。これは100個限定のリリースで、ポスター、ヴァイナルフレーム、バッチ、パッチ、ステッカーのマーチャンダイスが入っているようだ。なんとBOXはゴート革を使用している!さらに初回33コピーのみゴートスカルとボーンの一部が付いている(要るか!?)。

 今年2013年も複数フェスへの出演が決まっているなど今後のますますの活動、そして3rdアルバムのリリースが期待されるArchgoatについて、最後に彼らの不変なスタンスをまとめたインタビューを掲載して終わることにする。

Archgoat

―――Archgoatとして活動を始めたきっかけは何ですか?

 サタニックなメタルを通じて私の感情は炎のように燃え滾っていたし、また蛾のようにそこに引き込まれたとも言える。様々な偉大なメタルを通じて、更にその背後にある闇の門を開けた結果がArchgoatなのだ。

―――曲のタイトルはどうやってつけているのでしょう?

 歌詞を書く上でのアプローチに成熟とか軟化など有り得ない。Archgoatはサタニックブラックメタルオーケストラを作っているのであり、終わりまでそのラインからぶれることなく歩み続ける。我々のコンセプトには2つの異なる歌詞テーマがある。伝統的なサタニズムと、他の冒涜的なアプローチの2つだ。それらは我々の信念であるイデオロギーや経験、我々の人生から来ていて、その考えを反映させているんだ。その考えとは真の自然というものを明らかにしていくことを意味している。奴隷がマスクを外したかのような感覚だ。獣性という真の自然体がか弱き人物像から這い上がってきて、やがてオリジナルの自然に戻るということだよ。

―――誰がカバーアートのメインなんでしょうか。

 Archgoatは我々が全てプランして、了承したことのみ採用する。Chris Moyenは我々の作品を常に好んでくれているし、我々は彼にやってほしいこととして初めからとても細かく厳しいディテールリストを渡しているんだ。彼はそれに従って、作品が完成するまで何枚かスケッチを送ってくれるんだ。カバーアートのコンセプトは作品のテーマに沿って決まる。アートワークは本質的な部分だから、注意深く計画しなければならない。本当のブラックメタルの作品ならばな。

―――Archgoatにとってファンをどのように考えている?

 私のイデオロギーとして、自分の音楽について他人がどう考えているか、気にしないことにしている。しかし、自分の内に秘めた思いを暴露したいと考えているコンポーザーや、音楽の中に"ソウル"と呼ばれるようなものを込める類の人間にとっては、評判を聞きたがるんだろうな。私自身はコメントは聞いても、それによって何かを変えようとは思わない。Archgoatの音楽性は我々のイデオロギーの色付けであり、バンドの背後にある信念そのものだ。私はArchgoatとそのオカルトとサタニズムに全てを捧げている。私の人生の道なのさ。

―――ライブとは?

 ブラックメタルをプレイする感覚はまるでトランスしているかのようで、見たり聞いたりするものでもなく、五感全てで感じるものなのだ。最もポジティブな瞬間はやはりライブをやって、同じイデオロギーを共有できる仲間と出会うことだな。

―――他の何かから影響を受けるようなことはあるか?

 我々はフォロワーではなく創造者であり、トゥルーブラックメタルと理解されている今日希少なバンドの中の一つだ。現代のブラックメタルに散見されるプラスチック造型のイデオロギーは我々には決して到達できない。我々は信奉するのはサタニックデスカルトであり、申し訳ないがマントとマジシャンハットをまとってうろつく森などではない。それこそがイデオロギーだ。

―――あなた方の作風はBlasphemyに近いと思う。最近では言えばRevengeとかConquerorなどだ。それらのバンドとつながりはありますか?

 Revengeは聞いたことが無いが、Conquerorはいいバンドだ。音はBlasphemyに近い。音楽的にはArchgoatとは異なるように思うが、共通点は確かにあると思う。両方ともグラインドコアのスピードを持ったブラックメタルをプレイしていて、歌詞も同じメッセージ性を含んでいるように感じる。それらの主な影響はやはりBlasphemyだろう。

―――ではあなた方の音楽的な影響はなんでしょうか?Blasphemyと同じようにBathoryとかPossessedとか?

 影響をしているものは無いが、勿論Celtic Frost、Possessed、Sarcofago、Venom、Slayerなどは聞きながら育った。また、Blasphemyの"Gods of War"やBeheritの初期音源は私にとって同時期に活動していたものとして特別な作品だ。他にAutopsy、Carcassや初期Deathもここに上げておくべきだろう。

―――Angelslayer と Ritual Butcher は兄弟だが難しくないのか?

 俺たちはいつも同じ興味を共有していた。HellhammerやPossessedの歌詞とか、若かった時はサタニズムと呼んでいた哲学などだ。この哲学を二人で学び始めたんだ。兄弟とやるのは他の人とやるのに比べて難しいとは思わないな。


思想・哲学

―――あなたの人生にインスパイアしてくるものとは何だい?

 私は何の変哲もないものからそうではないものまで、様々なインスピレーションを描いている。野心もまた私の性格の強い部分だ。限界に近づきたいと思う気持ちとそれを更に超えていきたいという気持ちだ。哲学とか技術的なイシューからを学ぶことに対する欲望もある。

―――あなたは肉体的死後の世界の可能性を信じている?

 科学者としてはエネルギー保存が物理の根源的な法則だと思っている。つまり消えたり生まれたりするのではなく、形を変えるだけだということだ。

―――この世界は破滅に向かっているように思う・・世界規模で起こっている悪化だ。堕落が人類の魂に深く染み渡っている。未来への希望があるか教えて欲しい。

 人間の真の自然とは猿が二足歩行しはじめたときから不変だ。そのベーシックな要求や欲求も変わらず、その欲求の優先順位のみが時代と共に変わってきた。今日、人間のヒエラルキーのニーズはとてつもなく簡単に満たされることが示されている。それは彼らが自分のステータスである栄光とかそういった個人的欲求によって容易に駆り立てられるということだ。この手の欲求とは現代人の物理的欲求と同じくらい容易に達成しうるようになったんだ。そしてその欲求は日に日に堕落していく。自分の未来に関しては全く不安に思っていないよ。

―――宇宙についての考えは?広大でミステリアスで暗闇に何があるのだろうか。進化を信じる?

 堕落をやめたもの、進化し続ける種に食べられたもの全ての進化を信じている。人間は今日もっとも進化した。基本的に私はサタニズムとダーウィニズムは両方とも限界に到達し、さらにそれを超えていけるという点において同様に信じている。宇宙は地政学的には未開の地であり、私も思うところはあれど、それは事実ではない。

―――多くの人々はアルマゲドンの可能性についてあまり気を払っていない。無思考でいるんだ。そういう人間をどう思う?

 よく言われることとして「知識は痛みを増加させる」ということがある。ソファにふんぞりかえってメロドラマを見ることは、重い哲学的回答について頭を悩ますよりずっと簡単なことだ。現代人は容易く可能ものしか体験しようとしないのさ。そしてそれはその人間のライフサイクルに反映している。わたしはそういう愚かさ、平凡さを嫌うし、自ら遠ざけている。無価値の海に深く深く沈んでいくようにソファにふんぞりかえっている奴らからな。

―――あなたの宗教に対する考えは?死後について何か考えはある?

 はじめに言っておくと、宗教とは集団に向けられたもので、個人には向けられたものではない。そういった中で"解"に辿り着く訳がなく、あまりに愚かでバカげている。個人の枠組みにおいては…そうだな、モラルとイシューを与えることで明快な思考を得るということだけだろう。宗教とは常に弱く無価値で徒党を作ってしまうような人間をターゲットにしているものだ。弱く不安定な人間は非論理的な思考に容易に陥るのさ。


フィンランドシーン

―――初期フィニッシュブラックシーンを振り返ってみると?

 今より凄く小さくてもっと自分の生涯をささげていたな。しかし私はバンドの在籍している国について深く考えたことなどない。BeheritやImpaled Nazareneとは国が一緒なだけで他に何もない。ArchgoatはArchgoatなのだ。但しスカンディナビアブラックメタルは大概好まない。彼らのほとんどは自分自身をロックスターにしたいというメンタリティでやっているからだ。フィンランドは墓の盗掘や教会への放火なども無かった。ノルウェーやスウェーデンのシーンはそういう"サタニック"な活動で有名になったのさ。

―――私はあなたがBeheritのNHと長い付き合いだと知っているが、彼とコンタクトがとれる?

 我々は90年初頭はそうだったが、Archgoatを一度やめて以来、連絡を取ってないし、彼のことは噂でしか聞かない。噂も確固とした事実ではない。彼はブラックメタルシーンの最もオリジナルな人物だったが、残念ながらメタルをやめてしまった。しかし彼は常に一匹狼だったから、突然ブラックメタルシーンからいなくなってしまっても何の不思議もなかったな(2005年当時)

―――フィンランドのブラックメタルシーンに意見は?

 今日、90年代のシーンに回帰することはとても難しい。現代のフィンランドのブラックメタルは全く違うものになった。まるでノルウェイジャンの平均的なブラックメタルだよ。オリジナリティなんてない。そしてそのシーンは沢山の奴らが群れていやがる。イデオロギーと確かな手法を持ったアンダーグラウンドでタイトだったコミュニティは、いまやアベレージメタルに置き換わってしまったんだ。イデオロギーもオリジナリティもないやつだよ。アンダーグラウンドはオーバーグラウンドになってしまい、ブラックメタルの持つ古き価値は忘れ去られ、なくなってしまい、集団のものになって個人主義を考える余地を失ってしまった。もちろんその群れから抜け出している人もいるし、そんな人とは是非コンタクトを取っていきたいと考えている。もっとも、ブラックメタルを死に追いやったのはDimmu BorgirやCradle of Filthだ。プラスチックブラックメタルとコマーシャリティを混ぜたやつだよ。あいつらは大衆をブラックメタルシーンに容易に入ってこさせた。狼の群れに羊を混入させたようなものだ。


音楽・ブラックメタル

―――あなたの意味するブラックメタルとは何だい?

 音楽を作曲するということは強くイデオロギーに関係しているということをいつも感じていたし、だからこそロウなブラックメタル以外のものを作曲しようなんて思えなかった。ゆえにまずは哲学の探求から入り、その後に音楽を作曲することになる。ブラックメタルはより哲学的で、他のどんな音楽より、音楽性に裏付けられたイデオロギーそのものを体現しているのだ。サタニズムやオカルティズムといったものをね。音楽とは道そのものなんだよ。私がまだ子供だった頃、VenomやHellhammerの歌詞を読み、何を歌っているのか深くその意味を知りたかったなんてことがある。今日もなお、その道を歩んでいるのだ。

―――世界の音楽シーンの方向性についてどう思う?個人的に私としてはどのバンドの価値も失われていっていると思う。人々も戦うことを無関心だ。しかも不幸なことにこれらの人々が利益をシェアしている・・・これについてはどう思う?

 今日、多くのレコード会社があって、価値のないバンドが沢山在れば、多くの価値のないリリースがされて、ブラックメタルとしての本当の必要性が欠乏してしまっている。私はそのような新しいリリースをほとんど聞かない。そこには新しいアイディアやオリジナル性といったものが皆無だからだ。まあ単なる古いバンドの模造品だよ。自分自身の道を切り開くより、誰かの背後を歩く方がずっと簡単だからな。

―――NSイデオロギーなどのバンドについて個人的な意見は?

 ブラックメタルは自分の哲学の観点を表現する方法だと思っているし、政治的な観点を広める道具ではないと思う。サタニズムは"個人宗教(one-man-religion)"であるし、Archgoatの支柱である。そこに宗教や政治はいっさい混入されないし、哲学を政治的イデオロギーが覆い尽くすのは矮小なものがすることだ。

―――Darkthroneのようなバンドについてどう思うか?昔は否定的に捉えていたが?

 あの頃は沢山のデスメタルバンドが急にブラックメタルに転向してきた。彼らもその一つだと思っていた時期もある。しかしそれは間違えていた。私は今、Darkthroneに対して尊敬の念を抱いている。ブラックメタルシーンに大きな仕事をしてきた彼らを。今となってはあれはフィンランドとノルウェーの口げんかだったし、それを反映した発言に過ぎない。

―――20年来のブラックメタルシーンの重要人物として今日のブラックメタルについての考えを聞かせてください。

 (最重要人物だなんて)笑わせてくれるなよ。ありがとう。私にとってブラックメタルとは自分自身の宣伝などではなく、本当の闇を広めるためのものなんだ。80年代末~90年代初頭において比較していくとブラックメタルというものは本当に大きく変わっていった。今日に至っては、とてつもなく多くのバンド、レーベル、ディストロ、プロモーターが存在している。それはトゥルーであり続けること、つまりアンダーグラウンドにあり続けることを難しくしているんだ。私もこのような現代的な傾向を好ましく思っていない。ブラックメタルはコマーシャリティとは無縁であるべきなんだよ。



■ 引用

 今回の記事は

 ・ Arcana Noctis(04/09)
 ・ the Cross Of Black Steel magazine Issue # 2

などから引用した。凡そ年代は2005年~2009年のインタビュー記事で、他に出典不明の記事も一部引用してある。
タグ: column  Archgoat  Satanic_Warmaster 
その他  /  tb: 0  /  cm: 0  /  △top

【column】 NSBMとは一体何か? - VII 【完】 

■ 前回

【column】 NSBMとは一体何か? - VI
http://staymetal.blog8.fc2.com/blog-entry-577.html

■ 続き

 前回に引き続き、従来のプリミティブブラックメタルを踏襲した作風であるバンドをバンドを国別に紹介していく。今回は特徴的なシーンを形成しているロシア、フィンランド、ウクライナ、もしくは北米や南米にも目を向けていき、本稿を締めることにする。

■ ロシア

BBH ロシアのNSBMシーンを語るなら外せないのがBlazeBirth Hall(:BBH)である。BBHとはロシアのNSBMバンドの組織のことであり、前述したBranikald(1993-??)のKaldrad氏を中心に1994年に発足された。広大なロシアの中で、ブラックメタルはおろか、メタル自体のシーンも形成されていないような地方で発足したためか、その中で独自進化を遂げてCDリリースも行っていた。

 Kaldrad氏はBranikald以外のBBH所属バンドにも参加するなど大きな影響をもっており、BBH系列のとかく荒涼感のあるブリザードサウンド―すぐにBBHだとわかるほどの特徴のあるサウンドを各バンドにもたらした。自然主義的な印象も持っている曲調で、音からNS思想を感じることはない。但しメンバーの写真などを見ればわかるとおり、思想的にかなりNS寄りで、過激な行動にも及んでいた様である。現にKaldrad氏は2001年に不法武器所持(ネオナチの活動に使用していたようである)で投獄されている。

 Forest (1994-??)
 Raven Dark (1994-??)
 Nitberg (1999-)

Nitberg 上記3バンドはBranikald以外のBBH所属バンドの中でもよく知られているバンドであり、またメンバーがかなり重複している。Forestは中でも最もBranikaldに近い作風で、まさにBBHサウンドを体現しているバンドだろう。Raven DarkはForestに一時期参加していたUlv氏のバンドでKaldrad氏もゲスト参加していたが、BBHを語るならUlv氏の存在も無視できないが、残念ながら2005年に亡くなっている。NitbergはBBHの中で最もNS思想が露骨なバンドであり、むしろAbsurdタイプの項で紹介すべき自由闊達なブラックメタルである。何しろKaldrad氏がまるでAbsurd丸出しなボーカルスタイルなのだ。しかしそこはKaldrad氏だけあって、BBHサウンドとAbsurdタイプの融合が図られている。そのようなスタイルはThe Night and the Fog part IIに収録されている曲を聞いてもよく解る。しかし2010年にリリースされた2ndアルバムは路線をプリミティブブラックメタルに変更しており、聞く人を驚かせた。こちらは高品質なブラックメタルで、この項においてはむしろ2ndを推すべきだろう。それからNitbergのメンバーの在籍するWalknutはアトモスフェリックなブラックメタルであり、BBHサウンドも灰汁が無い程度に感じさせるサウンドで、BBH初心者には最適な音源である。

 M8l8th (2003-)

m8l8th_photo BBHと密接な関係を持つレーベルがStellar Winter Recordsである。このロシアのブラックメタルレーベルはBranikaldを含むBBH関連の音源を含め、他にもロシアのNSBMを多数リリースしているのだが、その中でもこのバンドは言及せざるを得ない。Molothというバンド名のoをわざわざ8に変えており、どう見てもネオナチシンパで危険なバンドであるが、なんとライブ盤まで出ている。考えるだけで恐ろしいライブだっただろう。彼らのサウンドはBBH系列とは異なり、まさしくプリミティブブラックメタルだ。Burzumのカバーをしているあたりも伺える。但しヴォーカルスタイルが少々アクの強さを感じるため、苦手な人もいるかもしれない。現在はポルトガルのFrenteuropa Recordsと契約しており、そちらのレーベルではまだ私も知らないNSBMバンドも所属しているようで今後注目していきたい。

 他にロシアのシーンにおいてはNa Rasputje (1997-)も有名だが、こちらは一枚しか音源を持っておらず、申し訳ないがあまり知識が無いので割愛させていただく。こちらもロシアらしいNSBMである。


■ ウクライナ

 地理的、文化的にもロシアのNSBMの影響を強く受けつつ、更に西欧のシーンとも交流があったことが伺える。このジャンルでは最も有名なバンドの一つ、Nocturnal Mortumを中心に人脈が広がっている。

 Hate Forest (1995-2004)

hateforest 既に紹介したNocturnal Mortumと並んでウクライナのシーンにおいて双璧をなしているバンドであり、「Aryan True Black Metal」と自称していた。彼らはアルバムによってその印象を変えてくるバンドであるが、その中で"Sorrow"や"Purity"は名盤として名高く、手法は違えどBBH系列のサウンドとも近い志向性を感じるし、かつ従来のプリミティブブラックメタルも兼ね合わせた荒涼かつ荘厳でありながら展開力のあるブラックメタルに仕上がっており、この手のスタイルにおける最重要バンドの一つである。解散後、Blood of Kinguというバンドを結成したが、こちらは更にルーツをインド、チベットの方に掘り起こしており、楽曲もそちらの影響を受けている。

 Hate Forestの関連バンドとしてはDrudkh、Astrofaes、Khorsが比較的有名だが、これらはペイガンブラックになっている。また人脈を辿っていくとDub Bukもまた取り上げるべきバンドだが、こちらもペイガニズムをテーマにしている。一方でDub Bukの関連としてUngernは完全にNSBMだが、こちらは楽曲があまり面白みが無く、特に紹介はしない。他にはNocturnal Mortumの関連バンドとしてAryan Terrorism、FinistがNSをテーマにしているが、未聴なので割愛する。


■ フィンランド

 フィンランドという土地柄は他の地域と比べてルーツ的、文化的に独立していて異色なところがある。そのためNS思想に必然性が無いためか、明確なNSBMシーンはないように感じる。但しところどころモチーフ的にNS思想を飾っているバンドは幾つかある。

 Satanic Warmaster(1998-)

SW ブラックメタルシーンにおいてもビッグネームとなったが、NSBMと区分けされることがある。確かに関連単語をメンバー名に利用したりするなど、記号的にNS思想をモチーフとしていることもあるが、あまり強いNS思想は感じない。また近年は特にそのようなモチーフ自体露にしておらず、恐らく活動に支障があるためではなかろうかと推測している。また別プロジェクトのThe True Werwolfでは作風もロウアンダーグラウンドだが、こっちの方で思想を発露している節がある。

 またGoatmoon(2002-)もフィンランドプリミティブブラックらしい作風で、こちらもあまりNS色は感じず、カルトプリミティブブラックである。また若干知名度は落ちるものの、Nekrokrist SS(2000-)もその系統でフィンランドらしいプリミティブブラックだが、バンド名からも伺える通り、思想は他のバンドよりはNS寄りかもしれない。このバンドは既に紹介したドイツのFaagrimと今年スプリットを出している。

■ 北米

 北米という地域は人種の坩堝だけあって、逆に白人と有色人種との歪みも根強く残っている。また移民が多く、自国の歴史というものがほとんど無いのも特徴だ。その結果なのか、少なからずNSBMシーンが存在している。

 Grand Belial's Key (1992-)

gbk_photo 日本ではそこまで話題に上がらないバンドだが、アメリカのNSBMの中では最も有名なバンドだと思われる。アルバムアートを見るととかくアンチキリストで、キリストなどに落書きしまくっているが、バンド自体は「アンチセミティズム」を掲げている。これはいわば「反ユダヤ主義」であり、その思想がNSBMと被っている。「アンチセミティズム」に関してはこのコラムの範疇を超えているので割愛するが、「ヒトラー万歳」のような歌詞は無いように感じ、レイシズムの塊のような作品を残している。。サウンドとしてもかなりカルトなブラックメタルだ。またメンバーのもう一つのバンド、Arghoslent(1990-)も非常に強烈な歌詞を残している。

 Pantheon (1993-)

Pantheon アメリカの有名なNSBMバンドの中ではもっとも露骨な思想表現をしている。サウンドこそペイガンブラックチックな内容だが、いかんせん歌詞が「我々こそがアーリアン民族の未来である!なぜならば我々は選ばれた民だから!」と咆えて、堂々たるプロパガンダを振りまいており、それがサウンドにも滲み出ているのかいかがわしい雰囲気に満ちている。また、このバンドは今回のコラムで取り上げた様々なNSBMバンドともスプリットを数々リリースしているなど非常に精力的に活動しているのが特徴である。しかし同名バンドが多数存在するので注意が必要だ。また彼らは最近、ポーランドのStrong Survive Recordsから音源をリリースしているが、このレーベルは結構なメンツが揃っており、このジャンルを掘り下げるならチェックが必要なレーベルだ。

 Birkenau (1995-??)

Birkenau アウシュビッツ強制収容所の名前を冠したNSBMバンドで唯一のデモ音源の写真もその収容所の写真が用いられている。Burzum直系の非常に不安になるような歪なサウンドが特徴だったが、後にI Shalt Becomeに改名してサウンドも変遷していき、「単なる」ディプレッシブブラックメタルになっていった。I Shalt Become自体はNS思想はないように感じるが、音源としてみるならば初期作品のほうがブラックメタルとしては出来が良いように感じる。

 他にGrom(1999-??)もNSBMに括られている。私は1枚アルバムを持っているだけだが、フォーキッシュなリフと強烈なヴォーカルスタイルに溢れんばかりのAryanスピリットが末恐ろしい音源だ。他にカナダのGeimhreがNSBMとされているがあまり特筆すべき内容ではない。むしろスプリット相手のShadeの音源として名前が挙がることが多い。


■ 南米

 南米はその土地柄か、非常にカルトなバンドが複数存在する一方で、Commandでも触れたとおり、ナチスドイツとの縁でNSBMシーンも存在している。

 Evil (1994-)

 The Pagan Frontにも所属していたバンドで生粋のNSBMバンドだが、作風自体はまさにプリミティブブラック。しかしかなりポンコツ気味なのと、ヴォーカルスタイルもかなり強烈でまさしくEvil。結構地味な作風なのに、明らかに「異質」感が漂っているのは思想の賜物なのかそうでないのか不明だし、あまり歌詞も目を通したことがないのだが、とかく凶暴。相当人を選びそうな楽曲だが、バンドの歴史も長くかなりの音源リリースをしており、どんなものか知る意味ではコンピレーション盤を買うと良いのではなかろうか。

 Seges Findere (1999-)

 こちらは激しく南米らしいNSBMで、昔からのコグメロサウンド譲りのベスチャルで粗暴なブラックメタルを引き継ぎつつ、それをNS思想のプロパガンダとして爆散させている。このバンドもかなり様々なNSBMバンドとスプリットを出していて、88などともリリースしている。

 他にアルゼンチンのFurorなどが存在するが、それよりこの南米という土地柄、とんでもないアンダーグラウンドが広がっており、Seges Flindereなどもそうだが、治安の悪いウォーブラックとNSBMの邂逅なんかも進んでいそうな雰囲気で興味深いが、何しろオーダーしづらいお国柄なだけに未知数な領域だ。


■ まとめ

 3回にわたってNSBMの重要だと思われるバンドを紹介してきた。しかし今回紹介したものは私が実際に聞いたもののみであり、他にも取り上げるべき重要なバンドが存在するだろう。また、バックグラウンドのこともあり、完全地下潜伏で活動しているバンドも数多く存在すると思われる。そのようなバンドにこそ、このジャンルの魅力を感じる人もいると思うが、そこまでいくと扱っているレーベル自体もかなりのもので、我々黄色人種ではオーダーすることすら叶わない可能性もあり、私としても守備範囲外である。そんな範囲内で紹介させていただいたので、まだまだ"序の口"の部分しか紹介できていないことを改めて申し上げておく。


■ NSBMとは一体何か?

 私はNSBMについて完全にプリブラの範囲内として音から入り、そのバックグラウンドが何たるか知らないまま徐々にその裾野を広げていった。そんな中、やはりAbsurdを聞いた時に明らかに「他と違う」カルトな雰囲気を感じ取り、それがNSBMだと理解した。しかしその後、実は自分が単なるプリブラだとしか思っていなかった音源もまたNSBMの範疇にあることを知り、改めて「NSBMとはい一体何か?」という疑問が生まれた。そしてそれを紐解くために調べ物を行いまとめていったものがこのコラムでああった。

 ではその疑問は晴れたのかというと、ここまでまとめておきながら、やはり音楽として定義するのは困難なものであることがわかった。Darken氏も言及していたように、言わば右翼思想が信念であるとすれば、NSBMを取り巻く極右思想はサタニズムの置換にすぎないように感じる。いわば新しい「邪悪」な表現のための代替品であった。その表現のために使われる音楽的表現が様々であったということであろう。 

 しかしそういう信念とは別にして、そのような表現を持ち出して作られた音楽にはパンク的な初期衝動を感じるものが非常に多く、言わば青いが故の魅力を大いに感じるところでもある。また一つにサタニズムとは異なり、あくまで人が人として「邪悪」であるという状態は、通俗的な表現だが「お化けよりも通り魔の方が怖い」感覚になる。そのような「危険」さというものも間違いなく魅力の一つになっていると考えられる。

 更に彼らが活動を通じてペイガニズムへの思想推移が散見され、欧州の思考体系も非常に興味深く感じる。他のブラックメタルのサブジャンルに比べてかなりデリケートな部分が大きく、何せ国によっては法律で禁止されるような話であるからして、個人的には頭を空っぽにして楽しむものというより、やはりバックグラウンドやバンドのアティチュードを音源を通じて何かを感じ取ることにより、更にこのジャンルを聞くことの意味が出てくると思われる。いや、むしろブラックメタル全体を見渡しても、浅く広くただ聞くだけの態度ではすぐ飽きるジャンルではないだろうか。単にこのジャンルを消費物のように聞きあさったところで何が残ろうか。過激な表現の数々はそれを如実に反映してくれているのではなかろうか。

 もう一度、自問する。NSBMとは一体何か?

 それはブラックメタルそのものであり、奥地であり、僻地である。

【column】 NSBMとは一体何か? - I
http://staymetal.blog8.fc2.com/blog-entry-524.html 
タグ:   Column  BBH  Nitberg  M8l8th  Hate_Forest  Satanic_Warmaster  Grand_Belial's_Key  Pantheon  Evil 
その他  /  tb: 0  /  cm: 6  /  △top