Suicidal Salvation : Black Altar (2013) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Black AltarのEPを紹介。
ドイツのDarker than Black Recordsよりリリースされた。

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以前2ndを紹介したが今作は素直にグレードアップ。
元々音楽的な側面にフィーチャーしたブラックメタルをやっているという発言もあったが、
単なる邪悪さではない重厚な世界観を表現したものになっている。

今回は明確にセッションドラマーがいるようだが正確なドラミングで、
シンセサイザーやSEの使い方も実に巧み。
どうやらFuriaMassemordのNihil氏が参加しているようだ。

但し音の分厚さ、曲の展開など少々疲れるところもあり、
そこに関しては「隙の無さが敬遠されるかも」と2ndアルバムでも指摘したとおりだが、
更にそれも進化しているところはまさに「個性」というやつなのだろう。
そういう意味ではEPくらいの尺はこのバンドにはちょうどいいのではなかろうか。

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Raiders Of Revenge : V/A (2000) 

ポーランドのブラックメタルバンド、GravelandとRACバンドのHonorのスプリットを紹介。
アメリカのResistance Recordsよりリリースされ、今年にポーランドのWitches Sabbath Recordsからも再発された。

graveland_s1.jpg

前にGravelandはNSBMではない云々みたいな話もあったが、
このレーベル、思いっきり白人至上主義のもので
スプリットのお相手も生粋のRACバンドでどうなってるの。

という突っ込みは置いといて、まずHonorは1989年に結成したRACバンドで、
RAC自体はあまり聞いたことが無いがへヴィメタル好きでも通用するサウンド。
ヴォーカルスタイル的にはまさしくスキンズ的でNSBMを聴く人なら慣れたもの。

一方でGravelandはまさしくこの00年頃の彼らの作風を反映させた、
決して走ることの無い実直なペイガンブラックをプレイしていて、
Bathoryの5thアルバムあたりの作品にミサントロピックな要素が追加されたような感じ。

このスプリットを手にするということは何らかしらポーリッシュシーン、
もしくはどちらかのバンドに興味がある人であるということだから、
十分満足できる作品ではなかろうか。

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Long Live Death! : Flame Of War (2012) 

ポーランドのペイガンブラックメタルバンド、Flame of Warの4thアルバムを紹介。
Lower Silesian StrongholdWerewolf Promotionの共同でリリースされた。

flameofwar.jpg

近年、Dark Furyにも参加しているNjord氏の独りバンドで、
ゲストでドラムを叩いているP.氏はこのアルバム後に正式加入したらしい。

楽曲のテーマとしては古代学/近代戦争/ペイガニズムなどで、
いわゆる露骨なNS思想を謳ったものではない点では近年のポーランド勢と同様だが、
こちらは勇壮な血脈への誇りをアピールするかのごとく勇壮なメロディが耳を惹く。

いわゆる真っ当なペイガンブラックだといえるが、
そこらへんの凡百なバンドと比べるとそのメロディが優れている事、
そしてアグレッシブさ、勇壮さ、メロディの調和に優れているところで、
高品質なペイガンブラックに仕上がっておりなかなか好みであった。

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Henbane : Cultes Des Ghoules (2013) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Cultes Des Ghoulesの2ndアルバムを紹介。
アメリカのHells Headbangers Recordsよりリリースされた。

HenbaneHenbane
(2013/04/16)
Cultes Des Ghoules

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「邪悪の極みを尽くすオールドスクールブラックメタル」と表現した1stを更に深化させた作品で、
いわゆる2nd wave BM以前のオールドスクールブラックを基調にしながら、
それを純粋にオカルティックな方向性で深めている。

逆に2nd wave BMこそブラックメタルだと思っている人にとっては、
ブラッケンデスメタルのように聞こえることもあろうが、
むしろHellhammer~Celtic Frostの延長線上にあると捉えると解りやすいのでは。

邪教的なカルトの雰囲気は更に作品に溢れんばかりになっており、
ミドルテンポで進んでいくパートではブラッケンドゥームデス~スラッジのような印象にも。
とにかくオールドスクールなブラックメタルが好きな人はドツボだろう。

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Kataxu/Necator : V/A (2008) 

ポーランドのブラックメタルバンド、KataxuNecatorのスプリットを紹介。
ポーランドのEast Sideよりリリースされた。

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2008年リリースだがKataxuサイドは1995年にリリースしたデモ音源の収録で、
それはそれでよかったのだがてっきり2000年代の活動の音源だと思っていたので、
ちょっと拍子抜けしたものの、同時に彼らの初期音源が聞ける貴重なもの。

NecatorLegacy of Bloodのメンバーが一部関わっているNSBMで、
"Reh.02.04.2005"というデモ音源が収録されている。
S.A.Musicには「ポーランド二大 NSバンドによるsplit」と書いてあるけどこちらは正直知らなかったが、
1曲10分オーバーの大作でプリブラとアンビエントが混ざっているような作風。

全体的には古き良きポーリッシュブラックが味わえるスプリット。
個人的にはやはりKataxuサイドに比重を置いてしまうものの、
Necatorも悪くない…がちょっとアンビエントパートが冗長に感じてしまう。

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Satan's Soldiers : Lord Of Evil (2012) 

ポーランドのプリミティブブラックメタルバンド、Lord of Evilのコンピレーション盤を紹介。
ポーランドのUnder the Sign of Garazel Prod.よりリリースされた。

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ポーランドのNSBMバンドとしてバンド名からして凶悪なWar 88の前身バンド。
1991年から1995年までLord of Evilとして活動した後に改名した。
恐らくTemple of Fullmoonの持っていた政治的主張に乗っかった形だと思われる。

という訳でこのバンド名だった時はまだ"普通"のサタニズムな世界観が主であり、
93年~95年の音源収録の中で後年に歌詞などNS色が出始めているが、
音楽性の方も年度が進むごとに徐々にグラインドの要素が入っていく感じ。

とりあえず一貫して極悪系のブラックメタルをプレイしていることは確かで、
そういう系統のブラックに垂涎してしまうなら買いの一言だが、
いかんせんレーベルが曰くつきで国内ではなかなか手に入らないので、
中古を待つかDiscogsなどを使って購入するべきだと思われる。

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United Aryan Evil : Fullmoon (1995) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Fullmoonのデモを紹介。
GravelandのRob Darkenの運営してたIsengard Distribution(後のEastclan)よりカセットでリリースされ、後にBlutreinheit ProductionsからCD/LPリリースされた。
また昨年にはAncient Order Productionsからカセットでリマスター再発された。

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ポーランドのブラックメタルサークル、The Temple of Fullmoonを象徴する1枚で、
また、このバンドのオフィシャルな作品はこのデモのみである。
1曲目のインストはRob Darkenがコンポーズしていてやっぱり女性の叫び声が。

まさにポーランドの街をハーケンクロイツ旗を掲げながら練り歩いていたときのもので、
サウンドの根底に流れるどことなく悲しげなケルト音楽のリフを基調に、
誇りと憎しみ、そしてどことなく感じる憂いがあわさったプリブラになっている。

後のOhtarにもつながるメロウかつミサントロピックな奏では、
ポーランドアンダーグラウンドの一つの基本にもなったし、
またプリミティブブラックメタルのクラシックな一枚として今も語り継ぐ作品だろう。

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Revelations Of Death : Demonic Slaughter (2011) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Demonic Slaughterの3rdアルバムを紹介。
ポーランドのHellthrasher Productionsよりリリースされ、LP盤はHell Is Here Productionからリリースされた。

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このアルバムは今までのモノとは雰囲気がだいぶ異なり、
メンバーが古いホラー/ゾンビ/ゴア映画が好きということで、
その類のものをモチーフにしたコンセプトアルバムになっていて、
ブックレットもそれに準じた内容になっていて面白い。

どちらかというとデスメタルやゴアグラインドのアプローチによく用いられ、
ブラックメタル的アプローチは古いホラー映画のそれとは異なるため、
今までの彼らの作品とは内容が異なる印象を受けた。

そういう意味ではポーリッシュブラックの系譜として聞くよりかは、
80'ホラー映画コンセプトのエクストリームメタルとして聞くとよい気がする。
自分もホラー映画好きなので楽しく聞けた。

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The Return Of Hate : Bustum (2010) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Bustumの1stアルバムを紹介。
ドイツのDarker than Black RecordsよりCDで、ポーランドのWerewolf Promotionよりカセットでそれぞれリリースされた。

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結成は1992年の古参バンドだが90年代にデモを3本出したきりで、
そのうちの1本は"First Day of the Aryan War"というタイトルで思いっきりNSBMっぽく、
今作品でもゲスト参加にDark FuryのRaborymやSelbstmordのNecroといった元Ohtar勢が並ぶなどそれっぽいメンツである。

内容としては "Temple of Fullmoon"系統といってよいであろう、
ノルウェイジャンブラックに作風としては近いもののフォーキッシュな奏でが挿入され、
若干ミサントロピックな印象が強いサウンドである。

正直、18年越しのフルレングスデビューでメンツも豪華でDarker than Blackから出ると言うことで、
どんなに強烈な音源なのかと思っていたのだが、
聞いてみるとそこまで記憶に強く残るようなインパクトはなかったのも事実。
ちょっとサウンドプロダクションがクリアな分、損しているかもしれない。

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【column】 Polish Black Metal Scene - IV 

【前回】 Polish Black Metal Scene - III

■ ベテラン勢の現在の活動

 現在のポーリッシュブラックメタルシーンにおいて、本コラムで既に紹介した初期から活動しているベテラン勢の存在感は未だとても大きい。

 まずはBehemothだが、紹介したとおり最近までは「グローバルセンスのペイガニズム」をテーマにしたエクストリームメタルをプレイしていたが、2009年にリリースされた9thアルバムの"Evangelion"はドイツ語で「福音」の意味を持つタイトルを持ち、逆説的な表現で使っている。更にNergalの白血病罹患と克服を経て、今年リリースされた新譜の"The Satanist"は巡り巡って"サタニズム"をテーマにした作品になっている。残念ながら筆者は未聴なのだが評判が良いのでいずれ購入するつもりである。

 一方でGravelandは相変わらずマイペースで淡々と活動をしていて、昨年には13thアルバムの"Thunderbolts of the Gods"をリリースしているが、ブラックメタルそのものからの決別(キリスト教という存在によるサタニズムからの脱却)をしてからの彼の作風から少しもブレていない。NSBMそのものではないと主張しつつも、政治的信念自体は変わっていないようで、2000年代に入ってからのスプリット相手もNoktunal Mortumから、RACバンドのHonorやKreuzfeuerといった様相である。

 その二つのバンドから比べるとネームバリューこそ落ちるが、Besattも今でも活動を続けており、昨年にはテープマテリアルのボックスセット(通称「木箱」)がリリースされるなど、アンダーグラウンドでの支持は厚いし、最近の作風も素晴らしい。またChrist Agonyは一時期名前を変えて活動していたが近年は名前を戻して活動中である。他にArkona、Dark Fury、Selbstmord、Black Altarあたりは2010年代に入っても精力的に活動している。特にArkonaは近年の作品も実にすばらしい。

 他にあのポーリッシュブラック第一世代頭であるPandemoniumは"Satanic Dark Metal"と自らを称して今でも活動しており、今年に入ってシングルのリリースもしていたりする。


― ポーランドメタルシーンについて

 とても強固だと思うが、多くのバンドはまだブレイクスルーに問題を抱えている。英語ができないためコンタクトがとりづらく、マネージャーもいないんだ。彼らの成功にはデキるプロフェッショナルなマネージャーが必要だ。あとは周囲に信頼する人間もだ。ポーランドにはそういう人間がいないんだ。
(Nergal from Behemoth)

― 歌詞をポーランド語で書いて、翻訳してもらっていると言うのは本当ですか?

 本当だ。私はいつもポーランド語で歌詞を書く。ポーランド語から英語への翻訳は難しいようで、時々大きな問題も生じる。私の歌詞は大体は詩的感情を抜いた生々しくシンプルなものなのだが、それでもまだまだ難しいようだ。世界中にはミカエル(翻訳者)のようなGravelandをサポートしてくれる人がたくさんいるんだ。私の英語はとても貧相で、他の人の力を借りざるを得ない。手紙やEメール、インタビューの回答についてもね。
(Darken from Graveland)

― ポーランドではブラックアートの支援は十分ですか?

 全くと言っていいほど皆無だ。しかしポーランドは伝統的なカトリックの国だし、だからこそアンチクリスチャンは力強く誇り高い。我々はそこにいる。きっとそういう国だからだろう。多くのブラックメタルバンドがアンホーリーライフを築いている、そこにはきっと「バランス」があるのだ。
(Besatt)

― どうしてポーランドに素晴らしいブラックメタルバンドが多いのですか?

 ポーランドのミュージシャンが何に触発されているのか、もしくはほかの国と何が違うのか、それを言うのは難しい。しかし唯一考えられることとしては、ここでは非常に伝統的なカトリック教会が生活に組み込まれているということなんだ。これがこの国でキリスト教主義に対する反発を生んでいると考えられる。一番の例としてはGorgorothのギグがポーランドで行われたとき、DVDで録画したのだが、そのマテリアルは警察に押収されたんだよ。
(Black Altar)


■ ポーリッシュアンダーグラウンドシーンの今

CdG.gif いわゆる2000年以降に結成された若手~中堅に属する、現在のポーランドブラックメタルを象徴するであろうバンドに関しても、今までこのコラムで触れてきた90年代から活動するバンドの人脈筋であることが多い。例えばSunwheel
、Kriegsmaschine、Furia、Massemord、Mgla、Legacy of Blood、Blaze of Perdition、Flame of War、Demonic Slaughter
あたりのバンドはいずれもそれに該当する。

 しかしあえてその人脈筋から外れたところで有力なバンドを挙げるならば、Cultes des GhoulesUpirだろう。両バンドのインタビューを以下に紹介するが、当初のポーリッシュブラックメタルシーンにあった、カトリックからのカウンターカルチャーとしてのブラック/ペイガンメタルというモチベーションから離れた、ポーランドからの新しいブラックメタルという印象を強く受ける。


interview with Upir

―ポーリッシュブラックメタルシーンについての意見は?

Skogen: 90年代半ばこそ「大きかった」が、それ以降はシーンの内側に閉じた活動を望むようになって、規模がシュリンクしていった。その結果、他国のジンやレーベルに取り上げられることもなくなってしまった。それは悲しいことだ。さらにシーン内部での争いもはじまり、皆エゴを振りかざして”ポーザー狩り”が始まった。それによって、その「大きかった」シーンとやらは、その歴史的な価値まで格下げされてしまって、まるで見世物小屋のようになったのさ。
だからポーランドのブラックメタルシーンが「大きい」なんてナンセンスなことだ。確かに沢山のバンドは存在していたが、それらも偽物だとかポーザーだとか糾弾されて消えていった。クソ野郎どもが「トゥルーでカルトな90年代」とかいう枠に当てはまるかどうか、ふるいにかけていたのさ。


― NSBMに意見は?

Skogen: NSBMブームは過去の話だ。昔こそ私も関わっていたが、世の中は変わった。私は自己哲学に目覚めて、そこから抜け出た。私はどんな肌の色だって同様に憎むし、そもそもこの地球自体、隕石でも落ちたりして滅びればいいとさえ思っているんだ。それをこの目で見るために長生きしたいのさ。もちろんVelesとかFullmoonとかそういう過去のバンドの作品は好きだが、イデオロギーが先に来て、音楽性が後に来るバンドはクソだね。自身の政治的なイデオロギーに信念があったとして、音楽でそのプロパガンダを広めて人を感化させたいと思っているのに、審美的価値のない歌詞にして、100本くらいのテープリリースしかしないとか、それはまさしくアンダーグラウンドの所業ってやつで、目的と行動が一致していないんだ。ゆえにNSBMのほとんどは「音楽」という基本的なベースを失っているのさ。俺は音楽も歌詞も等価に考えているし、それに誇りを持っているよ。

Legion: よく言われている「音楽と政治的観点を混合したらダメ」ってことなんだけど、それはもちろん納得したうえで、でも真実は吐露されるべきものだし、とても少ないけども歌詞でしっかりとした政治的信念を述べているバンドはいるんだ。ほとんどのNSBMの歌詞はそういうものじゃないけどね。私はアーリア人種がどうとかこうとかはいわゆる「嫌悪」による人種差別そのものであると理解しているけど、ブラックメタル自体が「嫌悪」という要素を含蓄していると思う。私個人としては「メタルが反抗、サタン、死の象徴」だと思う人の意見は完全に理解できるけれども、「白人のユートピアビジョン」についても否定をするつもりはないんだ。誰かが悪魔についての歌詞を書いて、他の誰かがNSについて書いたとして、それのどこに問題があるというんだ?個人的には私だって右翼的な政治思想はあるけれども、それについて音楽で表現するつもりはないだけだ。私は自分自身しかフォーカスしない。それが私のルールなのさ。



interview with Cultes Des Ghoules

― Cultes Des Ghoulesの名前の由来と音楽的アプローチとの関係は?

 メンバー全員がラブクラフトの書籍を愛読している。あれはとても神秘的な世界観を持っているんだ。だから我々はポーランド発の正体不明なバンドとしてその本から拝借したんだ。パーフェクトなネーミングだ。やっている音楽ももちろん神秘性を表現している。


― レビュアーやメディアはブラックメタルとしてとらえているけど、新作を聞く限りそこにとどまらないと思うが、”メタル”とかジャンルやカテゴリーをこえたアプローチをしている?

 それはブラックメタルだとしか言えない。ファンシーな飾りつけなど要らない。ブラックメタルは我々が常にそうしたいと思っているそのものであり、そこからスタイルを壊そうなんて思ったことがない。このスタイル自体は変えていくにはあまりに良質で活気のあるものなのだよ。つまりブラックメタルである、というものは軛ではなく、そのスタイルのままに多くの”新しい発見”ができるということさ。あなたが言っているブラックメタルというスタイルは狭義な定義だってことだね。



■ まとめ

 今回はポーランドのブラックメタルシーンに注目して、なぜポーランドにおいてブラックメタルが隆盛になったかの要因が、その特異な国の成り立ちとそれをめぐる宗教、民族問題に関連していることが解った。その中で、スカンディナヴィアからの2nd-waveの到来とともに"The Temple of Fullmoon"というNS志向のサークルが形成されたが、同時に宗教/民族という観点において特異な環境であるポーランドにおいては、それが主流に成りきることなく、各々ペイガニズムや個人主義への台頭を促すことになった。その推移は比較的緩やかに動いたため、NSBMからの脱却がなされた後についても、NSBMとして見做されていたバンドも多かったようである。

 その一方で"The Temple of Fullmoon"の活動は政治的な観点だけでなく、「トゥルーかどうか」という観点でもその指標として用いられ、その結果として国外に情報が出ていかなかったことで、ほとんどのバンドの世界的な認知度が上がらない状態にあった。それによってカルト性も上がったようではあるが、インターネットによる情報収集が一般的になった近年では様々なバンドの情報を収集することもできるようになり、またマテリアルとして再発盤を手に入れることもできるようになった。それは恐らく、シーン自体は90年代初頭から活動してきた人物が未だに多くバンドを継続していたり、新しいバンドで活動しているということもあり、過去のマテリアルが再発されやすいということだと推測される。

 逆に言えば神秘的なポーリッシュブラックという”印象”はいまでも引き摺っているというところであろうが、一方でそのような「古き良き」ポーリッシュブラックを聞いて育った新世代に当たるバンドも出てきており、それらに言えることは元々のモチベーションだったカトリックに対するカウンターカルチャーという枠組みを超えたところに新しいポーリッシュブラックメタルシーンを築いており、その表現方法についても深化を遂げ、かつ多様性が生まれてきており、今後においてもブラックメタルシーンの重要な地域として注目していく必要がある。

Hail Polish Black Metal!!
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