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V/A : Cthonium Chants from an Infamous Past (2014) 

Cthonium Chants from an Infamous Past

 ギリシャのオブスキュア・ブラックメタルバンド、CthoniumOsculum Infameのデモ音源をカップリングしたスプリット音源で、2014年にギリシャのKill Yourself Productionsからリリースされました。そういえばKYPは昨年はリリースが一本もなかったな、とか思ったり。さておきこのカップリングですが、よほどのギリシャのブラックメタルファンでもどちらのバンドも知っている人はなかなかいらっしゃらないのではないしょうか。私も知りませんでした。以前にUnholy Arcangelのコラムを書きましたが(何と5年前!)、そこでも言及されていませんでしたし、ギリシャ国内でも相当UGなバンドだったに違いありません。

 両方のバンドもこのスプリットに収録されている音源しかリリースされておらず、いずれも1991~1992年頃のもので、今では有名なRotting Christ、Varathron、Necromantiaがデモ音源を出していた頃とも重複しており、まさにギリシャのブラックメタルシーンの黎明期のものです。近年ではSadistic Noiseも再発されていますし、この頃のギリシャの音源はまだ出てきそうですね。しかしこのスプリットはそのように今後も出てくるであろうギリシャのブラックメタル再発音源の中でも、とにかく強烈で異彩を放っているのは間違いないでしょう。

 まずCthoniumサイドですが、不穏なイントロから始まり、バタバタドラムにジリジリギターでオカルティックなリフに吐きすてウィスパーヴォーカルで、おっとこれはBeheritだぞ、とその手のファンはビビッとくること請け合いです。Beheritよりちょっとしつこくて冗長に感じるのですが、そこが逆にシックな印象となって面白いです。そしてこの音質の悪さも実に良いですね。6曲目はデモ音源ではなくVAでリリースされたらしいLPに提供した一曲で、少し音質はマシですが、とにかくオカルト満載で良いなー。

 Osculum Infameもシンセサイザーの使い方などブラックメタルへのアプローチは明確なものの、こちらはデスメタルの領域から寄せた感じですね。この頃のオブスキュアなブラックメタルはデスメタルとの境界が曖昧だったりして、このバンドもそういうサウンドです。正直言ってしまうとCthoniumサイドと比べると魅力は低いと個人的に思ってしまいます。ですが、こういうのってコンテクストで見れば面白く感じます。ある意味、Cthoniumの前身のような存在だったのではないか、と思うのです(メンバーも重複しているようですし)。

 BeheritファンならとりあえずCthonium目当てで良いのでお勧めですし、まだノルウェー発のブラックメタルが「アンチ・デスメタル」を広める前の一つの流れを味わうという意味で興味深く聞けるスプリットです。でも先にCthoniumの方が結成が後なのに先にトラックを持ってきているし、スプリットのタイトル自体に名前が入っているあたり、KYPサイドもCthoniumの音源を世に出したかったけど曲数少ないからこういう形にしたんじゃないかって思いますね。
タグ: Beherit  Cthonium  Osculum_Infame  Greece  2011-2015 
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