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【column】 Polish Black Metal Scene - I 

■ はじめに
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 これまでのコラムにおいて特に取り上げたシーンは主にフィンランド、フランスであったが、今回は東欧の特にポーランドのブラックメタルシーンにフォーカスを当てて、その成り立ちや時系列に沿って、その系譜をまとめていきたい。またいつも通り、様々なバンドのインタビューにおける発言などもピックアップしていくことで、当時の空気感を少しでも疑似体感するなどして、アンダーグラウンドなシーンについて考えが及んで頂ければ幸いである。

 LLNのコラムのときもそうだったが、筆者は特段このシーンについて精通しているわけではなく、むしろ知らないことの方が多く、間違いや勘違いなどもあると思うので、気づかれた方はコメントなどで教えていただけると幸いです。

■ ポーランドという国

Poland.gif 当時、様々な民族が織りなす地帯で、後のポーランドとなるポラン族は北はスラヴ系、バルト系の民族、南はボヘミア、モラヴィア、そして西の神聖ローマ帝国の脅威にあった。そこでポラン族は自領土のキリスト教化(カトリック)によってローマ帝国との争いを避け、周辺民族との再編を経てポーランド公国として諸外国から認められるようになった。すなわちポーランドという国はカトリックを礎に成立した国であり、現在に至るまでカトリックを中心とした国家体制が築かれており、国民の約95%がカトリック教徒である。

 また現在は人種のるつぼと化しているポーランドだが、その歴史的背景は以下の理由による。

1. モンゴル帝国の侵攻でかなりの人口減になってしまった結果、ドイツ人殖民を多く受け入れたこと
2. 14世紀の西欧におけるペスト流行において「ユダヤ人の陰謀説」が広がり、最も寛容的な態度で多くのユダヤ人の受け入れを行ったこと(これは、ポーランドは独自の衛生習慣によってペストが発生しなかっため)
3. 近代~現代とドイツ(プロイセン)、ロシアから抑圧を受け続け、占領されていた時期も長く、混血が進んだ

 以上、ポーランドという国は「キリスト教(カトリック)によって立国」「多民族が織りなす人種的に寛容な国」というわけであり、国の存在自体がブラックメタルシーンと対をなすものであることがわかる。光が当たるところに影がある。

■ 東欧革命とブラックメタルシーンの自然発生

 第二次世界大戦が終わり、ナチスドイツから解放されたポーランドは長らく共産主義体制にあった。1989年に共産主義を倒す東欧革命が起きる訳だが、それ以前に目を向けると他の共産主義国家に比べるとかなり情報統制は緩かったようだが、それでも西欧と比べると閉鎖的なメタルシーンが形成されていた。例えばデスメタルバンドで有名なVadarは1983年に結成されているが、彼らの高い実力にも関わらず外国のレーベル(Earache)と契約するに至ったのは1990年であり、革命以降であった。

 そのような閉鎖的なシーンの中で最も有名になったメタルバンドはKATである。"処刑人"を意味するこのバンドは1979年に結成されたバンドで、当初はDeep Purple、Led Zeppelin、Black Sabbathといったバンドの影響を受けた音楽をやっていたが、1984年のデビューシングルではポーランド民謡や神秘主義といった歌詞をポーランドでは初めて取り入れている。さらにはサタニズムをテーマにすることもあり、ポーリッシュブラックメタルシーンの始祖的存在である。言わば西欧でのBathory、Sodomのような存在だったと言えるだろうし、そもそもポーランドのへヴィメタル/スラッシュメタル/ブラックメタルのいずれのジャンルにおいても先駆者であり、代表的な存在である。とりたてて後のポーリッシュブラック勢がKatの影響を公言していることこそないが(代表曲は純スラッシュメタルなものが多い)、日本で言うSabbat的な存在と思えば解りやすい。

 そして、その東欧革命が起きた1989年だが、これはちょうど世界的なメタルシーンにおいてもデスメタルというジャンルの確立、もしくは1st-wave ブラックメタルシーンの発芽が世界的に現れだした頃である。例えば以前のコラムにも示した通り、BeheritやArchgoatがブラックメタルをやりだしたのもこの年であるが、ポーランドにおいてもブラックメタルの最初期バンド、Pandemoniumが結成されている。彼らのジャンルは現在、改めて区分するとしたらBlack/Deathというものに区分されるであり、言わば1st-wave Black Metalのスタイルだと言える。影響としてはHellhammer、Celtic Frost、Samaelの名前を上げており、特にSamaelの影響を強く感じる。このようなスタイルのバンドが世界で同時多発的に発生したこと、しかも革命前後のまだ閉鎖的なポーランドでも起きていたことは特筆すべきことではなかろうか。

 他にこの界隈ではBundeswehra、Necrochrist、Tranisといった同様の志向性を持つ1st-wave Black Metalのバンドが現れた(もっとも私はこの3つのバンドの音源は未聴で手にも入らないと思う)。それらはのちにあの"Temple of Fullmoon"に敵視されることになる。

■ 終わりに

 まずはポーランドがどういう国か述べて、ヨーロッパの中でも異質な国であることを認識し、そのうえで共産主義崩壊以前と閉鎖的なシーン、そして崩壊後に出てきた1st-wave ブラックメタルシーンについて紹介した(なお、後に言及するがPandemoniumは今でも"Dark Metal"だとしながら活動を継続していることも付け加えておこう)。

 次回はいよいよTemple of Fullmoonというブラックメタルサークルの結成に話は及んでいく。彼らも他の国のシーンと同様にデスメタルの要素が多分に残ったブラックメタルをプレイしていたバンドに対して大きな憎しみを抱いており、ポーリッシュアンダーグラウンドシーンにおける争いが勃発することになる。

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タグ: Column  Poland  Pandemonium  Kat 
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