[Live] Impurity Japan Tour in Socore Factory (大阪) - 2015/03/28  

 昨年11月に日本のごく一部にて激震が発生した。何とあのImpurityが来日ツアーするというのだ!

 ライブレポート前に烏滸がましいがImpurityがいかにレジェンドであるか知らない方のために簡単にバンドの紹介をさせてもらいたい。



 Impurityはあのブラジルのコグメロレコードの"第二期生"に相当し(第一期生はSepultura、Mutilator、Sarcófago、Chakal、Holocaustoなど)、1988年に結成し、数枚のデモリリースの後に1stフルアルバムをコグメロよりリリースした。

 その後もトレンドにまったく左右されずに徹底的にブラジリアン1st wave BMを繰り出してきた。まさしく"不浄の洗礼"を世界各地に繰り返し行ってきたと言えよう。例えばあのBeheritとも親交があったとされており、まさしくこの界隈ではレジェンド的な存在であるが、こと日本では若干知名度が低かった。

 今回の来日ではそのような"不届きもの"に"不浄の洗礼"を浴びせるべく、遠い国、ブラジルより降臨したのである!!!

Impurity_Member.jpg 写真左はRam Priest氏(Vo.)。バンドの創始者であり、当初はほぼワンマンバンドであった。黒い司祭服に身を包んだカルトな風貌は"必見"である。まさにバンドのスタンスを物語る存在といえよう。

 写真右はRon Seth氏。1990年から加入し、当初はベーシストであったものの現在はギターを担当している。1stアルバムのアートワークを作ったり、さらにはSarcófagoのコンピ盤のアートワークも担当したことがある。今回のツアーにあわせてリリースされたImpurityと日本のSex Messiahのアートワークも担当したと小耳にはさんだ(未確認)。

 ドラムは昨年まではHolocaustoのRodrigo Führer氏がプレイしていたが脱退して、現在はGuilherme Cosse氏が加入している。そのためこの写真には出ていない。またベーシストも昨年脱退しており、現在はベースレスの3ピースで活動している。



 さて前置きはこのくらいにしてさっそく、当日のライブレポートを綴っていこう。

IMG_20150329_081843.jpg 開場と同時に入場し、まずはお目当ての一つであった上記スプリットを購入。ついでに持っていなかった2ndアルバム"Into the Ritual Chamber"も併せて購入。このアルバムは長らく廃盤になっていたが昨年ようやく再発されたのである。

 他にもImpurityはマーチャンを相当用意してきたようで充実した物販であったが、とにかくImpurityを最前列で見たいと思ったので最初から張り付いていようと必要最低限しか見なかった…が、後からかなり後悔したのは別の話。会場でお会いしたTwitterのフォロワーの方は1万円以上購入したと聞いた。またButcher ABC/はるまげ堂オーナーの関根さんも出店されていたが、ちょうど近くにいたときにSarcófagoの1stアルバムを知らない方の接客をされていて、思いのほかImpurity目当てじゃない人もいるのかと思った。

 とかく私は最前列をキープして開演をしばし待つ。不安だったのはいつもなら約束せずとも会場でお会いしそうな人が来ないこと。後から知ったのは当日は関西はハードコア/パンクのライブが目白押しだったそうで、完全に食い合いだったようだ。そのためかどうも開演前、人がいない。最前列キープと鼻息荒かった自分が赤面なくらい、前に人がいないのだ。先ほども含めてやはりImpurityを見たくてしょうがない人が少ないのかも…と残念に思った次第である。正直、今回は相当盛り上がると思っていたので予想外だった…。だからこそ今回はしっかりライブレポートを書かねばと思った次第なのである。


 さて当日のメンツを考えると、1発目は若手のEvilだと思っていたのだが、まさかのSex Messiah!正直、呆気にとられたが、「会場に遅れてしまった人には酷な順番だ」と思ったのは一瞬のことで、すぐに我を忘れてはしゃぎ回った。昨年のBlack Sacrifice Vol. 011でもそういえばトップバッターだったなあと。

 1st wave BMを基調にした日本では比較的珍しいスタイルであったこと、今までアナログリリースばかりだったこと、そして人脈筋がハードコアパンク寄りであったことなどから、国内のブラックメタルのメイン層では必ずしも知られているわけではなかったバンドであったが、現在の編成になってメタル人脈筋が太くなり、また待望のバイオグラフィCDも昨年リリースされたことで一気に国内指折りのBMバンドになった感があるが、顔ぶれを見ればそれも当然といったところか。

 ライブで見るのはこれで3回目だが、昨年のバイオグラフィCDとの対比をすると地獄系デスメタル的アプローチは幾分減退してもう少し直情的なハードコア寄りのサウンドになっている。恐らく宇田川氏のパフォーマンスそのものがそうさせるのではないかと思う。そして、その分だけライブでは頸椎へのダメージが著しい!前回の時もそうだったが、トップバッターでここまでダメージを受けると、普段は一児の父としてライブ参加は控えている身としては本当に首が持たない(笑)。逆に言えばそれだけ素晴らしいパフォーマンスだったということだ。

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 さてSex Messiahの幕が下り、一息。そこで気づくのは開演前もそうであったが、つなぎの会場BGMが最高も最高であった。とにかくBeheritをたくさん流してくれていたと思う。"Nocturnal Evil"と"The Gate of Nanna"がよくかかっていたように感じた。アー, セイタン!! アー, ルシファー!! 実際、ライブ会場のBGM選曲でBeheritなどのロウブラックを流すことは少ないように感じるため、何というかそれだけで「今日は自分の為のライブだ」と勘違いしてしまう。そのような特別な空間をもたらしてくれる体験こそ、ライブの良さであろう。

 閑話休題、二バンド目はFramtid。おお、Evilはメイン前なのか!と思いつつ、すぐにクラストの波に感情が埋もれてしまった。これまたBlack Sacrifice Vol. 011において出演予定だったがトラブルによってキャンセルだったこともあり、今回見れたことはメタルサイドの人間としては非常にありがたい限りである。D-Beatクラストは非常にメタルとの親和性も高く、日本が世界に誇るクラストバンドを生で見れて良かった。

 突進力、アグレッションという点においてはこの日もっとも強く感じたし、メタル野郎を薙ぎ倒してやろうとするクラスティーのプライドも感じた。しかし、その勢いに身を任せた結果、またもや頸椎にダメージが色濃く入り、いよいよ痛みが伴ってきた。

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 3バンド目はようやく日本の若手ブラッケンドスラッシュメタルバンドのホープ、Evil。幕が引かれてすぐ目に入ったのは卒塔婆である。何というライブ演出!

 関東からの襲来で夜行バスで来たとか聞いたのだが、そんな疲れも感じさせず、昔ながらのブラッケンスラッシュ、それも初期Sodomのようなオドロオドロしさと、それを裏付ける演奏のノリが非常に心地良い、また前2つバンドとはそのサウンドの性質の違いから非常に癒された(笑)。おかげで頸椎のダメージは幾分回復させることができた。

 無論、彼らのサウンドが激しくなかったというのではない。自分にとって初期Sodom的なアプローチはまるで"ホーム"なのである。そのようなサウンドを若手と呼ばれている彼らが体現していることを非常にうれしく思う。また関根さんがここぞとばかりに舞台袖や客最前列で彼らの写真を撮っている姿を見て、彼らへの期待を強く感じたものである。ぜひ、また大阪の地に踏み入れてほしい。例えば来年のTTFとかいかがであろうか…関西のベテランスラッシャー達をギャフンと言わせてもらえないだろうか。

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 3バンドのプレイを経て、心なしか会場のボルテージも変わってきた感じがする。ある意味、3バンドとも全くタイプが異なっていたし、各々にアイデンティティがあり、さらに言えば高みを目指す志向性においてのみ同じであったような気がする。そのようなバイブレーションした雰囲気に会場が揺り動かされたのではなかろうか。

 そして次に出てくるメインアクトはその3バンドのいずれも持ちえていないものを携えてくる。それは長年の活動に裏付けられた強固なブラックメタルに対する信念/執念と、そしてそのカルト的なカリスマ性である。まだ彼らの姿は見えていないのに、確実に会場を浸食していく。恐らくそれは未知なるものへの畏敬の念であっただろう…。


 そしてついに幕は上がった!!

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 やはりRam Priest氏は司祭服を身にまとっている!しかし写真で見るより、実物を見てしまうと「ホンモノ感」が半端ない。正直、今まで写真で見る限りは半ばネタっぽく扱われてもしょうがないという風に思えていた姿だったが、いざ目の前に、文字通り自分は最前列で彼の真正面にいたわけで、まるで洗脳された信者であるかのようにその御姿に圧倒されてしまったのだ。これは"不浄なる洗礼"なのか、と。

 しかしその後に耳に飛び込んできたのはRon Seth氏の日本語によるMCであった。

 みなさん とおいところから いらしゃってくださり ありがとうございます。
 わたしたち ばんどIMPはブラジルメタリカを だいひょうとして
 ミナス・ジェライスしゅう  べロ・オリゾンテし から まいりました。
 みなさまがたに おんがくで わたしたちの
 メッセジを おくりたいと おもっています。ここに いることが ほんとうに こうえいで
 かんしゃの きもちが いいあらわせません。
 ばんざいにほん  ばんざいみなさん。
 (原文ママ)


 何ということか!感動で打ち震えた…。こんなブラックメタルバンドの来日がいまだかつてあったであろうか!いやない!(反語) 彼らは90年代~00年代にブラジル国内ではほぼ無視されたシーンにいながらも信念をもって音楽を続けてきて、そして今では数百人、いや、数千人を前にしてプレイして熱狂を浴びるレジェンドなのである。

 最前列にいた自分は後方にどれだけ人がいたかはそこまで確認していないが、たぶんこの日の集客は正直、良くなかった。個人的に外タレのライブに来て内心不安に思うのは集客である。少なかったらわざわざこんな辺境の地に来てもらったのに、と申し訳なく思う。しかもそれが有名なバンドだったらなおさらである。

 しかしその日本語MCは自分のそのような不安な心を吹き飛ばしてくれた。全身全霊でこのライブを楽しもう、Hail Satan!!を唱え続けようと心を塗り替えることができた。本当にこの一瞬が今でも思い出すだけで感動で打ち震える!たぶん今までImpurityをよく知らなかった人たちも、この瞬間で心を根こそぎ奪われたことであろう。

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 彼らの醸し出すカルト的カリスマ性は本当に目の前で味わってみないと分からないと思う。サウンド的にはSarcófagoSamaelを足して二で割った…的な解説はできるであろうが、サウンドだけで語るのは片手落ちである。魔術などオカルティズムをベースにしたサタニズムが前提にあり、それを体現するためのサウンドなのであり、目的と手段が明確なのがImpurityなのである。

 とてつもなく速く何をやっているか全くわからないほどノイズまみれのパートもあれば、スロー/ミドルテンポで半ば鈍重に邪悪な瘴気をまき散らしていく様は本当にすごい。もはや何もかも圧倒されてしまって記憶が飛んでいるところもあるが、うっすら残っている記憶としてはセットリストまで計算が尽くされていて、序盤はとんでもなく飛ばしながら、徐々にスローミドルテンポを出していくことで、ライブ全体の空気を淀ませていく。一曲一曲ではなくてライブパフォーマンス全てが連続的にメッセージ性、ストーリー性をもって構築されている…これだ!これこそが本物のブラックメタルだ!

 1曲だけすぐれているとかそういうものではない。存在が邪悪であり、存在がブラックメタルである…彼らの存在こそがブラックメタルをブラックメタルたらしめているのだ。

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 夢中で拳を振り上げ続けた自分に、まさかRam Priest氏は手を差し伸べ、固く握手をしてくれた。

 自分は救われたのだ。
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