Goat Worship - II 

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■ 90年代におけるChris Moyenの影響

 前回はなぜ山羊が悪魔的象徴とされるようになったかについて記載したのち、VenomBathoryのジャケットアートワークにも山羊が登場しているところまで話した。今回は恐らくこのブログに来るような酔狂な方なら1枚は手元にあると思われるChris Moyenのアートワークについてまず言及する。

 Chris Moyenは90年代初頭より主にデス/ブラックメタルバンドのアートワークを作成しており、テーマはすべてサタニズムである。そのため当然のごとくバフォメットが描かれたアートワークが散見される。1991年のBeheritDeath Yellのスプリット、Incantationの1st EPやGoatlordの1stフル、1993年のArchgoatの1st EP、1995年のImpricationのコンピレーションあたりはバフォメットの描かれた彼の初期作では有名なものであろう。またいずれも現在でも語り継がれている作品ばかりであり、これらは全て"Goat Metal"を印象付ける重要なものになっている。

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 個人的にもこれらの作品やバンドが自分の「Goatジャケ買い」の要因になったのは間違いないし、またいずれもノルウェイジャンブラックメタルとは本質的にモノが異なる1st-wave Black Metalから派生した作品群であることも特筆すべきことであろう。すなわちブラックメタルとデスメタルの境界が曖昧な時代の産物であるということだ。Imprecationのコンピこそ既にノルウェイジャンブラックメタルが覇権を握っていた時期だが、Imprecation自体、Incantationのフォロワーであったことから、いわゆるデスメタルの範疇の中にある地獄系デスメタルであった。

 現在のChris Moyenの作品にもバフォメット/ゴートは多用されており、変わらず"Goat Metal"のイメージ作りに大きな影響を与えている。


■ 様々なGoat Metalの形 - バンド名編 その1

 Chris Moyenによる"Goat Metal"の視覚的に植えつけだけでなく、様々な"Goat"要素の取り込みがある。まずはバンド名について見ていこう。

goatlorddemo.jpg まずは既に名前の出ているArchgoat、Goatlordはレジェンド的な存在であるが、前者は既にコラムで取り扱ったので後者について簡単に触れておくと1985年にアメリカで結成されたバンドで、いわゆるのちのブラックメタルとは全くルーツの異なる性質を持つバンドであり、スラッシュメタルの要素をあまり感じないドゥーミーで邪悪なデスメタルである。音としては現在のウォーブラックメタルとも類似点をいくつか感じる。なお、かのDarkthroneも1996年にGoatlordというタイトルのアルバムをリリースしているが、直接の関係はない。

 1987年にリリースされたデモ"Sodomize the Goat"はタイトルも相当ヒドいが、ごらんのとおり、とんでもなくスカムで冒涜的なジャケットになっている。これは本当にヒドい。あまりにもひどくて近年、再発されたりしている。もちろんテープで。

goatpenisdemo.jpg またブラジルのGoatPenisも前身バンドから考えると1988年に結成された"Goat Metal"のレジェンドであるが、彼らの1stデモ"htaeD no tabbaS"のジャケットもまた最高にスカムである。握るな、おい。またタイトルも逆さ文字を使っていたり。

 さすがに自分もこのカセットテープは持っていないが後に出たコンピ盤で聞くことができるのだけど、このころの彼らのサウンドは非常にオンボロかつ怪しげなデス/ブラックメタルであり、現在の軍事オタク系ソリッドウォーブラックメタルをやっている彼らのサウンドは全く想像できない。

 またBeheritのメンバーの別プロジェクト、Goatvulvaもこのころにある意味大暴れしていて、彼らのグラインドナイズなブラックメタルにさらにポルノノイズなどを混ぜた完全自由型スカムサウンドをやっていた。3thデモが"Baphometal"というタイトルで、これぞまさにという感じである。Beheritほどではないがアンダーグラウンドのごく一部では非常に支持の厚いバンドで、様々なバンドが影響を受けて曲名からバンド名を拝借したりしている。また近年ごく一部で話題になったデンマークのGoatfagoもまたGoatvulvaの直系チルドレンであり、こちらもまた脳みそをかき回すブラッケンドノイズをやっている。

goatsemen.jpg スカムといえばやはりこのバンド、ペルーのGoat Semen。セルフタイトルを銘打った2ndデモは写真に示す通り、これまたヒドい。しかしこのバンド、大好きである。

 実際、このコラムの着想を得たのはこのバンドの新譜が本日リリースになったからであり、我慢できずにBandcampでpre-prderしてしまったのだが、まだDLできないのでウズウズしているのである…というと話が反れたが、バンドの結成は2000年なのだが、新譜はなんと1stフルアルバムなのである。15年もの歳月だ。このバンドとの個人的な出会いは同郷のAnal Vomitとのスプリットで、度胆を抜かれるくらいカッコよかったのだが、そこからフルアルバムを待つこと10年だったわけで、非常にうれしいリリースなわけだ。というわけで皆さんもぜひチェックしてほしい。

 このバンドは当初から今に至るまでベスチャルなブラック/デスで貫き通していて、ウォーブラックともかなり近いというかほぼウォーブラックといってもよいようなサウンドを出している。フルアルバムを出していないのにライブ盤を出したりしているところも面白い。


■ 終わりに

 今回は"Goat Metal"のイメージをジャケットから植えつけたChris Moyenについて言及し、ジャケットと想起されるサウンドを一致させた功績について述べた。そのようにイメージづけられた"Goat Metal"について、まずはバンド名から主張しているバンドを列挙して紹介した。

 次回はその続きとして有名どころからちょっとマイナーどころまで様々に紹介していくとともに、他にバンド名以外についても歌詞テーマに採用しているバンドや、もしくはレーベルなんかも紹介していきたいと考えている。

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