Existence of Abhorrence : Nuclearhammer (2007)  

カナダのウォーブラックメタル、Nuclearhammerのデモ音源を紹介。
カナダのPoison Mist Propagandaよりlim.80でCD-rフォーマットでリリースされ、後にエクアドルのBlack Goat Terrorist 666よりテープで再発された。

nuclearhammer_2demo.jpg 

 1stアルバムがウォーブラックメタルフリークから大絶賛され、一気にブラック・デスメタル・シーンの第一線に登り詰めた一方で、その後のミニアルバム、2ndと予想を斜め上にいくスタイルへの転身を遂げて、しかもそれらの作品も素晴らしかったために、一筋縄ではいかない、スタイルへの安住を良しとしないという印象を持つバンドではある。

 一方で以前紹介したこのバンドの前年デモ "Immortalized Hatred” は呪詛的なVONの要素とBlasphemyライクのブラック・デスメタルをミックスしながら轟音ブラック・ドゥームのような展開も見せた粗削りスタイルだったが、こちらはより原初的なスタイルを取っており、極めてルーツに忠実な姿勢が見られる。というか、これは北米のBeheritといっても良いのではないか。いや、BeheritBlasphemyをトレースしたら、という方がより正しい気もする。ウィスパーボイスの使い方などBeheritウォーシッパーらしさが伝わってくる一方で、ドラムのドカドカ感などはウォーブラック、というかBlasphemyのそれのように感じる。

 近年におけるウォーブラックメタルの名作であった1stアルバム "Obliteration Ritual" の導線としては最も解りやすい内容を提示しているのがこのデモであり、彼らのマイルストーンというわけだ。さてこのデモは現在フィジカルで入手するのは全く至難の業だが、 "Immortalized Hatred” と同様にレーベルでの無料DLが可能で、筆者もそこでDLした。たぶん今も可能だったと思うが未確認なので興味がある人は確認されたし。

Encyclopaedia Metallum - Nuclearhammer
タグ: Nuclearhammer  Beherit  Blasphemy  Canada  2006-2010 
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Re: War Black Worship - vol. 3 

前回 → Re: War Black Worship - vol. 2

■ 十章: Nuclear War Now!

blasphemy_live.jpg Yosuke Konishi氏はアメリカはカリフォルニアにて自身のブラッケンドノイズバンド、ErebusのデモリリースとしてレーベルNuclear War Now!を設立する。1999年のことである。この時点では決して現在のようなレーベル活動を目論んでいたわけではなく、単純に自身のデモリリース起因だったようだが、やがて自身の音楽活動の限界と他者の作品リリースに考えが達し、2001年のバンクーバーにおけるBlasphemyのライブをMDプレイヤーで録音したものを、バンド側に掛け合ってライブ音源としてリリースすることになる。これが公式リリースとして初のNuclear War Now!のレーベル活動となった。

 この2001年という年は例えばOsmose Prod.もAngelcorpse、Blasphemy、Sadistik Exekution、Mystifierといったバンドのマテリアルの再発をリリースしており、ヨーロッパでも何らかの機運が高まっている時期であったし、Blasphemyが一時期的にでも再結成によるライブ活動を行ったこと自体、その何らかの機運とリンクしていることは間違いない。

Kult_Razor.jpg もしくは恐らくこのブログの閲覧者ならよくご存じであろう日本のDeathrash Armageddonもまた初リリースとして2002年にフィリピンのKorihorの作品をリリースしている。この音源ジャケットはあのGoat SemenのErick Neyraがデザインしたことで有名であり、いかに世界中でこのような同時期のムーブメントが勃発したかお分かりいただけるであろう。もしくは第八、九章でそれぞれ述べたように東南アジアと南米にそのようなつながりがあったこともまたトレンドと無関係だった地域の"同志関係"がうかがえるのだ。

 恐らくこれは北欧を起点とした2nd wave BMにおいてその勢いに陰りがみられたこと、もしくはよく言われるジャンルのポピュラー化、コマーシャル化による本質の衰退に対してアンダーグラウンドに引き戻そうというムーブメントが局所局所で勃発し、1st wave BMの流れを汲むバンドマテリアルの再評価が進んだのではないかと考えられる。その中で最も存在感があった、さらに言えばマテリアルのチョイスにアンダーグラウンドかつカルトなセンスがあったのがYosuke Konishi氏であり、Nuclear War Now!だったのである。Blasphemyが彼にライブ音源のリリースを許可したという事実自体が非常に興味深いものなのだ。もしくはDeathrash Armageddonもそうだが、極めてレーベルオーナーの個人的な趣味を動機としたリリースや再発がこのジャンルの再興を促したことはまさにこのジャンルの性質を表していると言える。

blasphemy1.jpg その後、Nuclear War Now!による重要な再発音源を以下に並べる。
  • VON - Satanic Blood Angel (2002)
  • Sarcofago - I.N.R.I. (2004)
  • Impurity - The Lamb's Fury (2006)
  • Reencarnacion - 888 Metal (2006)
  • Blasphemy - Fallen Angel of Doom (2007, 2015)
  • Conqueror - War.Cult.Supremacy (2011)

 特にRoss Bay Cult関連の再発は共同で行っており、Blasphemyのライブ音源リリースの後もアンダーグラウンドにおける交友関係は長く続いている。


■ 十一章: 志を受け継ぐ者たち

 Nuclear War Now!を中心とした過去音源のリリース群による再評価に呼応するがごとく、その志を受け継ぐかのように新しいバンドが出現する。それらをサポートした重要なレーベルはもちろんNuclear War Now!Deathrash ArmageddonOsmose Productionsの他に、ドイツのIron Bonehead ProductionsDunkelheit Produktionen、アイルランドのInvictus Productions、アメリカのHell Headbangers RecordsOld Cemetery RecordsDark Descent RecordsSatanic Skinhead Propagandaが候補として挙げられるだろう。

 そしてそれらrのレーベルがリリースに関与した"志を引き継いだバンドは以下の通りである
 
sadomator.jpg
    ヨーロッパ
  • Sadomator (ex-Sadogoat) (1998-)
  • Embrace of Thorns (1999-)
  • Anal Blasphemy (2002-)
  • Blasphemophagher (2002-2012)
  • Bestial Raids (2003-)
  • Proclamation (2003-2012?)
  • Teitanblood (2003-)
  • Pseudogod (2004-)
  • Wargoat (2006-)
  • Demonomancy (2008-)
  • Goatblood (2011-)
  • Witchcraft (2013-)

black witchry
    北米
  • Ouroboros (1997-2010)
  • Axis Of Advance (1998-2007)
  • Black Witchery (1999-)
  • Revenge (2000-)
  • Nyogthaeblisz (2002-)
  • Martyrvore (2002-)
  • Necroholocaust (2003-)
  • Amputator (2005-)
  • Nuclearhammer (2005-)
  • Antediluvian (2006-)
  • Nocturnal Blood (2008-)
  • Weregoat (2009-)
  • Abysmal Lord (2013-)

witchrist.jpg
    南米
  • Seges Findere (1999-)
  • Goat Semen (2000-)
  • Nihil Domination (2003-2013?)
  • Hades Archer (2005-)
  • Wrathprayer (2006-)
  • Bloody Vengeance (2009-)

    オセアニア
  • Diocletian (2004-2015)
  • Witchrist (2006-)
  • Heresiarch (2008-)
 
Genocide_Shrines.jpg
    アジア
  • Nechbeyth (2001-)
  • Zygoatsis (2003-)
  • Damaar (2004-2006)
  • Infernal Execrator (2005-)
  • Battlestorm (2007-)
  • Nocturnal Damnation (2010-)
  • Genocide Shrines (2011-)
  • Blasphmachine (2012-)


 これらのバンドを並べたのは一つは各地域から新しいバンドが出てきているということ、そして特に前述した2002年前後に多く結成されていることだ。この事実は過去のマテリアルの再発が促したシーンの活性化を表していると言えよう。なお、上記バンドリストは特定レーベルが関わったバンドという限定に基づいており、このジャンルの重要なバンドを全て網羅的に示しているものではない。しかしかなりの有名なバンドを網羅していることは確かである。

 また更に00年代後半から現在まで、アクティブなバンドを俯瞰的に見てみると、実はvol.1で触れた各バンドの要素が混在化されていったようなスタイルのバンドが増えていることがわかる。決してトレンドに振り回されず、自己のスタイルに進化ではなく深化していった結果としての、近いベクトルを持つ各スタイルの共鳴が図られているのである。例えばニュージーランドのDiocletianでいえば、オセアニアブラックメタルとしてのBestial Warlustのスタイルをベースとしつつ、Incantationスタイルを合わせたものになっているし、フィリピン(現在はコスタリカ)のDeiphagoはBlasphemyのスタイルをベースとしながら、さらに南米ベスチャルスタイルを融合というより掛け合わせたような感じでとにかくダーティーで破壊的なスタイルを確立している。

■ 十ニ章: 最後に

 最も1st wave BMの直系だといえるスタイルでありながら、シーンのオーバーグラウンド化を嫌って地下に潜った結果、ブラックメタルのサブジャンルとして認識されてしまったWar/Bestial Black Metalであったが、その後、再評価が進むような各"個人"の動きがそのアンダーグラウンド性を保ちながら世界中に広まり、重要な過去音源の再発のみにとどまらず、新たなバンドの始動や、もしくはArchgoatやBeheritのような重要バンドの再結成に至った。

 War (Black) MetalのパイオニアであるBlasphemyは、その重要な過去音源の再発という起爆材においてもやはりNWN!の行動と共に共鳴しており、過去から現在に至るまでこのジャンルにおいて最も重要なバンドであるということは言うまでもない。

 最後にそのBlasphemyの発言から引用してこのコラムを閉める。


 ―Would you say Blasphemy is Black Metal, Black/Death or something else?
 Blasphemy: Only Black Metal.
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Re: War Black Worship - vol. 2 

前回 → Re: War Black Worship - vol. 1

■ 六章:2nd-Wave Black Metalの興り

darkthrone2nd.jpg 前回、ヨーロッパにおいてデスメタルの範疇にもありながら、脱デスメタルを志向して形成され、ブラックメタルというジャンルが明確化されていったことを説明したが、当時デスメタルバンドとして活動していたDarkthroneが突然、コープスペイントを身にまといメンバーの名前も改名して1992年にリリースした2ndアルバム”A Blaze in the Northern Sky”は強烈だった。もちろんベースとなる音楽はBathoryのものだったが、その音楽性を更にアルバムジャケットのように漆黒に塗りつぶしたサウンド、そして意図的なロウサウンドプロダクション、そして翌年以降のライブ活動停止(神秘性)と、その後のブラックメタルの路線を大きく決定づけるスタイルをシーンに叩きつけた。これは1stアルバムをリリースした1991年にEuronymousと出会い、かのインナーサークルに加入したことが影響している。これが2nd-Wave Black Metalの興りである。 

 さらにこのインナーサークルを取り巻いたスキャンダルな事件の数々が、このジャンルの異様性を高めていった。この辺りは様々なメディアが取り上げていて作品にもなっている事なので割愛するが、BeheritのNuclear Holocausto Vengeance氏は当時、こう述べている―「(様々なノルウェーの事件について)俺は理解できないけど。そんなのノルウェーで起きているだけだからね」

 この状況はさらにノルウェーとフィンランドの「Dark War」と呼ばれる抗争に発展した。この状況以前のブラックメタルは非常に小さいシーンの中で、どのバンドも共通の志向性を持っている”塊”だったというが、音楽表現ではない過激な”表現”がシーンを変えてしまった。1993年あたりに起きたと言われるブラックメタルのオーバーグラウンド化である。Archgoatは「1993年から1994年にかけて、ブラックメタル自体がコマーシャリズムに侵されてアンダーグラウンドからオーバーグラウンド化していくのを目の当たりにしていた。我々はそんな間口が広くて誰でも出入りが可能なブラックメタルシーンにうんざりしたのさ」と述べている。実際、ブラックメタルとして知名度の高いMayhemの1st、Emperorの1stは1994年にリリースされており、オーバーグラウンド化の中で知名度を高めたアルバムだと言えよう(もちろん2nd-Wave Black Metalの代表的な音源でもある)。

 そしてBeherit、Archgoatは活動を停止したわけであるが、同様の理由で他の地域でもWar/Bestial Black Metalは撤退していくことになる。もちろんあのバンドもだ。


■ 七章:メインストリームからの撤退と雌伏

fuck_christ_tour.jpg ここで話をWar Black Metalの権化、Blasphemyに戻そう。1989年の1stデモ以降、1990年に1stアルバム” Fallen Angel of Doom....”、1993年に2ndアルバム” Gods of War”をリリースし、さらに同年、"Fuck Christ Tour"と題してImmortal、Rotting Christを従えたヨーロッパツアーを回った後、そのまま解散してしまった。つまり、それもまた1993年のことである。

 この解散劇についてはまず1991年に加入したベースプレイヤーのAce Gustapoのもたらした問題がある。彼のことは後にオリジナルメンバーが「ポーザーだった」と糾弾しているが、そのためもあってか2ndアルバムの出来についても不満があったようである。もう一つの要因はブラックメタル事態の取り巻く環境の変化であろう。2008年のインタビューで後にWar Metalとして呼ばれるようになったことについてこう答えている。「そういうラベルを貼られたのは随分後の話で、当時はBlasphemyはシンプルにブラックメタルバンドだったのさ。雪だの木だのをテーマに歌いだしたヒッピーでグラムメタルバンドがブラックメタルを自称し始めるまではな」と。

conquror.jpg なお、この頃のBlasphemy人脈筋としてはAntichrist(1990年結成)、Domini Inferi(1992年結成)、Conqueror(1994年結成)がRoss Bay Cult界隈として有名だが、Antichristはこの当時、音源を残していない。正確に言えば後にリリースされることになる1stアルバム” Sacrament of Blood”のレコーディングを1994年に済ませていたが、この時点では封印されていた。Domini InferiとConquerorは共に後のRoss Bay CultのオーナーになったRyan Förster氏のバンドで、特に後者はBlasphemyの血を絶やさないためであるかのようにアンダーグラウンドで活動していたが2本のデモを残して活動を停止している。1999年にEvil Omen Recordsよりリリースされた1stアルバム” War Cult Supremacy”の時点では既に解散していたようである。この作品はBlasphemyと比べるとよりハードコア路線を追求したようなサウンドで、RevengeとBlasphemyの丁度中間のような作品になっている。また後にヒスパニック系Blasphemyと呼ばれるようになるアメリカのMorbosidadもこの時点では2本のデモを出したのみで活動を停止している。

 またヨーロッパにおいては、Blasphemyとの関係性も指摘されたノイズグラインドコアのBloodのメンバーであったDominus A.S.氏によるNaked Whipper(1993年結成)がBlasphemyやBeheritとはまた異なったタイプの自称”Sado Grind Metal”という音楽性で、かなりグラインドコア寄りのブラックメタルをプレイしており、1stアルバム” Painstreaks”は後に大きく評価されることになったアルバムである。

bestial_Warlust.jpg 一方、五章で取り上げたオーストラリアのCorpse Molestationは1993年にBestial Warlustと改名、バンドスタイルもBlasphemyの影響を受けたスタイルへと推移しながら、さらに恐らくSarcófagoの影響も受けたWar/Bestial Black Metalに仕上がっている。彼らが残した音源を聞くと感触としてはとにかく「突撃!」というバーバリアンな印象が強烈に残るのは、そのような影響からきているのではなかろうか。結果としてBestial Warlustはオセアニアブラックメタルの礎となった。だが、この時の世界の潮流は既にこのスタイルではなく、彼らも世界的成功を収めることなく1997年に解散してしまった。メンバーはその後、Gospel of the Horns、Deströyer 666、Abominatorで活動しているが、前者2バンドはどちらかというとBlack/Thrash的な志向で、War/Bestial Black Metalではなく、路線的にはAbominator (1994年結成)がBlack/Deathスタイルとして継承している。このバンドは地道に活動を継続させて、War Black Metalの暗黒時代であった90年代後半を生き抜いたバンドである。もしくはオーストラリアにはDarklord(1991年結成)というBlack/Deathスタイルのバンドも知る人ぞ知る形で存在していたが、彼らもまた評価されるのは後年のことである。

 このような形でBlasphemyの原産地であるカナダ、もしくはSadistik Exekutionが撒いた種がBestial Warlustとして発芽したオセアニア、さらに言えば2nd Wave Black Metalの発信地であるヨーロッパではWar/Bestial Black Metalは90年代、雌伏の時を迎えていた。


■ 八章:トレンドに”鈍感”だった地域―南米編

Mystifier.jpg その頃、Sarcófagoの産地であった南米ではどうなっていたかというと、まず前述したとおりフォロワーバンドとしてブラジルからMystifierやImpurityが出てきている。特にMystifierはBlasphemyとの交流もあったというドイツのPoisonのカバーを行っていたり、Bestial Black Metalとしての軸はあれどもBlasphemyにもどこか感覚的に近いようなサウンドで、特に1stアルバム”Wicca”と2ndアルバム” Göetia”は共にこのジャンルにとって必携の作品であろう。またImpurityも1stアルバムを1993年にリリースしてからもコンスタントに活動を続け、この二バンドは前述した90年代後半を乗り切っている。

 またブラジルといえば1988年にデスメタルバンドとして結成したSuppurated Fetusが1991年に改名したGoat Penisも挙げておくべきだろう。Suppurated Fetus時代から1stデモまでは後の彼らのみ知っている人には意外なくらいスカムなグラインドブラックメタルをやっていた。その後、2ndデモはSarcófagoの影響を感じさせるスタイルに変わり、3rdデモではBlasphemyの要素も入ってきたWar Black Metalに変化していった。バンド自体は90年代後半は活動を停止しており、復帰後はそのようなWar Black Metalをソリッドなプロダクションにしたスタイルに変更している。

hadez_demo.jpg 一方でブラジルからさらに”奥地”に目を向けると、ペルーにおいては1986年に結成されたHadezがいる。今となっては南米カルトブラックの重鎮として広く名前を知られるようになったが、恐らく当時は超アングラゾーンとしてローカルエリアでしか知られていない存在だったに違いない。実際、ペルーで初めてメタルバンドとしてCDをリリースしたのがこのHadezだったという話もある。しかしそれだけに南米カルトブラックを醸造する最適の空間で影響力を持っていたと言えよう。彼らに影響を受けたMortuorioなども後に再発によって知られるようになったバンドである。コロンビアではBlasfemia (1986年結成) やらMasacre (1988年結成)やらアクの強いというか崩壊系南米Black/Deathが生まれている。このようにペルーやらコロンビアといった地域では個性的なバンドが多数出てきていたのも地域性と無関係ではあるまい。ちなみにInquisition(1988年結成)もこの頃はまだやや崩壊寄りの南米ブラックメタルをプレイしていた。まさか近年の彼らの完成度の高いブラックメタルからは想像できないが、既に当時世界で認められるために英語歌詞でいくと宣言していたのも今となっては平伏せざるを得ない。

 またチリでは1986年に結成されたDeath Yellがいるが、特に有名なのは1991年にかのTurbo MusicからリリースされたBeheritとのスプリットだろう。この頃の南米と北欧とのリンクも面白い。チリにはかのPentagramもいたし、比較的ヨーロッパからの注目を集めやすい土地柄だったのかもしれない。


■ 九章:トレンドに”鈍感”だった地域―東南アジア編

sexfago.jpg 二章で言及したとおり東南アジアにおいても南米のBestial Black Metalの流儀に沿ったバンドが出てきていた。そこで紹介したAbhorerのメンバーが1988年に結成したSexfagoはアジアンブラックメタルの重鎮、Impietyの前身バンドである。バンド名の通り、完全にSarcófagoのフォロワーとして初期はコピーバンド状態であったが、1990年にImpietyと改名してオリジナルを作り出した。このコラムの内容としては初期音源のみ該当し、その後様々な影響もうけながらアジアンブラックメタルの重鎮に上り詰めている。シンガポールはこの頃は他にNecro Sadist、Istidrajなども出てきている。

 また1989年にはフィリピンにてDeiphagoが結成された。2004年に中米に活動の場を移した彼らであるが、それまではフィリピンにて3枚のデモ作品を生み出している。1996年にはタイにてSurrender of Divinityが結成されており、後にImpietyともスプリットをリリースしている。当時、BeheritのNuclear Holocausto Vengeance氏はマレーシアやシンガポールなどの人と音源トレードを行っていたらしく、さらにタイに移住をしていた時期にこんなことを思っていたという。

「私は東南アジアに永い間滞在している。そこでは若い人々が音楽的理解を求めてMTVに見られるようなメジャーバンドに陥りがちだが、それでもパンクシーンで確立されているようなトゥルーなアンダーグラウンド本能が見られる。ブラックメタルシーンは非常に小さいのだが、Surrender Of Divinityのようなバンドもいるんだ。彼らは非常にクールだ。そこにアンチクリスチャンムーブメントなんて要らないんだよ、ハハハ!」

 この頃の東南アジアは完全に未開の地としての小さなシーンであったが、いわば”小さな南米”としてアンダーグラウンドシーンを形成していたとも言えよう。


■ まとめ

 2nd-Wave Black Metalの興りはブラックメタルというジャンル自体の性質をも変え、ブラックメタルという音楽自体が次第にオーバーグラウンド化する過程で、Blasphemy、Beherit、Archgoatなど様々な後のレジェンドバンドたちが活動を停止していった。特にそのような様相が顕著になったのは1993年以降である。そのようにして北米やヨーロッパではWar/Bestial Black Metalスタイルはメインストリームからの撤退と雌伏を余儀なくされた。もしくはオセアニアにおいても時間差はあれど同様のことが起きた。

 一方で南米や東南アジアではその地域性、物理的距離なども含めてそのようなムーブメントの変化には比較的鈍感であったためか、もしくはインターネットの普及前であったことなども作用して、1st Wave Black Metalスタイルを基盤とするBestial Black Metalが根強く残り、もしくはそれを起点としてさらにアンダーグラウンドにおいてシーンを形成し、世界的には陽の目を見ない状態で独自進化を遂げていった。

 次回以降はインターネットの普及、そしてもう一つはNuclear War Now! Productionの設立とその動機について言及し、当時のWar/Bestial Black Metalがどのように再評価されていったかを探る。もしくはその再評価による影響によって新たなバンドも多数出現し、世界的に一つのジャンルとしてWar/Bestial Black Metalが盛り上がっていった様についても紹介する。そして最後にWar/Bestial War Black Metalの必携盤を紹介し、現在でも活躍するバンドなども紹介して当コラムを閉める予定である。

次回 → Re: War Black Worship - vol. 3
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Re: War Black Worship - vol. 1 

■ 前書き

 本稿ではWar Black Metalについて述べた"End of a Journey Part.2"の掲載コラム"War Black Worship"を手直ししたものである。War Black Metalとは1st-Wave Black Metalの影響直下にある、いわば本流に近いジャンルであるものの、現在のブラックメタルにおいてはサブジャンル、もしくは亜種のように扱われることも多い。そのため本稿はもう一度その成り立ちを振り返って現在の立ち位置を明確にし、さらに「現在進行形のバンドとシーンに目を向ける」ことを目的としたものである。


■ 一章:War Black Metal = Blasphemy

blasphemy_member.jpg  War Black MetalとはカナダのBlasphemyそのものであるといって良いだろう。

 Blasphemyは1984年に結成したが、当時はまだメンバーがティーンエイジャーで、Sodom、Bathory、Hellhammerなどの1st-Wave BMバンドのカバーなどをしていたという。また彼らは上記バンドの他に「Discharge、G.B.H.、Possessedなどが始まりだった」と語っており、やがてそれらをブレンドしたような音楽性にシフトしていき、結果的にグラインドコアナイズなBlack/Deathスタイルを確立するに至った。ブラックメタルの邪悪さ、デスメタルの暴虐性、クラスト/グラインドのショートカットなスピードを兼ねそろえたハイブリットなスタイルである。更に言えばドイツのPoisonやBloodなどのグラインド/ノイズコアとの交流もあったらしく、当時はBlasphemy自体がグラインドコアと紹介されることもあった。

 そして上記のようなハイブリットなスタイルは、記念すべき最初のデモ音源である ”Blood Upon the Altar” にて披露された。リリース年度は1989年。1000本のデモは瞬く間に売り切れて、アンダーグラウンドにて話題となった。ヨーロッパでファンクラブも発足したというのだから、当時はインターネットなどないアナログなやり取りの中で驚異的な出来事だと言えよう。その中に収録されている ”War Command” はたった41秒というショートカットなブラックメタルで、タイトル含めてWar Black Metalのアンセム的な楽曲であろう。彼らの影響を受けたバンドからもよくカバーされている名曲である。

 そのようにしてWarとサタニズムに親和性を見出した彼らは、ガスマスクの装着などのライブパフォーマンスを行っていくなど、音楽性や歌詞のみならずバンド活動をコンセプチュアルにまとめ上げて、やがて彼らの存在自体を”War (Black) Metal”として昇華するに至ったのである。

 つまりWar Black MetalとはBlasphemyの存在そのものである。また、Blasphemyを中心とするサークルであるRoss Bay Cultに参画するバンドはBlasphemyに認められた正しいスタイルの継承者なのである。

 とはいえ、現在のこのジャンルはBlasphemyそのもの以外に、様々な要素が種々混合した形で存在している。


■ 二章:南米発Bestial Metalと東南アジアのつながり

sarcofago.jpg Blasphemyの1st demoがリリースされた1989年から遡って2年前、南米はブラジルにてSarcófago (1985年結成)が1stアルバム "I.N.R.I." をリリースしている。コープスペイントやガンベルトなど、後のブラックメタルの”正装”を初めて提示した作品としても知られているが、やはりその邪悪なサウンドがもたらした影響は大きい。

 彼らもBlasphemyと同様に1st-wave BMの影響を大いに受けたものではあるが、彼らの場合はクラスト寄りではないハードコア的な要素を加えているという点で手法が異なっており、その結果としてデス(ラッシュ)メタルとして評価されていった。Blasphemyがグラインドコアと評価されていたことと、面白いコントラストになっている。そのようなBlack/Deathスタイルは非常に野蛮(Barbarian)、もしくは凶暴(Bestial)なものであったから、後にBestial (Barbaric) Black Metalと呼ばれるようになった。Sarcófago自体というよりは彼らの1stアルバムの流儀を継承したバンドのスタイルに対して称されている。

 その後、SarcófagoCogumelo Records所属としては異例のヨーロッパリリースに至り、その影響をヨーロッパ方面に拡充させていった。MayhemのVo.だったDead氏が影響を受けたのは有名な話で、ヨーロッパでは後の2nd-Wave BMに発展していくわけだが、一方で南米においてはそのようなBestialで原初的なスタイルはその流儀を曲げることなく南米にて定着していった。例えばMystiferや先日奇跡の来日を果たしたImpurity(両バンドとも1989年結成)もその流儀を継承したバンドと言えよう。

abhorer.jpg もしくは南米だけではなく、東南アジアにおいてもその流儀に沿ったバンドが現れた。シンガポールのAbhorer (1987年結成)である。当時のメンバー写真を見ても完全に”I.N.R.I.”そのものでSarcófagoへの大きなリスペクトが感じられる。彼らは日本のSabbatと共に初期アジアンブラックのパイオニア的存在であったが、恐らく地域的な問題もあり80年代末当時の知名度は低かったであろう。しかし南米と東南アジアの治安的なものも含めた空気感の類似性において、このようにBestial Black Metalが定着する土壌があったのだと考えられる。

 これらのバンドはあくまでBestial Black Metalの流れを汲むものであるが、後のWar Black MetalはこのBestial Black Metalの影響を大いに受けたバンドが多数現れたため、現在ではその境界線は曖昧となりWar/Bestial Black Metalと一括りにされることも多い。


■ 三章:ヨーロッパからBlashemyへの回答

beherit_member.jpg さて、Blasphemyの1st demoがリリースされた1989年にフィンランドにて二つの重要なバンド―BeheritとArchgoatが結成している。特にBeheritのNuclear Holocausto Vengeance氏はBlasphemyの影響が一番大きかったことを公言しており、「粗暴なサウンドでサタニズムを掲げるデスメタルバンド」としてバンドをスタートさせている。後に所属レーベルと揉めた原因となったデモ音源集 "The Oath of Black Blood" について当時、Blasphemyのメンバーも「自分たちの音楽性とは異なったロウブラックメタルでオリジナリティがある」と絶賛しており、この作品自体がヨーロッパからのBlasphemyへの回答であった。このアルバムはWar Black Metalそのものではなかったにしろ、後のWar/Bestial Black Metalに多大なる影響を与えた作品である。

 Archgoatは初期の楽曲の多くは1989年に作成しており、Blasphemyの影響をモロに受けたというよりかは1st-wave BMの影響にCarcassなどのグラインドコアをブレンドしたものがベースになっているが、後のWar Black Metalとも親和性の高いサウンドになっている。

 上記二バンドについては各々以前コラムでまとめているので参考にされたい。

 ・ 【column】 Beherit Worship - I (2012年4月執筆)
 ・ 【column】 Hail Finnish Black Metal Legend - Archgoat - I (2013年2月執筆)

 この頃、ヨーロッパアンダーグラウンドにおいては当時メジャーに躍り出たフロリダ・デスメタルの音楽性を否定するムーブメントが湧き上がっていた。初期Mayhemもフロリダ・デスメタルのアプローチに辟易していたなど、あくまで1st-wave BMの延長線上であるバンドによって形成されていたそのシーンはデスメタルの範疇にもありながらも、かつ脱デスメタルを志向していき、徐々にブラックメタルというジャンルが明確化されていった。Impaled Nazarene、Marduk、Bestial Summoning、もしくはDissectionなどですらその流れにいたバンドであろう。Dissectionはフルレングスしか聞いていない人は目が点になるかもしれないが、1stデモ "The Grief Prophecy" を聞けば言わんとしている事もわかるはずだ。


■ 四章:アメリカにおけるサタニックデスメタル

 ブラックメタル界隈においては独自進化を遂げがちなアメリカだが、初めてブラックメタルをアメリカでプレイしたとされるのがVON(1987年結成)である。Blasphemyのようなクラスト的なショートカットな楽曲とは異なる、ミニマリズムに徹した短い楽曲で構成されており、カルトで呪術・儀式的な雰囲気が満ち満ちている。このような異様さは様々なヨーロッパのブラックメタルバンドに影響を与えたが、War/Bestial Black Metalにも影響を与えた。

necrovore_member.jpg そのVONとほぼ同時期に活動を始めたNecrovore (1986年結成) はたった1つのデモ音源 " Divus de Mortuus" を1987年にリリースされただけだが、後のブラックメタルに影響を与えたと言われる音源であり、ブート音源も大量に作成されている。

 またアメリカといえば”地獄系”デスメタルバンドIncantation(1989年結成)を忘れてはならない。こちらはニューヨークのバンドで、先ほど言及したフロリダ・デスメタルとは異なる潮流の中で、やはり独自進化を遂げたバンドである。初期音源こそAutopsyの影響を大いに受けたようなデスメタルだったが、その後よりダークで重厚なサタニックデスメタルを構築していき、後に暗黒地獄系デスメタルと称されるジャンルのオリジネイターとなった。あくまでベースとなる部分はデスメタルにあるのだが、War/Bestial Black Metalのアプローチと親和性が高く、現在のWar/Bestial Black Metalの主流の中にはIncantationの影響を受けたであろうサウンドをよく聞くことができる。もしくはProfanatica(1990年結成)はIncantationの一部メンバーによるブラックメタルバンドで、Incantationでは使えないブラックメタルアプローチの楽曲をプレイするために発足したものであることから、同じくWar/Bestial Black Metalと親和性が高い。


■ 五章:オセアニアブラックメタルの興り

sadistik_member.jpg オセアニアブラックの初期といえばオーストラリアのSadistik Exekution (1985年結成)がパイオニアだろう。時期的にも他の地域とは異なり、サタニックなスラッシュメタルをプレイする過程で独自発生したスタイルだが、BathoryのQuorthonともペンパルだったらしく、オセアニアとヨーロッパを繋げた重要なバンドである。

 そのような中でCorpse Molestation (1990年結成) はSadistik Exekutionの影響を大いに受けながらよりデスメタルに一歩足を踏み入れることで、BlasphemyのようなWar Black Metalの方面に発展したバンドである。ご存知の方も多いと思うが、このバンドは後のBestial Warlust (1993年結成)であるが、この時点ではまだ若干Sadistik Exekutionのスタイルに近い音を出しているように感じる。


■ まとめ

 War Black Metalとは即ちBlasphemyそのものであり、それは1st-Wave Black Metalの基本路線を踏襲しながらデスメタルやグラインドなどの要素をミックスしたハイブリットなスタイルとして1989年のデモ音源からアンダーグラウンドでWar Black Metalの定義を確立するに至った。また、ほぼ同時期に出てきたSarcófagoの初期スタイルであるBestial Black MetalはWar Black Metalに親和性の高いジャンルであり、現在は同一視されることも多い。

 一方、南米と東南アジアでは地域的な空気感もあってかBestial Black Metalが定着発展したが、ヨーロッパにおいてはそれら二つを内包したようなBeheritのようなRaw Black Metalスタイルが発生したほか、さまざまな形でデスメタルの否定が取り組まれていった。この過程で後に2nd-Wave Black Metalが生まれることになる。

 アメリカにおいては完全独自路線であったが、後にこのジャンルに大きな影響を与えるバンドが多く存在していた。オセアニアはこの当時こそ存在感は大きくなかったものの、後に最重要地域の一つとなるベースができあがりつつあった。

 今回、vol.1においてはこの時代までを振り返って終わることにする。次回は90年代初頭における2nd-Wave Black Metalの出現とWar/Bestial Black Metalの衰退から始め、主流となるヨーロッパでの沈黙と、南米や東南アジアといった地域でのシーンの継続性、そして後の再評価につながる流れを説明していく予定である。

次回→Re: War Black Worship - vol. 2
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Sado Perverser Goat Insulter : Nihil Domination (2010) 

[Goat Worship 特集]

エクアドルのウォーブラックメタルバンド、Nihil Dominationの1stアルバムを紹介。
日本のDeathrash ArmageddonよりCDで、エクアドルのBlack Goat Terrorist 666よりカセットでそれぞれリリースされた。

nihildomination1.jpg

ウォーブラックはBlasphemyが一つの大元であることは間違いないが、
その後の系譜においては様々な表現の変化がある。
その中においてはある意味その枠を突き抜けているようなノイズスタイルが存在する。
Deiphagoもその一つだろうし、そしてこのバンドもそうだ。

収録されているカバーがSarcofagoであることが面白く、
Blasphemy直系ではなくむしろ南米ブラック直系なのだろう。
それを南米のしかもエクアドルという土地で純粋培養された結果として
とにかくノイジーでグラインディングな強烈ブラックを作ってきている。

とにかく激烈なブラックメタルが聞きたければ非常におすすめ。
そして何よりこのCD/LPが日本でリリースされたという事実が素晴らしい…。
リリース元でまだ現品あるので今のうちに買わないと!
因みにバンド自体はもう解散済みの模様です、残念。

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Nuclear Empire Of Apocalypse : Blasphemophagher (2008) 

イタリアのウォーブラックメタルバンド、Blasphemophagherの1stアルバムを紹介。
アメリカのNuclear War Now! Productionsよりリリースされた。

blasphemophagher1.jpg

2ndを紹介したのが3年前というのも驚くが、
この1stはその2ndを紹介して翌年くらいに購入した記憶がある。

2002年に結成後、Bestial RaidsNecroholocaustといった、
ブラック/デスメタルスタイルのバンドとスプリットを出していて、
既にアングラシーンではそこそこ名の通っていたらしい。

この1stでは2ndに比べると、より南米サタニックスラッシュの名残が色濃く残っていて、
どうやらNWN!のオーナーにして「コグメロの継承」みたいなことを言わせたらしい。
確かにSarcófagoっぽいリフが多発するBlasphemyといった印象。
なるほどNWN!が惚れ込むのも解るスタイルだ。

自分の知っているWar Blackスタイルの中でも聞きやすい部類に入り、
この1st以降、作品のナンバリングとともに重厚さを増していくことになるが、
オールドスクールなスタイルが好きならこの1stはお勧めできる。

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The Seal Of Genocide : Wargrinder (2012) 

ギリシャのブラック/デスメタルバンド、Wargrinderの1stアルバムを紹介。
ギリシャのNykta Recordsよりリリースされ、後にアメリカのWohrt Recordsからテープリリースされた。

wargrinder1.jpg

あのNaer Mataronで2003-2009年にドラムを務めたWarhead氏の独りバンド。
彼は1981年生まれなのでかなり若い時から重鎮バンドに関わって経験を積んだ実力派。
このバンド自体は2000年から始めており(そのときは3人編成)10代からのバンドだった。
なお先日紹介したWar Hammer Commandとのスプリットをその頃に作っている。

個人的には完全に「バンド名買い」でウォーブラック+グラインドと期待していたが、
そこまでウォーブラックでもなければグラインドでもなく、
ストレートなブラッケンデスメタルのようでどことなくユニークな感じがする。

強いて言えばBlasphemyMorbid Angelを掛け合わせた感じで
聞き手は選ぶと思うがオールドスクールデス/ブラックの双方が好きならお勧めである。

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Triumph Of Darkness : Goatoimpurity (2011) 

チリのBeherit崇拝系プリミティブブラックメタルバンド、Goatoimpurityの1stアルバムを紹介。
エクアドルのBlack Goat Terrorist 666よりテープリリースされた後、 ブラジルのDeathcamp RecordsよりCDリリースされた(ボートラ付)。

goatoimpurity.jpeg

メンバー写真見ても解る通り、完全Beherit崇拝系バンド。
やっていることは初期Beheritのカバーに近いくらいの内容で、
チャーチオルガン入れたり宗教色出してからの冒涜パートも超心地よい。

人によってはBlasphemyっぽいとか思うこともあるのかもしれないし、
恰好は完全にウォーブラックらしいガスマスク着用だったりするのだが、
これを聴いて思うのはやはりBeheritのもつサウンドの異質さであり、
それをこのバンドはしっかりと継承していると感じる。

きっとそれはウォーブラック特有の"熱さ"がなく、
どことなく冷たい非人道的なところが漂っているからではないか。
ウィスパーヴォイスパートがそれを助長しているように感じる。

2ndアルバムを楽しみに待っているのだがまだ活動しているのだろうか。

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Inferno of Sacred Destruction : Black Witchery (2010) 

アメリカのウォーブラックメタルバンド、Black Witcheryの3rdアルバムを紹介
Hells HeadbangersOsmose Productionsより各々リリースされた。

Inferno of Sacred DestructionInferno of Sacred Destruction
(2011/01/18)
Black Witchery

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1990年から活動を始めIrreverent、Witcheryと名前を変えながら成長を遂げ、
1999年にこのバンド名を冠してから3枚目のこのアルバムでまさにピークに達した内容。
まさしくBlasphemyチルドレンの頂点に位置するであろうバンド。

グラインド、デス、ブラックメタルの要素がハイブリットに組み込まれ、
それらが全て神への冒涜のために効率よく使用されきっている。
しかも個人的には各要素がバランスよく入っているとも感じていて、
ウォーブラック初心者であっても受け入れやすい内容ではないかとも思う。

Conquerorのカバーも収録されているが、
他の楽曲に対して余りに自然に入っていて気付かなかったのも面白かった。

手元にあるのはHells Headbangersリリースのものだが、
Discogsを見る限りはOsmoseリリースのものでもDVD付きの2枚組。
2009年にヘルシンキで行われたライブを見ることができる。
中古購入の時はDVDがついているかどうか確認したほうがよいだろう。
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Black Putrescence Of Evil : Teitanblood (2009) 

スペインのブラック/デスメタルバンド、Teitanbloodの初期音源集を紹介。
ギリシャのNuclear Winter Recordsよりリリースされた。

teitanbloodcomp.jpg

アンダーグラウンドにこのバンドの名をとどろかせたProclamationとのスプリットを含む、
3つの初期音源のコンピレーションアルバム。
人脈的にもProclamationと密接な関係を持つが、
あちらに比べるとRoss Bay Cult的アプローチより呪術的な雰囲気が強いタイプ。
ゆえにジャンルとしては近いもののテーマ的なものも含めてウォーブラックではない。

BlasphemyとBeheritのちょうど間くらいのロウブラックというと解りやすいが、
更に言うとミステリアスでおどろおどろしいグラインディングブラックという表現もできる。
とにかくこのバンドの暴力的、冒涜的でありながらも神秘的なサウンドは、
この初期作品群から既に確立していたことが解る。

作品としての完成度は1st、そして最近出た2ndにこそ譲る形で、
このバンドを始めて聞くなら2枚のフルレングスからで良いと思うが、
きっとそれらを聴いた後にこのコンピも欲しくなること請け合いである。

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