Disturbing : Ampulheta (2014) 

日本のブラックメタルバンド、Ampulhetaのデモ音源を紹介。
3曲入りのCD-Rで自主リリースされた。

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当ブログでインタビュー記事も掲載されたAmpulhetaの昨年のデモで、
この音源を聞いて実際にインタビューをしたいという衝動を得た作品。

実際フレンチブラックにそこまでハマっていない自分にとっては
2011年リリースの1stデモはあまり良い印象を受けることがなかったものの、
この音源の特に#02"Spica"を聞いて上記衝動を受けるに至った。

上記インタビュー掲載の通り、Mortiferaの"Le Revenant"の影響を感じるが、
それだけに留まらないオリジナリティを感じたのは、
女性らしい「たおやかさ」が表現されているからだと確信している。

さてAmpulhetaは現在メンバーが一人脱退しており、
ライブなどの活動は休止中のようではあるが、
フルアルバムの完成を待ち続けたいと思う。

Encyclopaedia Metallum - Ampulheta
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Interview with Yuga from Ampulheta 

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 今回は日本のブラックメタルバンド、AmpulhetaのメンバーであるYuga氏にインタビューさせていただいた。今年の2月に自主リリースされた2ndデモに感銘を受けて是非、お話をお伺いしたいとお願いして、この度実現した次第である。それでは早速ご覧頂こう。



―Ampulhetaについて自己紹介をお願いします。

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 Dr.&Vo.のYuga(写真右)、Gu.&Ba.のSoma(写真左)の二人構成です。Somaとは学生時代の2006年から一緒に音楽をやってきた仲です。

 私自身はAmpulhetaを始める前に、2007年にApocalyptic Slaveというバンドにドラムとして加入したことがブラックメタルバンドを始めたきっかけです。Ampulhetaは私が2010年にソロで始めたものでした。しかし、曲作りをして、歌ったりドラムを叩くことこそ出来たのですが、やはり聴ける形にするにはギターがないと難しいなと感じてしまったのですが、私はギターが弾けないので、長く一緒にやってきたSomaなら、イメージやぼんやりしたものもうまく共有できるという信頼感があって、そこでサポートとして加入してもらい、後に正式にメンバーとなって現在のデュオ構成となりました。

―バンド名の由来は?

 "Ampulheta"とは、ポルトガル語で砂時計という意味です。砂時計というバンド名にするということはずっと前から決めていました。なぜポルトガル語にしたかといえば、それが一語だったからです。

 始めに自分が曲を書く上でのコンセプトの一つに、「時間」というテーマがあって…流れていくその"時間"を砂時計の"砂"に置き換えて考えてみようというイメージがぼんやりとあったことがきっかけです。

―バンドサウンドは明らかにフレンチブラックの影響を強く受けているように感じます。このあたりのバックグラウンドについて教えてください。

  私が曲を書く大きなきっかけになった曲が、Mortiferaの1stにある"Le Revenant"でした。Apocalyptic Slaveを辞めた後、バンドをやることに挫折して、ブラックメタルを全く聴かなくなった期間があったのですが、その後あるきっかけでフレンチブラックを聴いたところ、今までのイメージが全部ガラッと変わって。その中でも特に"Le Revenant"については、叙情的で美しく、儚く脆そうなイメージを感じて、まさに心を持って行かれていました。フレンチブラック全体に言えるかはわからないのですが、これが大きいと思います。

―"Le Revenant"はNeige(現Alcest)の作曲だったと記憶していますが、現在のAlcestのような方向性には関心がありますか?

  Alcestはリスナーとして好きなのですが、あくまでも影響を受けたのはMortiferaの1stのスタイルなので、バンドとして関心があるかというものであれば少し違いますね。

―楽曲の作成はどのようにして行っていますか?

 私たちは2人同時に作曲作業をすることはほぼなくて、各々でメロディやリフを持ってきて、お互いの担当パートであるその部分を詰めて行く作業をしていますね。

 Ampulhetaに関しては、曲の8割を自分が作曲をしていますが、前述の通りギターが弾けないので、キーボードでリフになるメロディを作りながら楽譜に起こし、それをSomaに渡して詰めて行くという形 で作曲をしています。

―それではまず2011年にZDRからリリースされた1stデモ"Neblina"を振り返ってください。個人的にはLLN系サウンドとMortiferaの1stの作風をミックスしたように感じましたが、それゆえに焦点がぼやけてしまったと感じました。

 本当に、仰る通りです。まさに自分の実力のなさだと思うのですが…。前述したように、Mortiferaの1stからかなり影響を受けていましたし、かつ、LLN系サウンドを混ぜたような音作りにして、そこで削がれた部分があったために、伝えたいことまでもぼやけてしまったように感じます。

―それでは今年の2月に自主リリースされた2ndデモ"Disturbing"に関してもお願いします。

 1stデモの音質や、全体通して聴いたときの質感から、今表現したい部分を明 確にするために色々なものを再構築する、というイメージで制作しました。1stデモに収録されている"Disturbing"を再録し、変化を明確化しようという試みも含んでいます。3曲目のComaは、結成初期からあったインスト曲を改めてレコーディングしました。

―国内、もしくは国外からの反響などはいかがでしたか?

  国内では「前作よりもとても良くなった」「こちらの方が好み」と言って下さる方が多かったです。国外からも、少なからずメッセージを頂いたり、ノルウェーの方から全文手書きのオールドイングリッシュ書体と、日本語で書かれたメッセージをスキャンしてメッセージを送ってきて下さった方がいらっしゃったりして、とても嬉しかったです。国外へトレードで送らせて頂いた分はありま すが、前作よりも流通量は少ないので、1st Fullを期待して下さる声を頂く機会も多いです。

―私は特に#2"Spica"に非常に感銘を受けました。従来のフレンチフォロワーからAmpulhetaとしてのオリジナリティを大きく出すことに成功できた曲ではないかと思っています。的外れかもしれませんが、女性としてのたおやかな力強さを感じる楽曲でした。何か意識されたことなどはありますか?

  "たおやか"と言ってくださるととても嬉しいです…。いつもそうなのですが、曲を作るそのメロディのイメージ・感覚を言葉にするのであれば「ノスタルジー」に近いものなのですが、それが色濃く出たような気がします。

―"Spica"の歌詞はどのような内容ですか?

 大雑把に言うと、目の前で大切な人を失い、そのトラウマに取り憑かれて狂った 人について歌っています。

―今後、ブックレットに歌詞の掲載など行う可能性はありますか?

 歌詞の掲載は、ちょっとわからないです…。ただ、準備しているフルアルバムについてはその曲のイメージや歌詞の一部の言葉を連ねてみようかなと考えています。

―この2ndデモにおいてはブラックメタル以外のバックグラウンドも様々あるのではないかと思いましたが、他ジャンルからの影響などそのあたりはいかがですか?

 普段、ブラックメタルって聴くには聴くのですが、メインでは聴いてはいないんですよね。すごくよく聴く音楽って、ニューウェイヴとかポジティヴパンクだったりします。あとは、もう15年くらいずっと聴いているヴィジュアル系…MALICE MIZERとか。最近はメロディ重視の楽曲…ボーカルのメロディが良いものだったり、クラシックでもメインの楽器のメロディが良い物だったり、そうやって聴いているかもしれません。

 でも曲作りで参考にしているバンドとかジャンルというのはなくて、逆に視覚的に感じたものだったり、その時思った事・衝動とか、そういう部分で浮かんだ気持ちをメロディにするように、極力しています。

 とは言いつつ、潜在的になにか影響を受けているものはあるとは思うのですが、自分でも明確にはわかっていないです。

―女性ドラムヴォーカルによるブラックメタルバンドというものは前例がなく非常にユニークだと思います。今までのバンドではドラム専任だったのに対して、このバンドではヴォ ーカルもやっている理由はありますか?

 本来、ライブをするという前提がなかったので、2人構成という形になったのですが、最初にゼロ次元氏からBlack Sacrificeへライブのお誘いを頂いたとき、ドラムボーカルという考えは毛頭ありませんでした。「ドラムかボーカルかどちらかを優先するとしたらボーカルだ」という決断をして、ドラムをサポートで入れて、私がベースボーカルをやるという構成でやらせていただいていましたし…。その後、諸事情でサポートして頂いた方に頼めなくなってしまって、ライブができない事に悩んでいました。

 ある時Somaと二人でスタジオに入った時に「ドラムボーカルでやってみよう」と合わせてみたら、案外やれるのでは…となって。その後何度か練習して感覚を掴んだとき、「これだ、ここまでギリギリじゃなくちゃ意味が無いや」って思ったんです。

 でも実際、叩きながら叫ぶわけですから、とてもキツイです 、正直。ライブの時の体力とか、色々ギリギリなのですが、その時に出てくる殺気とか自分の限界を、文字通り全身全霊で表現することが、ライブでの私の表現方法なんじゃないかなと思っています。

 勿論視覚的にも珍しいとは思いますし、その上でもっと精度を上げられたらな、と思っています。

―ミュージシャンとして尊敬している人物はいますか?

 まず単純に大好きで、ドラマーとして尊敬している人は、タリム、フロスト。ドラムを始めた時から、この二人は揺らぎません。ただ、今のスタイルに大きく影響を受けた人・イメージしている人はドラマーではいなくて、ボーカルではとにかくDEADになりたいとずっと思っています。

―先ほど仰っていた「時間」「ノスタルジー 」というテーマを、なぜブラックメタルというスタイルで表現しているのですか?

 ブラックメタルで表現しようとしたきっかけ・バンドを立ち上げる上での基礎となったのは、主に思春期の頃までの家庭環境と宗教が背景にあります。自分にとってそれは暗く辛く、重い血の塊みたいなものが心の奥にあって、これは消えることはありませんし、今でも引き摺っているところがあります。

 血の塊のようなその時間・記憶、傷、葛藤などを含みつつ、自分の手段・基盤となるノスタルジーな感覚(感傷的に近いのかも知れません)で表現をしたいと思いました。その上で自分にとって昇華できるジャンルはブラックメタルであると考えました。

 ただ、今はそうであっても、今後一番適切と思うもの が見つかればブラックメタルにこだわる必要はないとも思っています。

―定番の質問ですがAll-Time-Best 10アルバムを教えてください。

・ Туман (Tuman) - Transilvanian Dreams
・ Mortifera - Vastiia Tenebrd Mortifera
・ Burzum - Filosofem
・ Dissection - The Somberlain
・ Cataplexy - Lunar Eclipse,Chaos To The Ruin
・ Hector Zazou - Lights In The Dark
・ David Sylvian - Brilliant Trees, Gone to Earth
・ The Cure - Disintegration
・ MALICE MIZER - 薔薇の聖堂

 自分にとって音楽のターニングポイントになったものを主にあげてみました。

―先ほど話に出た1stフルアルバムですが、今年中に完成できそうですか?

 はい!現在準備中で、ライブをやりつつも、少しずつ詰めて行っているところです。最低でも年内に出したいです。

―どのような作品になりそうですか?

 1stデモの楽曲も含みつつ、2ndデモの雰囲気を持った…、言葉で表現するのがまた難しいのですが、更にノスタルジックで烈しいイメージの作品に仕上げられたら、と思っています。

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―ライブ活動も精力的に行われていますね。特に今年はBlack SacrificeのSatanic Warmaster来日の11/1(土)東京公演でもプレイされますが、意気込みや注目してほしいところなどはありますか?同日は国内バンドのメンツも目白押しで素晴らしい日になりそうですね。

 はい、本当に楽しみです。次回は1st Fullに収録予定の楽曲も披露する予定でいるので、そこを注目していただきたいです。遂にSatanic Warmasterの来日、ということで楽しみにしていたのですが、共演させていただくということが本当に光栄で。海外の方からも、「本当に羨ましい!」とか、「素晴らしいね!がんばってね!」という声を頂いて、大舞台だなあと今から緊張しているのですが…。日本のバンドの一つとして出演させていただくのですから、自分達のステージを精一杯こなして、ギリギリまで表現する、観て下さっているお客さんにできる限り自分達の音楽を伝える、それだけを意識してやりたいと思います。

―他にライブ活動のご予定は?

 (9月以降では)11/15(土)に西横浜El Puenteでのイベントに参加します。

―それでは最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。

 1st Full頑張ります!




 以上、AmpulhetaのYuga氏のインタビューである。個人的に2ndデモに感銘を受けて、その作品の本質を知りたいという動機から今回のインタビューに至ったわけではあるが、作品の内容に留まらず様々な話をお伺いできた。まだ良い意味で若いバンドであり、2作品を経ての変化も大きく体感できる中で今後の活躍が大きく期待されるし、とりあえず11月のSatanic Warmaster来日を迎え撃つという大舞台において、「これがAmpulhetaだ!」という気勢を存分に出していただけたらと思うし、まこと勝手ながら1stフルアルバムリリース後にまたこのようなインタビューを行えたらと思っている。

 なお、当インタビュー公開日が未定だったため言及されていないが、2014/8/30(sat)@西横浜El Puenteのイベント "funeral of cold and beautiful death.8" にも参加されるとのこと(無番地.com)。日取りもよく、Ampulheta以外も素晴らしいバンドが多数参加する、夏の最後を黒く染めるには最適のイベントであり、今回のインタビューをきっかけにAmpulhetaに興味を持った方も含めて、11月のブラサク前にぜひ足を運んでみることをお勧めする。

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