Necrobestiality Tales (Eternal Damnation) : Necrofucker (2012) 

ペルーのカルト・デスメタルバンド、Necrofuckerの1stアルバムを紹介。
ペルーのPentagram Recordsよりlim.300でリリースされた。

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 1987年結成で、あのAnal Vomitの前身バンドだと言われている。1989年にデモ"Demencia Precoz"をリリースしたものの1992年からAnal Vomitの活動に切り替えたようだ。初期Anal Vomitはまだゴア趣味のあるUGデスメタル要素が強かったのだが、それはこのバンドの延長線スタイルだったようだ。その後、00年代にAnal Vomitの名前がGoat Semenとのスプリットを通じて台頭していった中、前身バンドのパーマネントメンバーであったWalter Profanador氏によって新たにメンバーが集められ、2009年に「再結成」されて作成に至ったのが本作である。

 ジャケットは部族の首狩りによる儀式が描かれており、酋長らしき人物の羽で飾られた衣装からもアンデス文明のナスカ社会を示したものであろう…といきなり真面目な書き出しから一転、飛び出すサウンドは南米ベスチャルもビックリのズタボロ崩壊カルトデスメタルである。このバンドの場合、ペルー産だからかいわゆるノイズグラインド的な凶悪さではなく、単純にまず演奏がヒドい。リズムが全く取れておらず、即興バンドなのではないかな?とか思ってしまうほど自由な気風に裏打ちされた崩壊さである。

 恐らくこのアルバムに手が伸びた人はAnal Vomit関連だから、という人が多いのではないかと思うが、それだとかなりガッカリする内容で、それよりももっと崩壊デスメタル好きという二ッチもニッチなマニアというかフェチにお勧めしたい内容である。というか個人的にはお勧めという感じではなく、こんな音源もありますよという程度だが…。しかし色々聞こうとしたらたまにこういう作品にも遭遇して、何やらホッコリするみたいなところはある。

 これ300枚しか出回ってないはずなのに当時、それなりの枚数が日本に入ってきていたような気がしていて末恐ろしい限りである。

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タグ: Necrofucker  Anal_Vomit  Peru  2012 
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Legions of the North : Fjorsvartnir (2012) 

デンマークのメロディックブラックメタルバンド、Fjorsvartnirの1stアルバムを紹介。
セルビアのGrom Recordsよりリリースされ、2014年には日本のHidden Marly Production(ZDRの国外バンドリリース部門)より再発された。

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 知る人ぞ知るデンマークのPurification Kommando(2012年に解散済)のドラマーだったAzathil氏が2010年に一人で立ち上げたブラックメタルプロジェクト。Purification Kommandoは無慈悲冷酷系ウォーブラック、そしてもう一つ氏が参加しているBlodarvはUG系ペイガンブラックだった。それに対してこのバンドは90年代の北欧ブラックメタルを再現せんとばかりに構築された楽曲群で、どことなくDissectionだったり、Satyriconだったり…、地下感の薄いサウンドが飛び出してくるではないか。

 しかしながら決してそのようなメジャーバンドの猿真似というわけでもなく、どちらかというとその手の有名なバンドに影響を受けて出てきたフォロワー群の集団を思い出させる。様々なバンドがエポックメイキングな北欧ブラックメタルというスタイルを目の当たりにして、その影響を受けながらアイデンティティとオリジナリティの狭間でもがいていた90年代のことだ。

 恐らくあの頃にこのバンドが活動していたとしたら「良質なフォロワー」に留まっていた可能性が高い。しかしこのバンドを語るならまさに現在という時間がフォーカスされる。この時代にこの作品をやることに意味があるのではないだろうか。「オールドスクールなエクストリームメタル」として盛り上がった80年代回帰の流れの次にきているのは90年代回帰であろう。新しいものを産み出すのではなく、難しくこねくり回さないスタイルとしての北欧ブラックメタルに回帰するバンドとしてはなかなか面白い存在である。

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タグ: Fjorsvartnir  Denmark  2012 
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Devanation Monumentemples : Genocide Shrines (2012) 

スリランカのウォー/ブラック・デスメタルバンド、Genocide ShrinesのデビューEPを紹介。
インドのCyclopean Eye Productionsよりリリースされ、アナログver.はドイツのIron Bonehead Productionsよりlim.500でリリースされた。

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 ウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブックにインタビューが掲載され、また1stアルバムが世界中のブラック・デスメタルフリークから大絶賛されたスリランカのアンチ仏教ブラック・デスメタルバンドのデビューEPである。こちらはこれまたインタビューが掲載されたレーベル、Cyclopean Eye Productionsからリリースされておりそのあたりはぜひ本を読んでください。

 さてインドのDIYレーベルからリリースされたというわけで、当時の日本でこのバンドを知っていた人は少なかったと思うし自分もそうだったわけだけど、この頃から「坊さん皆殺し」を掲げて、こんなにも「地獄」というか「輪廻の否定」を感じさせるサウンドをスリランカから出していたというのは本当に驚きでしかない。

 1stアルバム収録曲に比べると楽曲の展開や曲間のつなぎなどのトータルの仕上がりのところで粗が目立つけれども、目の前の事象に対する「渦巻く感情の発露」と置かれた状況への「冷徹な視線」という相反する感情が両立しているようなサウンドは既に確立していて非凡さを感じる。1stを聞いて彼らのサウンドに惹かれた人なら間違いなく期待を裏切らない。

 さらに個人的には今まさにこれを聞いて当時からとんでもないバンドがスリランカで存在していたんだという事実が広大なエクストリームメタルの裾野、広がり、そして局在を証明しており、今も自分のあずかり知らぬ何処かで強烈なサウンドが生まれているのだろう。そのような未知なるサウンドへの憧憬を信じることができる作品だ。

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Bandcamp - Iron Bonehead Productions
タグ:   Genocide_Shrines  Sri_Lanka  個人的良盤  2012 
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Contos da Empalacao : Kaziklu Bey (2012) 

ブラジルのウォー・ブラックメタルバンド、Kaziklu Beyの4thデモを紹介。
ブラジルのNocturnized Productionsよりテープでリリースされた。

Kaziklu Bey 

 1997年にサンパウロで結成した白塗り系ブラックメタルバンドで、2000年に"Black War
Metal"というデモでデビューした。今回紹介しているデモは通算4枚目にして彼らの"最期"の作品。

 スタイルとしてはノイジーな南米ベスチャルスタイルであり、デビューデモのタイトルから直感的に想像するサウンドとは異なるものの、冒涜的で暴力的という点では近い。但し90年代のブラジリアン・ブラックメタルはヨーロッパからの影響のうち、特にHellhammerに感化されていたのではないかと勘ぐらせるようなミステリアスなメロディを持っており、このバンドも同様にそのあたりの影響を感じさせる。北米ウォーメタルというと現代兵器を用いて皆殺し的なサウンドであり、ドカドカジャカジャカなのにどことなくカルトで怪しいのが南米ウォーメタルというところだろうか。

 この怪しさというのは人によっては単なる「虚仮威し」に過ぎないだろうし、ImpurityMystifierクラスまで上り詰めないと、人に推薦できるファクターにはなりえないわけだけど、この内容を「珍味」として好む人は絶対いるわけで、それもやはり南米ベスチャルブラックメタルの一つの楽しみ方なのではないだろうか。なお先ほど"最期"と書いたのは、2013年にパーマネントメンバーが仕事中に事故で亡くなり、同年バンドはヘルプを招聘して「解散」ライブを行ってR.I.P.としたからである。合掌。

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Deathrash Armageddonにて購入可能です。
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Confusion... : Esperanzaviva (2012) 

日本・大阪のレイジングハードコアバンド、Esperanzavivaの1st EP(7")を紹介。
名古屋のKarasu Killer Recordsよりリリースされた。

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 当時からよく名前を耳にしてライブが凄まじくカッコいいと聞いていたものの、残念ながらタイミングなどが合わず見に行くことはできなかった。その心残りがシコリとなっていたため某大手中古CDショップにて見つけた時は即決購入。

 勢い一辺倒というと軽んじた評価に聞こえるかもしれないが、小細工なし、装飾なし、従来の日本のハードコア・パンクの流れを踏襲しつつ、スラッシュメタルに通じるメタリックなリフを組み込んでメタルファンも虜にする『一本調子』は実際只者ではないし、収録曲5曲、計11分はあっという間に過ぎていく清涼感がある。

 またその『一本調子』についても#05に関してはまた幾分異なった側面も示すことで、溢れんばかりの若さだけではないところも見せつけてくれ、いよいよ生で見てみたいし、フルレングスにも期待した…かったのだが、いまさら2015年11月にラストライブだったとのこと。こういう後悔があるから若い人は気になるライブにはどんどん参加してほしいとオジさんは思うのだよ。
タグ: Esperanzaviva  Japan  2012 
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Satan's Fist : Bestial Warlust (2012) 

オーストラリアのウォーブラック番長、Bestial Warlustのデモ再発を紹介。
オリジナルは1996年にカセットのみでリリースで曲目もアンタイトルだったが、
Hells Headbangers Recordsより再発された際に曲名がついた。

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2ndフルアルバム後にメンバーが2人欠けて2名編成時のデモ音源(3曲)再発。
Bestial Warlust名義では活動期間が短く(93-97)、特に後半の活動はあまり有名ではなく、
自分も2ndアルバム以降のデモ作品はこれが初聴だった。

そのためかなり激烈なオセアニアンウォーブラックをイメージしていたのだが、
彼らの1st、2ndアルバムあたりと比較すると幾分落ち着いた作品で、
リフや構成にも気を使っているような印象を受けた。

もしかしたら2名編成による賜物だったのかもしれないが、
ちょっと期待している作風ではなかったという点でインパクトは薄い。
しかし上記のように恐らくマニアを除いてこの作品は知られざるものであったため、
資料的な価値は十分な一枚だと思う。

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タグ: Bestial_Warlust  Australia  2012 
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Celebrate the Dead : Beherit (2012) 

フィンランドのブラックメタルレジェンド、BeheritのEP(12")を紹介。
フィンランドのKvltよりlim.1100でリリース、うち100枚は特殊カラー盤。

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先日、記事にした「迂闊にもアナログ沼にはまってしまった」の原因の一枚。
それなりに当ブログやSNSでBeheritのファンを自負している自分が、
アナログリリースのみという理由でこのEPを持っていないのがずっと心残りだった。
そのため環境を揃えたらすぐにこのLPも手に入れたというわけ。

内容はA面とB面で1曲ずつ、両曲とも10分以上の大作である。
しかし2曲でコンセプト、制作経緯は異なるようで
A面の"Demon Advance"は5th"Engram"のラストに収録されているもののデモver.。
B面のCelebrate the Deadは2007年に作成したダークアンビエント寄りの楽曲。

前者は後のアルバム収録の物に対してヴォーカルのエフェクトが抑えられていて、
またドラムもサンプリングだったようであるが本人は気に入っていたのでリリースを許可したとか。
後者は時期的にハードコアテクノからバンドサウンドに戻ろうとしていた当時の、
過渡期的な作品でとても興味深いダークなアンビエントブラックになっている。

とても人に薦めるような作品ではないがファンならやはり抑えておきたいし、
個人的には入手してよかったと思える内容であった。

Encyclopaedia Metallum - Beherit
タグ: Beherit  LP  Finland  2012 
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Sulphur Seraph (The Archon Principle) : Charon (2012) 

ドイツのブラッケンドデスメタルバンド、Charonの1stアルバムを紹介。
ドイツのSepulchral Voice Recordsよりリリースされた。

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結成は1997年で、R.cc.なる人物を中心に2枚のデモと1枚のEPをリリースするも、
知る人ぞ知るカルトアンダーグラウンドな活動をしていたらしく、
恐らくこのバンドをリアルタイムで知っていた人は日本では数少ないと思われる。

その後、ドイツのデスメタルバンドHatespawnからヴォーカルと加入し、
ようやく1stリリースして陽の目を浴びたのがこのアルバムなわけだが、
実際、海外のカルトマニアな方々からは発売前から相当話題に上がっていたそうな。

個人的な2012年ベスト音源の一枚にも確か挙げさせてもらったと思うが、
これが1stアルバムだなんて末恐ろしいほどの完成度。

印象としてはウォーブラックのような熱量と勢いを持ちながら、
オールドスクールなスラッシュメタルから神秘的ブラックメタルまでの素養を組み込み、
結果としてデスメタルからブラックメタルまでのジャンルを包括した内容に。
何回聞いてもしびれる!

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タグ: Charon  Germany  Hatespawn  個人的名盤  2012 
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A Rothadó Virágok Színüket Vesztik : Siculicidium (2012) 

ルーマニアのブラックメタルバンド、SiculicidiumのEP盤を紹介。
ルーマニアのSun & Moon Recordsよりリリースされた。

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ヒジョーに倒錯的なジャケ写が特徴的で実際自分はジャケ買い。
恐らくこの画像はマンドラゴラをイメージした精神トリップみたいな感じだと思うが、
なるほどヴォーカルの気怠い感じとメロいのにノイジーな楽曲が、
その世界観をよく再現しているように感じる。

そもそもルーマニア、共産主義からの脱却が1989年のことだが、
それ以降もことメタルシーンは日本ではいまだ知名度が高いバンドが少ない。
自分もDekadent Aesthetix、Negură Bungetくらいしか知らないが、
このバンドは今までで一番「ルーマニアっぽいかも」という独特の怪しさがある。

とりたてて名作というわけではないが、
怪しげで良い感じのジャケとそれに見合った楽曲(しかも結構メロい)で、
個人的には良い印象を強く持った音源であった。

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タグ: Siculicidium  Romania  2012 
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Berserker Savagery : Intolitarian (2012) 

アメリカのノイズブラックメタルプロジェクト、Intolitarianの1stアルバムを紹介。
SSPのサブレーベルであるAudial Decimation Recordsからリリースされた。

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Satanic Skinhead Propagandaのオーナーによるノイズプロジェクト。
むしろSSPのオーナーの音源だと聞いて飛びついたのでまさかノイズブラックとは。
というかほぼノイズグラインドっていうくらいブラックの要素は少ない。

SSPと長い付き合いをしているRecord Boyさんによると、
彼は「インダストリアル/ノイズ・ミュージシャンが本業」らしく、
それにウォーブラック/グラインドの要素を取り込んでいる作風になっている。

1曲20分越えで2曲、計44分の轟音地獄。
まさしくアングラ音源としてふさわしい瘴気を備えている音源だが、
それだけに敷居も高く、特にノイズの素養がなければ聞いていられない。
タグ: Intolitarian  USA  2012 
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