The Essential : Tinner (2008) 

フィンランドのクラスト/ハードコアバンド、Tinnerのコンピレーション盤を紹介。
日本のReset Not Equal Zero RecordsよりCD-Rでリリースされた。

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 この音源の出会いは惜しまれながらも今年閉店された京都のAVISであった。私自身、生まれて初めて身寄りの全くない関西での独り暮らしが始まり、自分の居場所を模索している中でお世話になった店である。そして小さいフロアの真ん中にカゴか何かに入っていたと思うが「よくわからないCD-R」たちがあった。当時の自分は今よりもジャケ買いをしており、興味本位に数枚レジに持っていったのが馴れ初めというやつだ。

 その頃の自分はクラストというものが何か良く解らず、かつ今のようにネットを通して音楽の情報収集をしていなかったので「Motörheadのような感じかな」と勝手にジャンル分けしていたものだ。しかし何故か当時の自分にはこの音が実に心地良く、その理由がいまいち分からなかった。

 今となっては良く解る。演奏が決してうまくないのだ。この整合感のなさは自分の畑で話すなら初期Sodomにも近いように感じる。いや演奏などは初期だけど音楽性はやや中期みたいな感じかな。それが実に自分の性に遭っていたのだと。この頃既にDischargeだのなんだのとクラストの重鎮を聞いていればまた違っていたのだろうけれども、音楽とは出会いであり、自分にとってクラストの初体験はこのTinnerだったので、自分にとってはこの音源は非常に重要で思い出深い一枚なのだ。BeheritBlasphemyの境界を乗り越えたのは間違いなくこの頃の音源履歴に依るものであった。つまり「混沌」の入り口だったということか。

BeheritにドハマリしてもBlasphemyが乗り越えられない時期があったんです)
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Ritual de Obediencia a Lucifer : Goat Messiah (2010) 

スイスのゴートメタルバンド、Goat Messiahのコンピレーション(テープ)を紹介。
エクアドルのBlack Goat Terrorist 666からlim.166でリリースされた。

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 Goat Vengeanceの音源を紹介した際にも言及したが(マニアには)大事なことなのでもう一度触れると、"Goatwatchers United - Satans Goats Tribute"というGoatを冠するバンドのコンピレーション盤はGoat Semenマニアにはよく知られた音源なのだが、そこに参加しているのがこのスイスのGoat Messiahである。そしてどのバンドよりもカルトでおバカなサウンドを仕掛けてきたのもこのバンドである。

 2003年にそのGoatコンピに参加し、以降全ての音源がスプリットでのリリース。結局単独でフルレングスやEPをリリースすることもなく、作成した曲もごくわずかなのになぜかコンピレーションは本テープを含めて2本出ているのも面白い(収録曲もほぼ被っている)。

 そのようにUG中のUGにおいてごく一部マニアックスたちがなぜだかこのバンドを支持しているわけだが、どこにそのカルトさを感じるのだろうか。一つは特徴的なヴォーカルのスタイル。声の裏返りに、巻き舌に、他のジャンルでも有効に使われている手法ではあるが、このバンドの場合は楽曲が楽曲だけにラリっているような、「マトモじゃない」印象を持つ。世間的に「ヤバい奴」という感じだ。そして二つ目は楽曲もどれも似ているようにも感じるけれども、そのヴォーカルも含めてなんとなくクセになってしまう中毒性がある。「怪しげ」であり「危なげ」なところがこのバンドの魅力なのであろう。

 ジョークのようなアティチュードとも取れるし、それが逆に冒涜性に磨きをかけているような気もするし…もしかしたら「マトモ」であることに唾棄するという姿勢に魅力を感じさせられているのかもしれない。まあいずれにしてもド級のマニア音源であることには変わらないのだが。

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Existence of Abhorrence : Nuclearhammer (2007)  

カナダのウォーブラックメタル、Nuclearhammerのデモ音源を紹介。
カナダのPoison Mist Propagandaよりlim.80でCD-rフォーマットでリリースされ、後にエクアドルのBlack Goat Terrorist 666よりテープで再発された。

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 1stアルバムがウォーブラックメタルフリークから大絶賛され、一気にブラック・デスメタル・シーンの第一線に登り詰めた一方で、その後のミニアルバム、2ndと予想を斜め上にいくスタイルへの転身を遂げて、しかもそれらの作品も素晴らしかったために、一筋縄ではいかない、スタイルへの安住を良しとしないという印象を持つバンドではある。

 一方で以前紹介したこのバンドの前年デモ "Immortalized Hatred” は呪詛的なVONの要素とBlasphemyライクのブラック・デスメタルをミックスしながら轟音ブラック・ドゥームのような展開も見せた粗削りスタイルだったが、こちらはより原初的なスタイルを取っており、極めてルーツに忠実な姿勢が見られる。というか、これは北米のBeheritといっても良いのではないか。いや、BeheritBlasphemyをトレースしたら、という方がより正しい気もする。ウィスパーボイスの使い方などBeheritウォーシッパーらしさが伝わってくる一方で、ドラムのドカドカ感などはウォーブラック、というかBlasphemyのそれのように感じる。

 近年におけるウォーブラックメタルの名作であった1stアルバム "Obliteration Ritual" の導線としては最も解りやすい内容を提示しているのがこのデモであり、彼らのマイルストーンというわけだ。さてこのデモは現在フィジカルで入手するのは全く至難の業だが、 "Immortalized Hatred” と同様にレーベルでの無料DLが可能で、筆者もそこでDLした。たぶん今も可能だったと思うが未確認なので興味がある人は確認されたし。

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Demo I : Necrovomit (2007) 

イタリアのベスチャルブラック/スラッシュメタルバンド、Necrovomitのデモ音源を紹介。
自主リリース後、日本のDeathrash Armageddonからも再発された。

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同名バンドとしてブラジルの超オブスキュアデスメタルバンドもいるが、
こちらもオブスキュアでカルトなバンドとして決して負けず劣らずのクオリティ。

テープを再生させると如何にも独裁者っぽい政治家のアジテーションが始まる。
よくあるヒトラーの演説ではなさそうなので、お国柄的にムッソリーニ?
いずれにしても政治的な目的でなくてショック目的だと思われる。

Blasphemophagerのメンバーがバッキングで参加しており、
名前から想像するよりイタリアらしいユーロベスチャルスラッシュで、
リフはかなりザクザク刻んできてブラックスラッシュ好きにはたまらないだろう。
またブラックスラッシュスタイルの物と比べてヴォーカルがとかく邪悪なのも良し。

やはりイタリアという国はメタルにおいても一筋縄ではいかない。

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Nekrolog : Forgotten Darkness (2007) 

ドイツのブラックメタルバンド、Forgotten Darknessの2ndアルバムを紹介。
ドイツのEwiges Eis Recordsよりリリースされた。

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1stアルバムから連続しての投稿ということで比較が主になるが、
路線をファストブラックからデプレブラックにしちゃったの?というくらい、
ミドルテンポを多用する哀愁たっぷりな作品に仕上がっていて、
音の仕上がりも金切声に聞こえないくらい低音にチューンされている。

結果としてとても聞きやすいアルバムに仕上がっていて、
特に#02 "Hass" はこの系統であれば名曲と言って良いのではなかろうか。
今聞き直すとプレColdworldみたいにも聞こえる。

ブリザード感の著しい減退は彼らの個性をも失ったような気もするが、
哀愁メロディブラックの佳作である。

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MCBL Heathen Blood Cult : V/A (2010) 

シンガポールのブラックメタルバンド、Infernal ExecratorとImperial Tyrantsのスプリットを紹介。
アメリカのOld Cemetery Recordsよりlim.1000でリリースされた。

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メンバーが結構被ってる2バンドのスプリット。
後者はこのスプリットの後は音源を出していないが、
前者は現在はドイツのDunkelheit Produktionenに所属して勢い甚だしい。

シンガポールらしいスラッシーなベスチャルブラックをプレイしていて、
一本調子ではないところやところどころのメロディの使い方もうまく、
勢い重視型の量産WarBMとは一味違う様相で好感度大。
(勢い重視型も好みです)

曲の強さでいえばやはり前者の楽曲の方が上だと思うし、
それが現在の活動の差異になっていることも考えると、
この一枚が今最もシンガポールで熱いバンドの世界デビューだったのではと思ってしまう。

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Rusticが止められない : OLEDICKFOGGY (2009) 

日本のサイコビリー/パンクバンド、Oledickfoggyの4thアルバムを紹介。
日本のDIWPHALANXよりリリースされた。

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Rusticというと、このブログ読者には全く縁がない領域ではないかと思うし、
現に自分もよくは知らないのだが伝統音楽を現代バンドスタイルで演奏するスタイルで、
確かにこのバンドもマンドリンなどの楽器奏者もいたりしてなるほどと。

彼らの持つ歌詞や世界観などはある種の「古き良き」的なテイストがあって、
それをクラストパンクの造詣をベースに現代に再現ではなく生まれ変わらせている。
ゆえに彼らは唯一無二と思わせる表現力や説得力を持つのだろう。

ライブでもよく聞くことができる名曲"神秘"などが収録されており、
彼らのことを知りたい、体験したいと思うなら必須盤だろうし、
これを聞いてぜひライブに足を運んで揉みくちゃになってほしい。
タグ: Oledickfoggy  Japan  個人的良盤  2006-2010 
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Blasphemous Cremation : Incantation (2008) 

アメリカはペンシルバニア州のデスメタルバンド、IncantationのEP盤を紹介。
アメリカのNecroharmonic Prod.より12"LPとCDでそれぞれリリースされた。本稿は後者を扱う。

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1stアルバムのプロトタイプにであったデモ音源(1991年録音)のリリース。
元々Amorphisとのスプリットとしてリリースされる予定だったがお蔵入りされ、
17年の歳月を経て世の中に出されたもの。
一部の曲は後のオフィシャルリリースと曲名が異なるものもあったりする。

基本的には1stアルバムのプロト盤ではあるが、
プロト盤がゆえの音質の生々しさがそのズルズルっとした感じと合っていて、
1stアルバムとはまた異なる感触を得ることができる。

Incantationファンならお勧めできるアイテムだが、
これから聞こうと思っている人はまずは普通に1stアルバムを聞いた方がよいとは思うが、
ロウな音質が故の感触はAutopsyファンもググッとくるのでは。

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Paradigm Of Decay : Paroxysmal Descent (2009) 

オーストラリアの独りデプレッシブブラックメタルバンド、Paroxysmal Descentの1stアルバムを紹介。
スウェーデンのTotal Holocaust Recordsよりリリースされた。

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海外ディストロから大量買いしたときに混入(サービス)していたもの。
THRからは当時Arkha Svaなんかも音源を出していたので、
もしかしたら比較的有名なバンドかもしれないがDSBMは不得手なので知らなかった。

あくまでブラックメタルとしての基盤を保っているタイプの典型的なDSBMで、
いわばBurzumXasthur由来の影響がバリバリ。
陰鬱かつメロイックなトレモロリフはこのジャンル好きなら美味しく頂けるであろうが
特に他のバンドに比べて際立つ要素も見当たらないのは残念なところ。

音をかなり硬質的に仕上げているのが逆効果だったかもしれない。
もう少しサウンドプロダクションを工夫することで面白い雰囲気は出せたかも。

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バラバラ : 屍 (2009) 

日本のダークなファストコアバンド、の3rdアルバムを紹介。
日本のMANGROVE LABELよりリリースされた。

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ブラックメタルファンジン"End of a Journey part.II"にてインタビューが掲載されたが、
そこでもメンバーが発言していた通り2ndアルバムはあれで完結して、
またこの3rdでは異なるアプローチから屍というバンドの世界観を表現している。

2ndではブラックメタルリスナーからも反響があったようなスタイルだったのに対して、
この3rdはバンドメンバーの交代(Ba.とDr.)もあってか、
アルバムタイトル通り「バラバラ」な印象が強い。
不協和音というものでもなく一つ一つの要素が乖離しながら同じ志向を持っている。

全てが並行して直行することなく近づくことがない。
そこがメタルリスナーが比較的好みやすい"予定調和"と距離を分かつ。
屍しか作れない作品を叩きつけつつ、
安易な享受を許さないというバンド側の通告のように感じる作品だ。
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