2014.10.31 Fri. 23:51 :edit
Carelian Satanist Madness : Satanic Warmaster (2005)
ドイツのNo Colours Recordsよりリリースされ、その後も複数回リイシューされている。
このブログでもたびたび申し上げている通りフィンランドのトゥルーなブラックとは、
BeheritやArchgoatのようなレジェンドバンドの繰り出す音であり、
Hornaを端に発する第二世代フィンランドブラックのそれとは異なると思っているゆえ、
私はこのバンドをどうしても穿った見方で見てしまう。
それでもここまでのビッグネームの来日に対して見向きもしないわけにもいかず、
改めてこのバンドについて見直す時期が来たと思ったのだ。
(この項を書いているとき、既に公演1日目が終わっている)
さてこの3rdアルバムは世間的にも名盤と捉えられているであろう一枚だが、
聴いてみるとやはりDarkthroneの4thアルバムあたりの影響を感じるし、
またその他ノルウェイジャンブラックのメロディックな面を踏襲していると思う。
但しそれらが全て違和感なく取り込まれていることに大きな才能を感じるし、
彼がミュージシャンとしての才覚を持っていることの証左であろう。
歌詞やジャケット、ブックレットなど彼の作品にはナチをモチーフにしている事も多い一方で、
インタビューでは再三、NSBMではないと主張しているが、
恐らく個人的な見解としては彼は何らかの演出にナチを使っているだけだと思われる。
つまり彼にとってはテーマは自分のやりたい音楽の副産物にすぎないのではないか。
こんな風に書くと「トゥルーではないエセブラックメタルだ!」と言いたいのかということになるが、
そういうつもりでもなくてブラックメタル"ミュージシャン"としての一つのスタンスであろう。
そういう意味ではライブパフォーマンスなどは逆にとても楽しみであり、
さてはて私は明後日11/2の大阪公演に行く予定である。
Encyclopaedia Metallum - Satanic Warmaster
2014.10.22 Wed. 23:47 :edit
Jane Doe : Converge (2001)
アメリカのEqual Vision Recordsよりリリースされた。
Jane Doe (2001/09/04) Converge 商品詳細を見る |
このバンドを知ったのはBetween the Buried & Meにハマった時で、
順番としては完全に逆じゃねえか!と突っ込まれそうだが、
そのときは最近出てきた"ニューメタル"バンドの中の1つだと思っていた。
まさか1990年に結成していて、このアルバムも2001年に出ていたとは!
その後、このバンドがそのシーンの中での重鎮であることを知っても、
天の邪鬼である自分は素直に耳を傾けることが無かった。
このアルバム褒めておけば"音楽通"的なポジションだろ?って思っていた。
今改めて聞いてみるとハードコアの粗暴さとポストロックの知的さが融合して、
非常にカオティックであるのに一本筋の通った質の高いアルバムだと思う。
#08"Heaven in Her Arms"はあのバンドの由来であろう素晴らしいチューンだ。
しかしやっぱり素直に聴くことができなかった。
このバンド自身というよりどこからか「これすげえだろ?」と幻聴が聞こえるからだ。
ただ単に天の邪鬼なだけだ。
2014.10.13 Mon. 19:22 :edit
Songs to Leave : Forgotten Tomb (2002)
今はなくスウェーデンのSelbstmord Servicesよりリリースされ、近年所属レーベルのAgoniaより再発もされている。
Songs to Leave (2012/03/13) Forgotten Tomb 商品詳細を見る |
今となってはデプレッシブ/スーサイダルブラックのクラシックな一枚になったアルバム。
ジャケットが全てを表わしているかのように人の内面をディープにえぐる絶望を表現。
完全にメランコリックな作風をブラックメタルナイズドすることで絶望感がでている。
ちゃんと聞いてみると結構ドゥームメタルな要素があったりして、
そこがまたその雰囲気を助長してまあとにかくデプレッシブな作風だが、
Burzumの流れをしっかり踏んでいると実感するのと、
とにかく楽曲の完成度として他の並なデプレブラックとはまるで質が違う。
後に彼らはゴシックブラックの方面に向かっていくわけだが、
既にこの頃から様々な影響や要素をしっかり消化して、
作品として仕上げることに長けているアーティストなんだと感心した。
Encyclopaedia Metallum - Forgotten Tomb
2014.10.13 Mon. 00:20 :edit
Grim March To Black Eternity : Argar (2004)
ドイツのSolistitium Recordsよりリリースされた。
以前に1stアルバムを紹介したが、そちらと同様にEmperor1stフォロワーサウンド。
基本的に彼らの1stの延長線上というか同じクオリティを保っていて、
Emperor1stライクなシンフォブラック好きにはたまらないだろう。
彼らはまず演奏がしっかりしていて捨て曲も無いのがポイント。
シンセサイザーの使い方もやりすぎない程度の存在感がニクい。
また1stアルバムより若干メロくてエモーショナルなパートもあったりして、
そのあたりのくすぐり方も実にうまい。
個人的にはシンフォブラックというものに食傷気味な時期もあったりして、
素直に受け入れられない時期もあったが、
しっかり聞いてみるとさすがのクオリティだと唸ってしまった。
彼らはこのアルバムを最後に解散。
メンバーであるUr Profanum氏の独りバンド、Grim Funeralは若干スタイルを継承しているが、
クオリティとしては幾分落ちていてその後は追っていない。
Encyclopaedia Metallum - Argar
2014.09.21 Sun. 23:29 :edit
Hellbomber : Ausgebombt (2003)
アメリカのHardcore Holocaust Records よりリリースされた。
大阪のタイムボムで投げ売りコーナーに入っていたので、
バンド名見てSodomフォロワーの掘り出し物では!?と鼻息荒く入手。
ちなみにその日のうちに「悪くはないです」とビミョーな評価を先取り。
実際聞いてみればMotorheadっぽさとSlayerが組み合わさったような感じ。
まあMotorheadっぽさということは中期Sodomっぽいということでもあるが、
個人的に期待していたようなSodomフォロワーではなし。
小気味の良いスラッシュ/ハードコアで7曲20分あっという間で、
このジャンルが好きな人なら少なくとも悪く言う要素はないのだが、
特に聞き終わってから何も残らなかったとも言える程度の作品。
2014.09.07 Sun. 15:26 :edit
Shortell / 自慰盤 : V/A (2004)
オーストリア?のStarryよりリリースされた。
GravitonはShortellというタイトルの2ndアルバム扱いで、
Mankoloverは自慰盤というタイトルの1stアルバム扱いのスプリット。
前者はショートカットグラインドスタイルで19曲を12分くらいでかっ飛ばす。
演奏技術はかなり高く激速の楽曲に見劣りしていない。
このようなスタイルが好きな人にはかなりツボなのではなかろうか。
後者はバンド名からして悪趣味というより中学生の下ネタ的な、
全身全霊かけて悪ふざけをしているのが面白いバンド。
1曲目から「ヴァギナヴァギナヴァギナヴァギナヴァギナ...オーイエー!!」だから降参。
実際サウンド面で見ればベース音をかなり聞かせてきてグッとくる。
このアルバムは関係者から借りただけなので手元にないが、
子供や嫁さんに自慰盤の方を見られたら何かアレなので、
皆さん気を付けてください。
2014.07.21 Mon. 00:16 :edit
Legend : Tyrant (2002)
オランダのDispleased Recordsよりリリースされた。
Legend (2002/06/24) Tyrant 商品詳細を見る |
ちょうど発売して初めて聴いた頃の感想としては
「キーボードが前面に出過ぎている」
であったし、そのせいか1stアルバムに比べて聞いた回数は激減した記憶がある。
自分がこのアルバムが実は良作では、と気付いたのはこの数年の話で、
ちゃんと聞いてみるとキーボードの音がもう少しうまく引っこんでいれば、
という相変わらずの限定つきではあるものの、
かなり工夫されたギターワーク、メロディの豊かさがあって面白いアルバムに感じる。
元々、あまりブラックメタルとしてのダークさ、サタニズムなどのテーマに拘っておらず、
あくまでへヴィメタルやスラッシュメタルなどの自己経験を踏襲した先に、
オリジナリティを盛り込んだ作品として1stと並んで良い作品だと思われる。
アートワークはMotorheadの作品を多数手がけたJoe Petagno氏によるもの。
またこの作品に収録されている#2 ErebusはDispleased Recordsのサンプラーにも収録されており、
Deeds Of Flesh、Nasum、NunSlaughterなどと共に列名している。
Encyclopaedia Metallum - Tyrant
2014.05.23 Fri. 23:40 :edit
Hail The Black Metal Wolves Of Belial : Pest (2003)
アメリカのBlood, Fire, Deathよりリリースされた。
Hail the Black Metal Wolves of Belial (2008/01/01) Pest 商品詳細を見る |
ブラックメタルのPestとしてはスウェーデンとドイツのPestがそれぞれ有名だろう。
このフィンランドのPestは実質の活動期間は3年程度とあまり有名ではなかったのだが、
なにしろメンバーにあのSatanic WamasterのNazgulが在籍していたということで後から注目を浴びた。
正式なフルレングスを一枚も出しておらずこのコンピは彼らの楽曲を網羅しており、
Satanic Wamasterを追いかけている人にはちょうどいい一枚であるが、
聞いてみればわかる通りやや地味なタイプのブラックメタルで、
Satanic Warmasterのメロブラ部分を期待すると痛い目にあう。
またデモ音源やEPの寄せ集めであるため、
ややマスターボリュームがバラバラなのももう少しリマスター真面目にやってほしい。
まあ資料的価値の大きいアルバムだと思います。
Encyclopaedia Metallum - Pest
2014.05.19 Mon. 23:00 :edit
Last CD Before Doomsday : Worship (2004)
オリジナルはLast Tape Before Doomsdayというタイトルで、メンバーがオーナーだったImpaler of Trendies Productionsからカセットでリリースされ、後に日本のWeird TruthよりリリースされたのがこのCD再発盤。
この再発においてはAgathoclesとのスプリットの音源も収録されている。
Fucked-up Mad Maxの自殺の件はUnholy Arcangelのコラムでも触れたが、
その彼の遺作でもあるこの作品はまさに彼の怨念が宿っているかのような、
その迫真のドゥームスタイルはまさしく黒い音像として襲いかかってくる。
ギターのリフなどは結構メロいところもあったりゴスなところもあったり、
そういうところの"聞きやすさ"もまたこのバンドの魅力であろうし、
それがなければ恐らく自分のようなタイプには最後までは聞くに聞けなかっただろうし、
逆にいえば最後まで聞けてしまうところに驚かされた作品でもある。
強いていえば自分はこの音源をいつ聞けばいいか解らない。
落ち込んでいるときに聞けば死にたくなりそうだし、
寝る前に聞いたらとても悪い夢を見そうだなあと思う。
それはこのジャンルにおいては褒め言葉なのではなかろうか。
Encyclopaedia Metallum - Worship
2014.05.19 Mon. 22:33 :edit
Sadiztik Syonan-To Supremacy : Sadiztik Impaler (2005)
ドイツのKetzer Recordsよりリリースされた。
シンガポールのベスチャルブラック番長、Impietyの人脈筋のバンドで、
そのスタイルを継承しつつ更に南米スタイルのブラッケンスラッシュの要素を深めたようなサウンド。
つまりその手の人にはたまらない音を出している。
東南アジアのベスチャルブラック界隈の層の厚さは00年代に入って目を見張るものがあり、
このバンドもその中のバンドの一つと言える。
少し前にシンガポールに行った時にはまさかこんな音楽が芽生えそうにないところだったが(笑)
にしても南米に近い香りのする東南アジアのベスチャルブラックは、
Blasphemyの影響を受けているのか受けていないのか、
どっちとも言えないのが魅力な気もする。
スラッシュの要素が強くグラインドの要素が少ない、みたいな。
Encyclopaedia Metallum - Sadiztik Impaler