The Final Damnation : Abigail (2016) 

日本のブラックメタル・ヤクザ、Abigailの5thアルバムを紹介。
アメリカのNuclear War Now! Productionsよりリリースされた。

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 漆黒をバックにChris Moyen氏のアートワークという出で立ちでAbigailの新譜が発表されてビビッと来た人は多いだろう。ブラックメタルをプレイするAbigailが戻ってきたのではないかと。1stアルバム"Intercourse & Lust"以前のスタイルは、例えば以前紹介したDrakkar Productionsリリースの”The Early Black Years (1992-1995)”で聞くことができるが、2ndアルバム"Forever Street Metal Bitch"から近年までのイーヴルなスラッシュメタルをベースにしたメタルパンク路線より、その源流となるVenom、Bathory、Bulldozerあたりの1st waveブラックメタルスタイルであった。

 この5thアルバムはそのような原点回帰を図ったという話だったが、いやいや聞いてみるとそんなAbigailたるオリジナリティを捨て去るようなことはしていない。確かにルーツのブラックメタル・スタイルはリフやヴォーカルスタイル、ヘヴィネスさに顕著に現れている。しかしそこに2ndアルバム以降のらしさも失われていない。むしろ築き上げたものは健在である。その結果としてイーヴィルかつヘヴィでありながら軽快さ・煽情さも味わえるアルバムに仕上がっている。#06"No Pain! No Limit!"の日本語歌詞も実に熱い。

 また曲中の展開、アルバム全体のバリエーションなどなど国内外のマニアたちを感服させてきた絶妙なバランスはパワーアップしており、今年結成25周年を迎えたバンドとしての気焔を見せつけてくれた快作と言えよう。感服。

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タグ: Abigail  Japan  2016  個人的良盤 
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Devanation Monumentemples : Genocide Shrines (2012) 

スリランカのウォー/ブラック・デスメタルバンド、Genocide ShrinesのデビューEPを紹介。
インドのCyclopean Eye Productionsよりリリースされ、アナログver.はドイツのIron Bonehead Productionsよりlim.500でリリースされた。

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 ウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブックにインタビューが掲載され、また1stアルバムが世界中のブラック・デスメタルフリークから大絶賛されたスリランカのアンチ仏教ブラック・デスメタルバンドのデビューEPである。こちらはこれまたインタビューが掲載されたレーベル、Cyclopean Eye Productionsからリリースされておりそのあたりはぜひ本を読んでください。

 さてインドのDIYレーベルからリリースされたというわけで、当時の日本でこのバンドを知っていた人は少なかったと思うし自分もそうだったわけだけど、この頃から「坊さん皆殺し」を掲げて、こんなにも「地獄」というか「輪廻の否定」を感じさせるサウンドをスリランカから出していたというのは本当に驚きでしかない。

 1stアルバム収録曲に比べると楽曲の展開や曲間のつなぎなどのトータルの仕上がりのところで粗が目立つけれども、目の前の事象に対する「渦巻く感情の発露」と置かれた状況への「冷徹な視線」という相反する感情が両立しているようなサウンドは既に確立していて非凡さを感じる。1stを聞いて彼らのサウンドに惹かれた人なら間違いなく期待を裏切らない。

 さらに個人的には今まさにこれを聞いて当時からとんでもないバンドがスリランカで存在していたんだという事実が広大なエクストリームメタルの裾野、広がり、そして局在を証明しており、今も自分のあずかり知らぬ何処かで強烈なサウンドが生まれているのだろう。そのような未知なるサウンドへの憧憬を信じることができる作品だ。

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Bandcamp - Iron Bonehead Productions
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Rusticが止められない : OLEDICKFOGGY (2009) 

日本のサイコビリー/パンクバンド、Oledickfoggyの4thアルバムを紹介。
日本のDIWPHALANXよりリリースされた。

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Rusticというと、このブログ読者には全く縁がない領域ではないかと思うし、
現に自分もよくは知らないのだが伝統音楽を現代バンドスタイルで演奏するスタイルで、
確かにこのバンドもマンドリンなどの楽器奏者もいたりしてなるほどと。

彼らの持つ歌詞や世界観などはある種の「古き良き」的なテイストがあって、
それをクラストパンクの造詣をベースに現代に再現ではなく生まれ変わらせている。
ゆえに彼らは唯一無二と思わせる表現力や説得力を持つのだろう。

ライブでもよく聞くことができる名曲"神秘"などが収録されており、
彼らのことを知りたい、体験したいと思うなら必須盤だろうし、
これを聞いてぜひライブに足を運んで揉みくちゃになってほしい。
タグ: Oledickfoggy  Japan  個人的良盤  2006-2010 
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Disturbing : Ampulheta (2014) 

日本のブラックメタルバンド、Ampulhetaのデモ音源を紹介。
3曲入りのCD-Rで自主リリースされた。

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当ブログでインタビュー記事も掲載されたAmpulhetaの昨年のデモで、
この音源を聞いて実際にインタビューをしたいという衝動を得た作品。

実際フレンチブラックにそこまでハマっていない自分にとっては
2011年リリースの1stデモはあまり良い印象を受けることがなかったものの、
この音源の特に#02"Spica"を聞いて上記衝動を受けるに至った。

上記インタビュー掲載の通り、Mortiferaの"Le Revenant"の影響を感じるが、
それだけに留まらないオリジナリティを感じたのは、
女性らしい「たおやかさ」が表現されているからだと確信している。

さてAmpulhetaは現在メンバーが一人脱退しており、
ライブなどの活動は休止中のようではあるが、
フルアルバムの完成を待ち続けたいと思う。

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Malignant Temple Of Goat (1992-1993) : Behemoth (2014) 

[Goat Worship 特集]

ブラジルのGoat Worshipper型ブラックメタルバンド、Behemothのコンピ盤を紹介。
ブラジルのHammer Of Damnation よりlim.1000(内200がDigi)でリリースされた。

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ポーランドの有名バンドではなくブラジルの方。
活動は1992~1994年と短命で2つのデモを残しただけのマイナーバンドの全音源コンピ。
1994年にArchangellusというバンド名に改名してコグメロから1枚アルバム出している。

どんなに腐れた内容かと思って半笑いで再生してみるとこれが素晴らしい。
このころ流行っていた北欧ブラックメタルとは大違いだし、
BlasphemyとかBeheritみたいなスタイルともちょっと違う。
もっと瘴気が溢れていてモッサリとしたドゥーミーなブラックだ。
はっきり言って塩漬けされたことでこの時代に発掘されてよかったのではないか。

ブラジルというとプレブラック的な位置づけのバンドは有名だが、
コープスペイント全盛な90年代前半のバンドは埋もれているものが多いらしく、
これからも何か強烈なのが出てくるのではなかろうか。

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タグ: Behemoth  Brazil  個人的良盤  2014 
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Void : Craft (2011) 

スウェーデンのブラックメタルバンド、Craftの4thアルバムを紹介。
スウェーデンのCarnal Recordsよりリリースされた。

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言わずと知れたDarkthrone崇拝バンドだったCraftであったが、
ジャケットからしていつもの崇拝っぷりは成りを潜めており、
かなりヘヴィで邪悪かつ重厚なブラックメタルをプレイしている。

もちろん時折挟んでくるリフにDarkthroneっぽさは感じるものの、
アルバム自体としてはかなりソリッドにまとめてきている印象があり
結果的にバンドのクオリティを1段階上に持ってくることに成功した感がある。

もちろんスウェディッシュブラックのスタイルではなく、
そもそも第一世代ブラックメタルっぽさの残るミドルパートが光る作品で、
かつサウンドプロダクションなども「ちょうど良い」感じに収められており、
素晴らしい作品である!

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Weather Systems : Anathema (2012) 

イギリスのゴシック/オルタナティブロックバンド、Anathemaの9thアルバムを紹介。
イギリスのKscope MusicとアメリカのThe End Recordsよりリリースされた。

Weather SystemsWeather Systems
(2012/05/07)
Anathema

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前作の"美しく空間的なサウンドにつつまれるポストロック"という方向性はそのままに、
どことなく儚さを感じさせるサウンドが聞いている身を包むように展開される。

儚さといっても寂しさとかそういうものではなく、
前作と違うところはすなわち"悟り"なのではないかと思う。
前作のタイトルがデカルト哲学的な自己存在についてであるのに対して、
もう少し超越的な視点からの世界観を謳っているように感じる。

ラストトラックの歌詞に目を向けてみると、
臨死についてJoe Geraciなる人物の言説を引用しつつ、
死別についての哲学が美しく書かれている。

徹頭徹尾、コンセプトを感じさせる作品としてお見事。
このバンドはどこまでいくのだろうか、興味が尽きない
(といいつつ最新作はまだ未聴)

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Henbane : Cultes Des Ghoules (2013) 

ポーランドのブラックメタルバンド、Cultes Des Ghoulesの2ndアルバムを紹介。
アメリカのHells Headbangers Recordsよりリリースされた。

HenbaneHenbane
(2013/04/16)
Cultes Des Ghoules

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「邪悪の極みを尽くすオールドスクールブラックメタル」と表現した1stを更に深化させた作品で、
いわゆる2nd wave BM以前のオールドスクールブラックを基調にしながら、
それを純粋にオカルティックな方向性で深めている。

逆に2nd wave BMこそブラックメタルだと思っている人にとっては、
ブラッケンデスメタルのように聞こえることもあろうが、
むしろHellhammer~Celtic Frostの延長線上にあると捉えると解りやすいのでは。

邪教的なカルトの雰囲気は更に作品に溢れんばかりになっており、
ミドルテンポで進んでいくパートではブラッケンドゥームデス~スラッジのような印象にも。
とにかくオールドスクールなブラックメタルが好きな人はドツボだろう。

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All Roads lead to Death : Dantalion (2010) 

スペインのデプレッシブブラックメタルバンド、Dantalionの3rdアルバムを紹介。
スペインのXtreem Musicよりリリースされた。

All Roads Lead to DeathAll Roads Lead to Death
(2011/02/14)
Dantalion

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メロディックブラックメタルで紹介すべきなサウンドかもしれないが、
歌詞など楽曲テーマはかなりデプレッシブでスーサイダルな内容。

非常に優れたメロディメーカーであることは一聴してすぐ分かるわけだが、
その優れたメロディの使い方は若干ジャーマンブラックっぽさを感じる。
つまり実直(あえて地味とは書かない)な曲作りをしている。
また時折アグレッシブな展開を設けて涙腺を刺激してくるのも素晴らしい。

1曲の時間は7~9分と結構長いがダレずに聞けるのも展開の妙だろう。
ブラックメタルとしては若干メロメロしすぎるところが苦手な人もいるだろうが、
メロディックブラック好きは是非聞いた方がいい一枚。
ちなみにBandcampなら€1でダウンロードできる。

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Through Struggle To Victory : Aryan Blood (2010) 

ドイツのNSBMバンド、Aryan Bloodのコンピレーション盤を紹介。
ギリシャのNSレーベル、Totenkopf Propagandaよりリリースされた。

AryanBlood

別名バンド時代を含めると1996年から活動しており、
何しろドイツ国内でこのアティチュードで活動していると言うだけに
完全地下潜伏スタイルでデモかスプリットのみのリリースだった。
そのスプリットの相手もCapricornus、Eisenwinter、Evil、Satanic Warmasterといったなるほどなメンツ。

それらの音源のコンピレーションがこのアルバムであり、
恐らく近年のNSBMファンなら皆持っているのではと思うコンピ盤で
そう言えるだけ中身が素晴らしい一枚。

ぶち切れヴォーカルに、パンキッシュでメロウなメロディで
以前書いた通りハイブリットなNSBMスタイルが非常に素晴らしい。
しかし歌詞などコンセプトがレイシズムの塊すぎて苦手な人もいるだろう。

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