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お知らせ 

色々やってきましたのでよろしくお願いします。

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2018年2月自費出版リリース(SOLD OUT)

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2016年11月 パブリブ社よりリリース
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Looking back on 2020 

 今年もついに年末がやってきてしまいました。年を取ると時間が経つのが早くなるのを年々体感しておりますが、特に今年はあっという間でした。「ジャネーの法則」というものがあるそうで、一説によると新しいものに触れる体験が、年月による経験と共に減っていくからとのことです。

 今年はCOVID-19の猛威が世界中を混乱に陥れました。既に昨年末から話題には出ていたと思いますがまだまだ対岸の火事のように感じていたものの、クルーズ船での騒動や、マスクが市場から消えるなどの状況に、徐々に日常が蝕まれていくのを実感させられ、海外バンドの来日中止(一部、少し関係していたバンドもありました)やイベント自体の中止。個人的にはついに4~5月にリモートワーク。ちょうど自分以外の家族が実家に長期帰省していた折のことだったため、ステイホームで独りきりで2ヶ月ほど過ごすことに。その頃、同時に仕事のことでも立場の変化があり、リモートワークでの「キックオフ」を強いられることとなり、混乱の絶頂にありました。そのような中で自分の行動は物理的・精神的に制限され、画一的な生活を送るしかなくなり…そう、新しいものに触れる体験が極度に減り、それにより時間の経過が更に早くなり、それでいて慣れない業務に直面して焦燥感だけが増していく…。気付いたら、はい、年末というわけです。きっと私のような人が方々でいらっしゃったのではないか、と思います。

 前置きが長くなりましたが、今年は例年のようなベスト記事は書けませんでした。というのも今年の購入音源は上記状況の為に54枚に留まっています。昨年は130枚一昨年は170枚だったとのことで、沢山聞けばいいってもんじゃないですけど、「ベスト」と名乗るには母集団が少ないかな、と思いまして。しかしながら同時に自分がそのような状況の中で、一方でそれでもバンド活動やったり、レーベルでサポートしたり、もしくはそれを更にディストリビューションしたり、何かを創り出してやろうとか、もしくは逆に徹底的に破壊してやろうだとか、そういう人たちには本当にリスペクトですし、せめて自分が買った音源を年末の振り返りとして触れさせていただいて、感謝の気持ちとして返させてもらおうかと思い、今年はベスト記事ではなくて「振り返り」とさせてもらいます。取り上げる音源は今年の新譜、もしくは再発モノとさせていただきます。

■ Grizzly Fetish - Promo 2020, 虚言症 (self-released)
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 極東ブラックメタルサークル「四死帝國」の一員であるGrizzly Fetishの今年リリース二本です。ブラックグラインドと言われていることもありますが、自分的には歌謡的なものが混ざっていると思いますし、"Promo 2020"の方は旧作と同じ方向性で「タブーに触れた時の背徳感」を味わえる一品です。一方で"虚言症"の方は少しリフの感じが直球というか妖しげな要素が減退しつつ純粋なカッコ良さが増しているように感じます。決して表には出てこないアンダーグラウンドなサウンドとして両作品とも素晴らしいです。どうなんでしょう、そろそろフルアルバムを期待しても良いのでしょうか!?

■ Archgoat - Black Mass XXX (Debemur Morti Production)
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 結成30周年記念にパリで行われたライブを収録した2枚組LPです。今年4月のリリースでCOVID-19の煽りを受け、国内に入ってくるかヒヤヒヤしましたが、しっかりと入荷してくれたショップさんに感謝感謝の大感謝ですよ。これを書きながら久々に聴こうかと思ったら、PCの中に入っていなくて、そうか、独り暮らしだったからずっとLP回してスピーカーで音出してたんだ。リッピングをまだしてないんだ、と。振り返り記事はこういう気付きにもなって一挙両得ですね。ちなみに今年は10/31にフィンランドのエクストリームメタルフェス、STEELCHAOSにて初ライブを敢行。コロナ対策でストリーム放送で世界中から観覧可能となり、「バンド結成当初の50人程度を前にして行ったライブを思い出す悪くない経験だ」と言っていました。

■ Bejel / Acwelan - Reek of Degenerative Gore (Nihilistic Noise Propaganda)
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 スウェーデンの「ほぼRevengeじゃん?」なカバーアートでおなじみ(?)のVermin Scourgeのメンバーがやっているウォーノイズ・ブラックメタルバンド、Bejelとベスチャル・ノイズコアバンド、Acwelanのスプリット。正直後者は自分の領域の外にある完全にノイズやパワエレ側の音源なのですが、Bejelサイドはメタルのコンテクストから強烈な音を追求した結果のノイズ音源で大変すばらしいですね。近年のウォーノイズはインドなどの南アジアからよく発信されてますけど、北欧だって負けてないぞ、な一作です。

■ Blasphamagoatachrist - Bastardizing The Purity (Nuclear War Now!)
Bastardizing The Purity
 Blasphemy, Goatpenis, Antichristのメンバーによる"ウォーブラック・レジェンドチーム"なプロジェクトの1stアルバム。2018年のミニアルバムのリリースだけで企画終了になるとも思いきや、しっかりと活動を継続していました。前作よりGoatpenisの近年の作風が多めに反映されてミリタリー色と勇ましいメロディが融合した音像になっていまして、ディープなのに取っつきやすさがあります。同時に時折垣間見れるBlasphemyっぽさがサグい印象を与えてこのバンドらしさを形成していますね。

■ Revenge - Strike.Smother.Dehumanize (Season of Mist)
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 現行ウォーブラックメタルの権化ともいえるRevengeの6thアルバムです。フルアルバムとしては5年ぶりとなります。私は無類のウォーブラック好きと思われていそうですが、実はこのバンドに対してはまだまだ大きくのめり込めていないのです。というと「エーッ!モグリだ!」と指をさされてしまうくらいのバンドだということは承知の上で正直に。Blasphemy, Conquerorの系譜の最前線ですが、自分の中では強烈な音としてついていけたのがConquerorまでだったんですね。あのバンドに輪をかけて無慈悲なサウンドを追求した結果、自分の理解の範疇を超えているのかな。ヤバい音は出しているのは良く解るがヘヴィロテに入らなかった。しかしこのアルバムはついに純粋に「良い」と思えたのですね。何が違うんだろうというとまだ説明がつかないところもあるけれども、ロッククライミングでいう「つかみどころ」があったのかな、と。ようやく入口に立てた気がします。

■ Yxxan ‎– Satanic Fortification Overbalance (Nuclear War Now!)
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 スウェーデンの女性による独りウォーブラックメタルバンド、Yxxanの2ndデモ。女性で独りでウォーブラック!?という情報だけでも色々驚かされるわけですが、1stデモで目をひん剥かれました。すぐさまこの音源を入手するに至ったわけですが、1stデモと比べてクラストパンク色が減退して、エクストリームメタル色が増したように感じますし、何よりその迫力に圧倒されるサウンドです。MixingにAndrew Leeなる人物が参加していますが、最近デスグラインド関係で彼の名前をチラホラ見るのですよね。何か良い化学反応が出たのではないかと思わせてくれるデモ音源に仕上がっていますし、今後の活動にも要注意です。

■ Infernal Necromancy - Propaganda (Zero Dimensional Records)
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 日本のインペリアル・ブラックメタルバンド、Infernal Necromancyの2012年と2020年のライブ音源を収録。今知ったんですけどCD盤だと更に2004年のライブ音源も収録されていたらしいですね。何はともあれ、自分にとって重要なのはやはり2012年の音源ですね。私もそこにいたからです。うわー8年前か…最前列で燃えましたからね、懐かしさが無尽蔵に突き刺さりますよ。ライブ音源ならではのロウなサウンドが熱さと哀愁が絡み合うIxNx独特の響きと調和していて、スタジオ音源とはまた異なる良さを引き出しているように思えます。富獄でのサイコ氏の「行くぞー!」の掛け声が燃えますよ。このLPのリリースは私の中での2020年の一つのハイライトです。

■ Warfare Noise - Pervitin Guerrillas (2020)
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 2016年にフィンランドで結成されたブラックメタルグラインドバンド、Warfare Noiseのコンピレーションです。デビューからの2枚のデモのカップリングになっているようですが、単純な感触としてはBloodNaked Whipperを想起させる、ウォーブラックに重要な関連のあるブラックグラインドの系譜なのかなと思いますが、Naked Whipperがインタビューで「(Blasphemyと近い作風と言われていることについて)彼らほど複雑なことはしていない」と回答していたのが今でも記憶に残っています。ウォーブラックはハイブリットなジャンルであると拙著でも書きましたが、この音源を聞いているとその要素の中の一側面が強調されたものに感じるのです。ある意味、パンキッシュでウォーブラックそのものではないのだけど、先祖返りとも言えるスタイルを呼び起こしているのが面白い。コンテクストは1本の道ではなく、後から辿る人はそれを自由になぞることが可能であり、その結果、パクリとは次元の異なる表現に昇華したのでしょう。

■ Ancient Malignity - s/t (Inhuman Assault Productions)
Ancient Malignity
 アメリカのウォーブラックメタルバンド、Ritual Genocideのメンバーの別プロジェクトであるAncient Malignityの1stアルバムです。RxGxファンなら間違いなしな作風なのですが、なぜわざわざ違うバンドにする必要があったのかについて考えてみたいのです。RxGxは明らかにRevengeのフォロワーの一面があり、つまりグラインドコアの要素がかなりあるように感じられます。一方でAxMxはオールドスクール・デスメタルっぽいんですよ。それを根底にウォーブラックのアプローチで激烈に仕上げたような感触なんですね。グラインドコアっぽい方が好きな人はRxGxの方が気に入るかとは思いますが、個人的にはこの作風はかなりカッコいいと思いますよ!

■ Nirriti ‎– অসূর্যস্পর্শা (Iron Bonehead Prod., Bestial Burst)
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 インドのウォーノイズシーンの2名とカナダのNuclearhammerのAxaazarothが組んで結成されたインターナショナル・ウォーノイズバンド、NirritiのデビューEPです。Facebookで一時期いろんな人が話題にしていて、しかもこのカバーアートなので気になって仕方ないじゃないですか。それなのにIron boneheadのテープは100本しか作ってないと。コロナの中で買えずじまいでトホホ…。いや、実はBestial Burstからも出たのを知らなかったというのもありますけど、救世主、死体カセットさんが入荷してくれました。超助かった!中身もさることながら死体カセットさんのところでのスマッシュヒットっぷりもまたすごい。パンクスやノイズの人も注目しているのでしょうか?確かにこのバンドはインドのウォーノイズ界隈の中でも一番「密教」的な危うさが高い!ぜひこのバンドで界隈に興味が出たら色々漁ってみてほしいです。Outbreak of Evil zineでは代表格であるTetragrammacideのインタビューが収録されているので、持ってない人は借りてでも読んでみてください!

■ Holocausto - Diário De Guerra (Deathrash Armageddon)
Diario De Guerra
 ブラジルのウォーベスチャルレジェンド、Holocaustoの復活二作目となる6thアルバムで、オリジナルは昨年だったものの、今年になって日本語帯付きで我らがDeathrash Armageddonさんが再発してくれました!名作1stアルバムのラインナップで再結成しての”War Metal Massacre"は期待を裏切らずに1stアルバムの空気をそのまま持ち出してきたような、ベテランの復活として大成功を収めた一枚だとは思いますが、こちらの新作はちょっと更にヤバい音源に仕上げてきたと大感動の嵐です。初期Sodomを彷彿とさせる絶妙な息の合わなさ!曲全体がウネっているような感触で、すごいスピードなのにねっちょりしているみたいな。ハッキリ言います、彼らの作品で一番最高なのはこのアルバムでは!?めちゃくちゃカッコいいですよ、これは!と思ったらバンド内不仲なのか解散してしまい、ヴォーカルのExterminator氏がHolocausto War Metalを結成!そして出した音源が微妙!なんじゃそりゃ!ずっこけ!

■ Goatpenis - Decapitation Philosophy (Nuclear War Now!)
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 ブラジルのウォーブラックレジェンド、Goatpenisの最新アルバムです。LPのみのリリースであることと、ちょっとジャケットがアレなこともあり、国内の入荷は確認できていませんが、内容自体は近年の彼らの作風の延長にあるものです。2017年マイベストに挙げさせていただいた前作"Anesthetic Vapor"は傑作でしたが、あれが好きなら間違いなくこのアルバムもハマる一枚ですね。ここまでいくと孤高の存在ともいえるような立ち位置ですよね。Goatpenisっぽいバンドって同じ中の人のBlasphamagoatachrist以外ではなかなか思いつかないです。

■ Beherit - Bardo Exist (KVLT)
Bardo Exist
 トリを飾るのはやっぱりBeheritの新譜!さすがにもう新譜はないだろうと、不肖あきらめておりました。今年は結構Beherit関連の再発ものが多かったじゃないですか。ちなみにGoatvulvaの再発、私はこちらはブート音源の方が好きでした。いやファンアイテムとして買いましたけど、成り立ちからしてブートの方がそれっぽかったな、って。いや閑話休題、そんなわけでまさか新譜が出るとは。情報も急に出てきましたよね。ビックリです。そして中身はダークアンビエント!とはいえ3th, 4thのときの作風とははっきり言って全然違いますね。あのときはハードコアテクノを標榜していたようですが、こちらはもっとサウンドスケープな作りになっていて、映像美ともいえる音像になっています。不吉ですが邪悪とも言い切れない。以前のようなメタフィジックスなサタニストのアプローチではないです。これが現在のBeheritのヴィジョンなのだと。深淵という言葉がピッタリな作品です。

 
 以上、14枚の音源で今年を振り返らせていただきました。本当は他にも触れたいアルバムはあったのでリストだけでも上げておきます。

・ Korihor - Demo 2020
・ Abatuar - Mortandad
・ Satanic Ripper - Southern Black Spell (reissued)
・ Nocturnal Damnation - Nuclear Massacre of GoatKommando
・ Warkvlt - Deathymn
・ Shezmu - À Travers Les Lambeaux
・ Ectoplasma - Spitting Coffins

 こう振り返ると確かに例年より聞く枚数は減ったものの、打率はむしろ高かったというか本当に欲しいものをしっかり聞くことができたのかな、と思いました。来年も厳しい状況は世界的に続くと思いますので、彼らの活動をしっかりサポートできたら、と。自分のできることをやっていこうと思います。

 それでは今年も一年お付き合いいただきありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします。

 アウトブレイク・ショウ
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Third World C.O.N.T.R.O.L. : Konflict (2019) 

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 本稿は死体カセットさんよりオファーを受けて寄稿した商品紹介文の転載です。Sold Outということで。良かった、自分のせいで売れ残っていたらと思うと、と胸をなでおろします。でもまあヤバい音源なのでテキスト関係ないっすね。以下、転載。

 スリランカの正体不明テロリスト・ブラックグラインド・ウォーメタル、Konflictの待望の1stフルアルバムです。Deathangle Absolution Recordsと改名していた頃のSatanic Skinhead Propagandaから2014年にEPがリリースされ、如何にもSSPらしいドラムマシン全開のハーシュノイズスタイルを何とスリランカから発していたという事で一部マニアに注目されました。

 翌年には日本のReek of the Unzen Gas Fumesとスプリットをリリースしたのですが、収録曲 ”Conflict Is Control” にはMVが制作されており、その内容がスリランカという国と内戦、そして宗教について全面的に刃を突き付けた強烈なもので、彼らの音楽スタイルとそのアティチュードの根源が明確になりました。ちなみにYoutubeではその過激な内容が故に削除されています。この1stアルバムは2019年にリリースされていますが、2014年と2015年に作成された楽曲で構成されており、メンバー構成から鑑みると前述したタイトルの制作時期のちょうど間に収録したもののようです。

 スタイルとしてはNyogthaebliszと近い志向性だと思いますが、オカルトな要素を全く感じさせずに、遠慮なしで振り切ったドラムマシンが怒りや憎しみを糧に対象に無限に銃弾を打ち続けているような無慈悲さが特徴的です。また NON – Total War のカバーは彼らのパワエレからの影響を把握できますね。昔は「辺境地メタル」と呼ばれるようなものが収録環境の質の悪さや土着的な音楽性で好んで聞かれた時代もありましたが、このアルバムタイトルが「第三世界」であること、インドでもTetragrammacideKapalaのようなノイズグラインド・ブラックが隆盛であることは、地域柄の政治や内戦、貧富の格差などの社会問題によって高まる負の衝動は変わらずとも、既に収録環境はボーダーレスになったことが彼らのような強烈な音楽性を形成していると思います。ヤバい音楽には、それを発することに必然性があってこそ、ということが良く解ります。

 このアルバムはヤバいのです。

 以上、転載。さてはて南アジアの核としたノイズブラックはまだまだ熱いですね。Outbreak of Evil zine vol.1にてTetragrammacideのインタビューを掲載したのも遠い昔のようです。某海外ベテランバンドからは新参者を大きく取り上げるな的に言われちゃったこともありましたが、ますます隆盛で大変興味深いですし、vol.2をぶちかます余裕が生まれたら改めて南アジアのUGシーンを紹介したいなーなんて思ったり。でもほんと時間がなくてですね。文章書く時間じゃなくて取材なりインタビューなりの時間はまとまった時間がないとできないです。うちのzineを引き継ぐ志を持っている若者がいたらいつでもウェルカムですよ。
タグ: Konflict  2020  Sri_Lanka 
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Scars of the Offering : Sex Blasphemy (2012) 

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 アメリカはカリフォルニアのウォー・ベスチャルブラックメタルバンド、Sex Blasphemyのデモ音源を紹介。SadomatorのメンバーがオーナーのSilver Key Recordsよりテープにてlim.200でリリースされた。

 名前的にはお下劣なテイストを盛り込んだBlasphemyタイプのスタイルを想像していたけれども、確かに冒涜さはかなりあるもののポルノSEを使うなどそういう手法ではなく、ストレートなドス黒さで勝負してくるタイプのベスチャルなブラック・デスメタルであり、ウォーブラック的なアプローチというよりUSBM的なところが根底にありそう。こういう音源はデモテープだからこそといった内容で、まあさすがSilver Keyリリースだけありますね。Vomit Ritualのメンバーが複数参加しており、活動時期などを鑑みるとサイドプロジェクト的な位置づけなのかもしれない。

 Vomit Ritualの方はまだ活動は継続しているようだが、既にもうこちらは恐らく活動していない模様。一瞬のドス黒い煌きとして我々の愛する音源は決して陽の当たらないところにポツンポツンと存在し、気付いたものだけが愛でる徒花。このデモテープはディストロに少数入荷したけど、すぐに売り切れてしまった。
タグ: USA  2012 
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Proclaimers of Terrorism and Damnationn : V/A (2018) 

Proclaimers of Terrorism and Damnationn ブラジルの自称「ブラック・テロリスト・ゴート・メタル」、Negro Bode Terroristaと、韓国のウォーブラックメタルバンド、Nocturnal Damnationのスプリットを紹介。2017年にブラジルのTerrorist Noise Kult Productionsから7"EPでリリースされ、翌年にタイのInhuman Assault Productionsからlim.100でテープでリリースされた。本稿は後者を紹介。カバーアートはウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブックでもおなじみ、Sickness 666氏が担当。

 Negro Bode Terroristaはこの音源が初遭遇だったのだが、自称スタイルを地でいくゴートメタル。北米ウォーメタルの影響を受けつつも、南米ベスチャル的な暑苦しくも治安の悪いサウンドが良い感じ。どんな経歴か覗いてみると2010年からツイン編成で、二名とも有名なバンドでの経験はないものの(Goat Vengeanceとか)ブラックメタルをずっとやってきていて、いよいよ方向性を固めたのかもしれない。そろそろフルレングスで聞いてみたいバンドだ。

 Nocturnal Damnationは本ウェブジンでもおなじみのバンドだが、作品によってデスメタル寄りだったり、完全にBlasphemyウォーシップだったりと、バリエーションに富んでおり、こちらに提供した一曲は現代ウォーメタルなブラスト万歳な作風。ZygoatsysのメンバーでもあったPatiwat氏の参加が良いアクセントになったことがわかる良作。このあと彼らは更にタイのデスメタルバンド、ShamblesThinnarat氏を迎えたことで一つのパッケージを完成させた感があるが、またそれは他の作品の紹介にて。

 アジア・南米のアングラ。ウォー・ベスチャルスプリットとして実に良作。数本入荷したものの弊ディストロでは既にSold out済みなのだが、テープは少々手に入りにくくなってきたものの、まだ7"EPは他国のディストロで散見されるので気になる人は探してみてください。
タグ: Nocturnal_Damnation  Negro_Bode_Terrorista  Korea  Thai  Brazil  2018 
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The Anguish's Doomaelstrom : Demonic Rage (2008) 

demonic_rage_demo.jpg チリのベスチャル・ブラック・デスメタルバンド、Demonic Rageのデモを紹介。(多分)チリのAwakeningよりテープでリリースされた。

 弊著『ウォー・ベスチャル・ブラックメタル・ガイドブック』ではP117に1stアルバムを紹介しているのだが、アメリカのオールドスクール・デスメタルの影響を強く感じさせる完成度の高いスタイルだった。そして、このデモの段階では演奏こそまだまだ粗々しさが目立つけれども、既にその片鱗を見せている。カバーにはPentagram(Chile)の "The Malefice" をチョイスしていて凄くフィットしておりカッコいい。

 このバンドはデビュー当初からデモやらスプリットやら、流通が非常に悪いなかで活動しており、諸外国のマニアに届くまでには少し時間がかかったが、さすがにほっておくはずもなく、やがて1stアルバムではIron Boneheadから12"LPでリリースされたし、初期音源集のコンピはポーランドのOld Templeからリリースされたわけで、まあそうなりますねというクオリティを持つバンドだ。

 チリ・アンダーグラウンドのテッペンを目指せるバンドだったかもしれないが、その後一気に活動が収束…消息不明に…かと思いきや今年2020年にセルフリリースで新作EPをテープフォーマットでリリースしたとの情報が舞い込んできた。これは改めて期待大なのだけれどもその新作、lim.10という超極小リリースとのことだ。トホホ。。。
タグ: 2006-2010  Chile 
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Inverterat Korståg : Yxxan (2019) 

Yxxan_1stdemo.jpg スウェーデンのウォーブラックメタルバンド、Yxxanの1stデモを紹介。イギリスのCorpse Torture Recordsよりカセットテープでリリースされた。

 現地語で「斧」を意味するYxanにxを重ねたバンド名を持つこのバンド。まずスウェーデン発のウォーブラックメタルというだけで興味を持つ方もおられるだろう。だが、更に重ねて言うと何と女性により独りバンドであるのだ。この時代、女性がブラックメタルバンドに在籍することなどは特に驚きをもたらすものではないが、ことこのジャンルに関しては珍しく、しかも独りで、となるとさすがに驚かされる。但しその件がこのデモ音源の評価を変えるものではない。というのも提示しているブラック・デスメタルがあまりに強烈だからである。メンバーはこのデモをNWN!に送り付けて評価を勝ち取り、それで続く新作デモがNWN!リリースになったとのことだが、なるほどこの音を聞いてしまえば納得である。ヨースケ氏のところには多くのデモ音源が届くそうだが(私もガイドブックのときの縁で何度か仲介したことがある)、彼に響くという意味でのヒットはなかなかない。それがこんなに高速でリリースまで漕ぎつけたことはホンモノであろう。ちなみに恥ずかしい話、NWN!からリリースされたのはこのデモだと思っていたから、まだ新作を聞いていなかった。この記事を書くときにはじめて2ndデモがリリースされていることを知った。早急に手に入れなければ。コロナのせいで情報に鈍感でダメだ。

 さてはてメンバーの遍歴はクラストパンクの音像が強く、ウォーブラックとはいえどもBlasphemyの直系スタイルではない。現地でもこのデモはブラックメタル好きよりパンクスからの支持を多く得たとのことだ。ウォーブラックの成り立ちを考えた時のある種の入口まで遡っての再スタートのような作風であるからして、そのような表現の面白さも感じる。「古くて新しい」というとちょっと表現が陳腐かもしれないけど。

 いやもうこのデモのレビューを書いているより私ははやく2ndデモを注文すべきではないだろうか。
タグ: 2019  Sweden 
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Raw and Hateful Black Metal : V/A (2019) 

raw and hateful split アルゼンチンのブラックメタルバンド、Nocturnal Evilとエルサルバドルのウォー・ベスチャルブラックメタルバンド、Demonomancerのスプリットを紹介。スペインのEscafismo Recordsより7"LPでリリースされた。

 Demonomancerはこのウェブジン愛好者ならよくご存じであり、かつ昨年の氏の訃報が記憶に新しいが、こちらは過去音源の引用ではなく新作。楽曲名からして相変わらずのBeheritウォーシップな感じだが、以前より更にノイズメタルに足を踏み込んでおり、楽曲の輪郭が不鮮明になってカルトな雰囲気が増している。

 Nocturnal Evilはいつもどこかで聞いたことがあるバンド名…と思って、「あ、Beheritのトリビュート盤に参加してたバンドだ!」と思い出す。こちらは該レビュー記事でもう8年も前に書いたものかと驚くわけだが、実は二度の来日も果たしたアルゼンチンのベスチャル・ブラック・デスメタル代表Infernal Curseのメンバーが独りでやっているバンドだったりする。そちらと比べるとこちらのスタイルは深淵で儀式的な印象が皆無の南米ベスチャルスタイル。

 こういう7"LPスプリットフォーマットはお互いのバンドの「一面」を切り取って提示しあっていて、対決のような緊張感もあり、相互作用的な楽しみ方もあり、この一枚に関しては輪郭な鮮明不鮮明の対比が非常に面白い。現代のサブスクでの音楽の聴き方ではもうこのようなパッケージ、フォーマット内での一つの完結したストーリーは成立しないだろう。逆に言えばそのような楽しみ方をしなければ、むしろわざわざアナログで聞く意味もないのかもしれない。
タグ: 2019   
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Reek of Degenerative Gore : V/A (2020) 

bejel_split.jpg スウェーデンのウォーブラックメタルバンド、Bejelとアメリカはノ―スカロライナのベスチャル・ノイズコアバンド、Acwelanのスプリットを紹介。アメリカのNihilistic Noise PropagandaよりアナログLPとデジタルでリリースされた(本稿は後者)。

 アートワークからして思いっきりRevengeのフォロワーとして一部で注目されたVermin ScourgeのK.V.のもう一つのプロジェクトであるBejelの今年度新作で、こちらはいわゆるウォーブラック本流ではなく、近年南アジアを中心に世界中に拡散しつつあるウォー・ノイズ・ブラックメタルスタイル。こちらではخبيثを名乗っており、そういうところからも解りやすいのだけれども、独りバンドという事でもちろんのことドラムもプログラミングなのだが、この手のジャンルだとその開き直り的なプレイが良い方向に向いている。ウォー・ノイズ・ブラックはまじで一度しっかりとまとめた文章が必要だと思うのだけど、最近瞬発的に飛びぬけた気力がわいてこないので、どうでしょう、誰か書いてみてほしいなあ。

 一方でAcwelanは初めて聞いたのだけど、こちらはメタルアーカイブでリストアップされていないように、完全にノイズコア畑のバンドなのでしょう。サウンドもそんな感じで、メタルサイドから聞くと敷居の高さを感じるノイズサウンド。スプリットとして連続的に聞いたとき、やはりシームレスには聞こえない。クロスオーバーは確実にしているもののだけど、階層の違いが明確にあると実感できる作りになっている。エクストリームな音楽って時に根っこは違うところからでもいつの間にか表現に差異がなくなってしまったりすることもあるけれども、文脈の差が音を区別しているのはやはり面白い。

https://nihilisticnoisepropaganda.com/album/reek-of-degenerative-gore
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近況報告 

 少し空けての更新となりました。ご無沙汰しております。この時期なら「上半期ベスト」など息巻いているはずが、残念なことに今年はそのようなことがやれるほど新譜を購入できておらず、更に言うとライブラリを管理できていないため特にアナログ音源で今年買ったものが特定できていません。

 そんな中でしっかり覚えているのは Archgoat - Black Mass XXXGrizzly Fetish - promo2020 の2タイトルですね。どちらも期待を裏切らない作品でした。しかし今年はCOVID19の影響で海外への注文を全然していないせいもあり、重要なタイトルを買い逃しまくっているような気がして不安でなりません。Nirriti - অসূর্যস্পর্শা はその筆頭ですね…。

 旧譜としては Nyogthaeblisz - Abrahamic Godhead Besieged by Adversarial Usurpation は1年遅れで手に入れましたけど実にノイジーで良かったですね。Goatsmegma - Demonic Goat Smegma Eating Ritual もよく聞きました。年末かな、大阪の色んなショップさんを訪ねても全てスカった PROLETARIART - 隔絶と孤独に通ず俺の道 は今年入手できて一時期ヘヴィローテでした。最近では Exequy - The Adversary Edict / Architect of Subjugation は掘り出し物でした。過去ノーチェックだったのを恥ずべき極悪ベスチャルでした。

 逆に言えば今回タイトルを挙げたもの以外は記憶にそこまで残らなかったかなあ。コロナ騒ぎの中で音楽の向き合い方にズレが生じたのかなって思うことも多々ありまして、執着心みたいなものが薄れてしまった分、好きなものを「ながら」で聞くことが増えました。春にBEHERITデザインのスケボーを購入して、今も時間があれば練習しているんですが、そういうときには必ずBEHERITしか聞かないようにしているんですね。もう縛りプレイみたいな感じで。まだまだヘタクソ君ですが、同じように頑張っている人がいたらいつか一緒に滑りましょう!

 真正面から向き合うアティチュードに美徳を感じることもありますけれども、「こうでなくてはならない」という向かい風に立ち向かうことで生じる消耗は不要だと最近よく思うのです。それで継続できない方がよっぽど不毛なのではないかと…。
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